ITパスポート新試験のシラバス案にだけある用語33。今のシラバスと照らし合わせて選び、意味をまとめました

ITパスポート新試験のシラバス案にだけある用語33を解説 資格

2027年度に始まる予定のITパスポートの新しい試験で、新しく覚える必要がある言葉はどれか。当サイトは、IPA(情報処理推進機構)の今のシラバス(Ver.6.5)と、新試験のシラバス案(Ver.0.1)の全文を照らし合わせ、新試験の案にあって、今のシラバスには1回も出てこない用語から33語を選びました。この記事では、その33語を分野ごとに分け、1語ずつ意味をまとめます。RAG、AIエージェント、データガバナンス、パスキー、ゼロトラストなど、AIとデータとセキュリティの言葉が中心です。

作成:fufumumu_design(ふふ)/作成日:2026年10月3日/照らし合わせたのは、IPAの「ITパスポート試験 シラバス Ver.6.5」と「ITパスポート試験 シラバス(案)Ver.0.1」です。

33語は、今のシラバスに同じ言葉が1回も出てこないものから選んだ

選び方は次のとおりです。まず、新試験のシラバス案の表から、用語例を1語ずつ取り出しました。次に、今のシラバスVer.6.5の全文に同じ言葉があるかを、機械で調べました。そのうえで、今のシラバスに1回も出てこない言葉の中から、意味がはっきりしていて、学ぶ意味が大きいものを当サイトが選びました。

注意点が2つあります。1つは、言葉が同じかどうかで調べているので、今のシラバスで別の言い方で説明されている内容が含まれる場合があることです。もう1つは、シラバス案は「公表時点の検討状況に基づくもので、変更する可能性がある」とされていることです。正式なシラバスが出たら、この記事も見直します。

表の「問題集」の列に「あり」と書いた用語は、当サイトの問題集の「確認済みの問題」(AIが作り、運営者が1問ずつ照合した問題)に、その用語を問う問題が入っているものです。33語のうち17語に問題があります。

AIの用語は9語で、AIを使う側の言葉が多い

AIの用語は、仕組みの細かい話より、生成AIを仕事で使うときに出てくる言葉が中心です。

用語 意味(当サイトのまとめ) 問題集
RAG(検索拡張生成) 生成AIが回答を作る前に、外部の文書やデータベースを検索し、見つけた情報を使って回答を作る仕組み。社内の資料や新しい情報にもとづいた回答をしやすくなる あり
AIエージェント 目標を与えると、手順を考え、検索などの道具を使いながら、いくつもの作業を自分で進めるAIの仕組み あり
ガードレール AIの入力・出力や行動に決まりを設けて、安全性・倫理・法令順守を守るための仕組み。シラバス案では「安全性への配慮,倫理的配慮,法令順守など」と書かれている あり
トークン 言語モデルが文章を処理するときの単位。文章は、単語や単語の一部、文字などに区切って処理される あり
コンテキスト内学習(In-Context Learning) 大規模言語モデルが、学習し直す(パラメータを更新する)ことなく、プロンプトに書かれた例や指示をもとに、その場でタスクに対応すること あり
フィジカルAI ロボットや機械などに組み込まれ、現実の物理的な世界で周りを認識し、判断して動くAI −
フロンティアAI 最先端の、とくに能力の高いAIモデルを指して使われる言葉。シラバス案では、その影響と、リスク・脅威の両方が挙げられている −
AI事業者ガイドライン 総務省と経済産業省が2024年(令和6年)4月19日に第1.0版を公表したガイドライン。「AI開発者」「AI提供者」「AI利用者」ごとに、考えるべきリスクと対応をまとめている。その後も更新されている −
AI基本法 正式名は「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」(2025年6月4日公布)。AIの研究開発と活用の推進に関する施策を、総合的かつ計画的に進めることを目的とする(第1条)。人工知能戦略本部の設置なども定めている あり

この中で、先に押さえたいのは、RAGとAIエージェントとガードレールの3つです。シラバス案の「AI利活用」(中分類10)では、AIエージェント、自律性と人間の関与、ガードレールが同じ項目「AIエージェント利活用」に並び、RAGはそのすぐ前の項目「生成AI利活用」に書かれています。AIエージェントは自分で作業を進めるぶん、ガードレールで行動の範囲を決め、人がどこで関わるかを決めておく必要がある、という関係で覚えると、取り違えにくくなります。

AI基本法は、AIを規制するための法律ではなく、研究開発と活用を推進するための法律だという点が大事です。選択肢に「AIの開発を制限する」「利用を禁止する」と書かれていたら、目的とは逆です。

データの用語は8語で、データを「ためて、整えて、使う」流れの言葉

新試験では、データマネジメントの基礎が新しく加わります。8語は、データの置き場所と、管理のルールと、使い方の言葉に分かれます。

用語 意味(当サイトのまとめ) 問題集
データマネジメント データを業務の改善や意思決定に使えるように、品質・保管・ルールなどを続けて管理する活動 あり
データガバナンス データの扱いについて、ルールや権限・責任を決め、守られているかを監督する仕組み あり
データライフサイクル データが作られてから捨てられるまでの流れ。シラバス案では「生成,保管,処理,活用,廃棄」 あり
DIKWモデル データ(Data)、情報(Information)、知識(Knowledge)、知恵(Wisdom)の4段階で、データが意味を持って使われるようになる過程を表す考え方 あり
データレイク さまざまな形式のデータを、加工せずにそのまま大量にためておく場所 あり
データマート 特定の部門や目的に合わせて、必要なデータだけを取り出してまとめたもの −
ELT/ETL データを取り出し(Extract)、変換し(Transform)、書き込む(Load)処理。ETLは変換してから書き込み、ELTは書き込んでから書き込み先で変換する −
データドリブン経営 勘や経験だけに頼らず、データの分析にもとづいて意思決定をする経営 あり

置き場所の3つは、加工の度合いで並べると覚えやすくなります。加工せずにためるのがデータレイク、分析しやすく整理して統合するのがデータウェアハウス(DWH)、さらに特定の目的向けに絞ったのがデータマートです。データウェアハウスは今のシラバスにもある言葉ですが、新試験ではこの3つが並べて書かれています。

データマネジメントとデータガバナンスは、名前が似ていて取り違えやすい組です。データマネジメントは管理の活動全体、データガバナンスはその中で「ルールを決めて守らせる」部分、と分けて覚えます。

マインド・スタンスと働き方の用語は6語で、アジャイルと採用の言葉

新試験で新しく加わる「マインド・スタンス」は、知識より、変化への向き合い方や行動を問う分野です。IPAのサンプル問題でも、職場の場面での行動を選ぶ形で出ています。

用語 意味(当サイトのまとめ) 問題集
アジャイルマインド 変化があることを前提に、小さく試して学び、柔軟に計画を見直していく考え方 あり
KPT 振り返りの方法の一つ。Keep(続けること)、Problem(問題)、Try(次に試すこと)に分けて出し合う −
アジャイルソフトウェア開発宣言 2001年に公表された、アジャイル開発の考え方を示す宣言。プロセスやツールよりも個人と対話を、包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを、契約交渉よりも顧客との協調を、計画に従うことよりも変化への対応を価値とする −
ウェルビーイング 身体的・精神的・社会的に良い状態であること。働く人の健康や満足を大切にする考え方として使われる −
アルムナイ採用 一度退職した元社員を、再び採用すること あり
リファラル採用 社員から知人や友人を紹介してもらって採用すること −

アジャイルソフトウェア開発宣言は、右側の言葉(プロセスやツール、ドキュメント、契約交渉、計画)にも価値はあるが、左側の言葉(個人と対話、動くソフトウェア、顧客との協調、変化への対応)をより大切にする、という書き方です。「ドキュメントは不要」と言い切った選択肢は、宣言の内容とずれています。

アルムナイ採用とリファラル採用は、どちらも採用の方法なので組で覚えます。アルムナイは「卒業生」という意味の言葉で、元社員を指します。リファラルは「紹介」です。

セキュリティと倫理の用語は6語で、認証の新しい方法と、情報の正しさの言葉

用語 意味(当サイトのまとめ) 問題集
ゼロトラスト 社内のネットワークだから安全とは考えず、すべてのアクセスを信頼しないで、そのつど確認するセキュリティの考え方 −
パスキー パスワードの代わりに、端末などに保存された鍵(秘密鍵)と、指紋・顔などの生体認証やPINを使ってログインする仕組み。公開鍵暗号の考え方を使い、偽のサイトにだまされにくい −
耐量子計算機暗号(PQC) 量子コンピュータを使っても解読が難しいとされる暗号の方式 あり
偽情報(ディスインフォメーション) だます目的で、わざと作られて広められる誤った情報 −
誤情報(ミスインフォメーション) だます目的はなく、思い違いなどで広まってしまう誤った情報 −
デジタルシティズンシップ デジタル社会の一員として、技術を適切に、責任をもって使うための力や態度 −

偽情報と誤情報は、「わざとかどうか」で分けます。どちらも内容は誤りですが、だます目的で作られたものが偽情報(ディスインフォメーション)、悪気なく広まったものが誤情報(ミスインフォメーション)です。

ゼロトラストは、社内と社外の境目を守る考え方(境界型の防御)と比べて覚えます。境界型は「中に入れば信頼する」、ゼロトラストは「中でも毎回確かめる」です。

ビジネスの用語は4語で、経営環境の分析と、DXの指針の言葉

用語 意味(当サイトのまとめ) 問題集
VUCA 変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)の頭文字。先が読みにくい環境を表す言葉 あり
PEST分析 政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の4つの面から、会社の外の環境を分析する方法 −
STP分析 市場を分け(Segmentation)、狙う市場を決め(Targeting)、自社の立ち位置を決める(Positioning)マーケティングの方法 あり
デジタルガバナンス・コード 経済産業省が2020年11月に取りまとめた、企業のDXに向けて経営者に求められる対応を示した指針。2022年9月に2.0、その後3.0に改訂されている −

PEST分析とSTP分析は、どちらもアルファベット4文字・3文字の分析なので、頭文字の意味で区別します。PESTは会社の外の大きな環境、STPは自社がどの市場でどう戦うか、です。今のシラバスでおなじみのSWOT分析(強み・弱み・機会・脅威)と合わせて、3つを並べて覚えると混ざりにくくなります。

取り違えやすい組は、違いを1行で言えるようにしておく

新しい用語は、意味を1つずつ覚えるより、似た言葉と並べて「どこが違うか」を言えるようにしておくと、選択肢で迷いにくくなります。この記事で取り上げた組を、表にまとめます。

組 違い
AIエージェントとガードレール AIエージェントは自分で作業を進める仕組み、ガードレールはその行動に決まりを設ける仕組み
RAGとコンテキスト内学習 RAGは外部の文書を検索して回答に使う、コンテキスト内学習はプロンプトに書いた例や指示から対応する。どちらもモデルを学習し直さない
データマネジメントとデータガバナンス マネジメントは管理の活動全体、ガバナンスはその中でルールや権限を決めて守らせる部分
データレイク・データウェアハウス・データマート 加工せずにためる・整理して統合する・目的向けに絞る、の順に加工の度合いが上がる
ETLとELT 変換してから書き込む(ETL)か、書き込んでから変換する(ELT)か
偽情報と誤情報 だます目的でわざと作られたか(偽情報)、悪気なく広まったか(誤情報)
ゼロトラストと境界型の防御 中でも毎回確かめる(ゼロトラスト)か、中に入れば信頼する(境界型)か
アルムナイ採用とリファラル採用 元社員を再び採用する(アルムナイ)か、社員の紹介で採用する(リファラル)か
PEST分析とSTP分析とSWOT分析 PESTは会社の外の大きな環境、STPは狙う市場と立ち位置、SWOTは自社の強み・弱みと外の機会・脅威

IPAの公開問題でも、誤りの選択肢に、ほかの用語の正しい説明が並ぶ形があります。たとえば令和8年度の問98(プロンプトエンジニアリングの説明を選ぶ問題)では、誤りの選択肢に、データから規則を学ぶ機械学習の説明や、ニューラルネットワークの説明が並んでいます(出典:令和8年度 ITパスポート試験 問98)。表の右の列を自分の言葉で言えれば、こうした選択肢に引っかかりにくくなります。

ハルシネーションやプロンプトインジェクションは、今のシラバスにもすでにある

生成AIの言葉が全部新しいわけではありません。照らし合わせたところ、生成AI、ハルシネーション、プロンプトインジェクション、ディープフェイク、マルチモーダル、XAI(説明可能なAI)、ヒューマンインザループは、今のシラバスVer.6.5にもすでに入っていました。これらは、今の試験の勉強がそのまま使えます。

新試験の案にあって今のシラバスにない言葉は、この33語のほかにも、経営や監査、システムの種類などの分野にあります。ただ、生成AIの言葉の多くは今の勉強がそのまま使えるので、今の試験の過去問で土台を作り、この33語のような新しい言葉を上乗せする、という順番で進めると、勉強のむだが少なくなります。

よくある質問

Q. この33語は、新試験で必ず出題されますか。
A. わかりません。シラバス案の用語例は、出題範囲の言葉の例で、そのすべてが毎回出題されるわけではありません。また、シラバス案は案の段階で、変更される可能性があります。

Q. 新試験で新しく加わる用語は、33語だけですか。
A. いいえ。33語は、今のシラバスに同じ言葉がない用語の中から、当サイトが選んだものです。言葉の表記の違いや、項目の説明の文などを含めると、違いはもっとあります。全体はIPAのシラバス案で確かめてください。

Q. 今の試験(2026年12月27日まで)を受ける場合も、覚える必要がありますか。
A. 今の試験の出題範囲は、今のシラバスです。年内に受ける方は、まず過去問で今の範囲を固めるのが先です。どちらで受けるか迷っている方は、年内に受けるか、新試験を待つかの決め方をご覧ください。

Q. 用語の意味は、どこで確かめればいいですか。
A. この記事の意味は、当サイトが一般的な定義と公的な資料をもとにまとめたものです。法律やガイドラインは、それぞれの原文(e-Gov法令検索、総務省・経済産業省のページ)で確かめられます。

まとめ

  • 今のシラバスVer.6.5と新試験のシラバス案Ver.0.1の全文を照らし合わせ、新試験の案にだけある用語から33語を選んだ
  • AI9語・データ8語・マインド・スタンスと働き方6語・セキュリティと倫理6語・ビジネス4語
  • 覚えるときは、似た用語と組にして違いで覚える(データレイクとデータマート、偽情報と誤情報、アルムナイとリファラルなど)
  • ハルシネーションやプロンプトインジェクションは、今のシラバスにもすでにある
  • 33語のうち17語は、当サイトの確認済みの問題集で練習できる

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あわせて読みたい

参考資料

  • IPA「ITパスポート試験」シラバス Ver.6.5 https://www.ipa.go.jp/shiken/syllabus/omgdg50000005kn1-att/syllabus_ip_ver6_5.pdf
  • IPA「ITパスポート試験」シラバス(案)Ver.0.1(2026年8月31日掲載)https://www.ipa.go.jp/shiken/syllabus/minaoshi/rcu1hd000001ffp5-att/syllabus_ip_ver0_1.pdf
  • IPA プレス発表「情報処理技術者試験における試験区分体系などの見直し(案)について」(2026年3月31日)https://www.ipa.go.jp/pressrelease/2025/press20260331.html
  • e-Gov法令検索「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」https://laws.e-gov.go.jp/law/507AC0000000053
  • 総務省「AI事業者ガイドライン」掲載ページ https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/ai_network/02ryutsu20_04000019.html
  • 経済産業省「デジタルガバナンス・コード」https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc.html

※この記事は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)とは関係のない、民間(個人)のサイトが書いたものです。用語の意味は当サイトのまとめで、試験での出題を約束するものではありません。照らし合わせの結果は2026年10月3日時点のシラバス(案)によります。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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