通所介護(デイサービス)の年間研修計画の立て方、12か月のテーマ割り当てと記録管理のポイント。
通所介護(デイサービス)には、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(以下「指定基準」)で定期的な研修実施が義務付けられているテーマが複数あります。それらをバラバラに対応するのではなく、年間の研修計画として整理しておくことで、漏れなく・無理なく実施できます。
また、行政の実地指導では「年間の研修計画があること」「計画どおり実施した記録があること」の両方が確認されます。計画と記録をセットで管理する仕組みが必要です。
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通所介護で義務・推奨とされている研修テーマを整理する
指定基準に基づいて、通所介護で定期的な研修実施が求められているテーマは次のとおりです。
| テーマ | 根拠 | 最低頻度の目安 |
|---|---|---|
| 虐待防止 | 指定基準(虐待防止のための措置) | 年1回以上 |
| 身体拘束廃止 | 指定基準(身体的拘束等の適正化のための措置) | 年1回以上 |
| 感染症・食中毒対策 | 指定基準(感染症及び食中毒の予防・まん延防止) | 指定権者に確認してください(入所系は年2回以上、通所系は年1回以上とされる場合があります) |
| BCP(業務継続計画) | 指定基準(業務継続計画の策定等) | 年1回以上 |
| ハラスメント防止 | 指定基準(ハラスメント対策) | 定期的 |
| 個人情報保護 | 個人情報の保護に関する法律・指定基準(秘密保持等) | 定期的 |
上記に加えて、認知症ケア・転倒防止・服薬介助・口腔ケアなど、安全なサービス提供のために定期的に扱うことが推奨されるテーマがあります。これらを合わせると、年間で10〜12テーマ以上を研修として扱うことになります。
なお、感染症・食中毒対策は研修と訓練の両方が義務とされており、回数については指定権者によって取扱いが異なる場合があります。計画に組み込む際は担当窓口に確認してください。
年間研修計画の組み立て方
年間研修計画を立てるには、まず「義務テーマの洗い出し」から始めます。次の手順で進めます。
- 義務テーマの確認:指定基準上の必須テーマを書き出す(上記の表を参照)
- 追加テーマの選定:前年度の事故・ヒヤリハット・行政指導の指摘等から、特に強化すべきテーマを加える
- 月ごとへの割り当て:月1回程度のペースで分散させる(季節やリスクの高い時期に合わせて配置するのが効果的)
- 担当者・形式の決定:誰が担当するか・勉強会形式か講義形式か・外部研修を使うかを決める
- 計画書の作成・周知:職員全員に年度初めに周知する
月ごとの研修テーマ配置の例
季節やリスクの高い時期に合わせてテーマを配置する考え方の例です。あくまで参考例であり、事業所の状況に合わせて調整してください。
| 月 | テーマ例 | 配置の理由 |
|---|---|---|
| 4月 | 個人情報保護・新入職員オリエンテーション | 新年度・新入職員に早期に伝える |
| 5月 | 転倒防止・環境安全 | ゴールデンウィーク明けの利用者状態変化に備える |
| 6月 | 虐待防止研修 | 年度前半に必須テーマを実施 |
| 7月 | 感染症・食中毒対策研修 | 夏季の食中毒リスクが高まる時期 |
| 8月 | 熱中症・水分補給・緊急時対応 | 猛暑の時期 |
| 9月 | 認知症ケア・離設防止 | 秋の夕暮れ症候群が出やすい時期に備える |
| 10月 | 身体拘束廃止研修 | 年度後半の必須テーマを実施 |
| 11月 | 感染症対策訓練・インフルエンザ対策 | 冬季の感染症シーズン前 |
| 12月 | BCP(業務継続計画)・自然災害対応 | 冬季の大雪・停電リスクを意識 |
| 1月 | ハラスメント防止 | 年間を通じて必要なテーマを配置 |
| 2月 | 服薬介助・口腔ケア | インフルエンザ後の体調管理と合わせて |
| 3月 | 年度振り返り・ヒヤリハット検討・次年度計画の確認 | 翌年度計画につなげる |
この配置例では、感染症対策を7月と11月の2回実施しています。義務テーマが年1回以上のものは、1回目の実施後に来年度に回す月を決めておくと漏れが防げます。
計画通りに進まない場合の対処
年間研修計画は「計画どおりに進めること」が目的ではなく、「必要なテーマを漏れなく実施すること」が目的です。
参加者が集まらなかった・担当者が急病で対応できなかったなどの理由で実施できなかった場合は、翌月に振り替えて実施します。その際、「〇月予定だったが〇月に振り替えた」旨を計画書に記録しておくと、実地指導で計画との差異を聞かれたときに説明できます。
年度末に「実施できなかったテーマ」が残らないよう、四半期ごとに計画と実績を照合する習慣をつけると管理が楽になります。
研修記録の保管と活用
研修を実施したことを証明するのは記録です。最低限、次の項目を記録として残します。
| 記録項目 | 内容 |
|---|---|
| 実施日 | 研修を行った年月日 |
| テーマ | 当日扱ったテーマのタイトル |
| 参加者 | 参加した従業者の氏名または署名・人数 |
| 資料 | 使用した資料を添付または別保管 |
| 内容の概要 | 何を伝えたか・どのような意見が出たかの簡単なメモ |
特に「参加者の署名」は、「研修を実施した」ことを証明する重要な記録です。名簿への記名でも可ですが、後から追加・改ざんを疑われないよう、研修当日に記録を取ることを徹底します。
外部研修に参加した場合は、参加証明書(修了証・受講票等)を保管しておきます。
外部研修・オンライン研修の活用
事業所内で研修担当者を置くことが難しい専門的なテーマ(認知症ケア・口腔ケア・感染症対策等)は、外部研修やオンライン研修を活用する方法があります。
- 都道府県・市区町村が主催する無料の介護従事者向け研修
- 介護老人保健施設・病院等が主催する勉強会・講習会
- 介護系の専門出版社・団体が提供するオンライン研修
外部研修は「参加しっぱなし」では組織の力になりません。参加した職員が事業所に戻り、内容を他の職員に共有する「伝達研修」を行うことで、参加できなかった職員にも研修内容が届きます。伝達研修の記録も残しておきます。
年間研修計画書のシンプルな作り方
年間研修計画書は、複雑な様式でなくて構いません。Excelやスプレッドシートで、「月」「テーマ」「担当者」「実施日(実績)」「参加者数(実績)」の5列があれば実務では機能します。
計画を立てた時点では「実施日(実績)」欄は空白のままにしておき、実施後に記入します。年度末に実績欄が埋まっていれば、計画どおり研修を実施したことが一目でわかります。
実地指導の際に「今年度の研修計画を見せてください」と言われた場合、この計画書と各回の研修記録(署名つき)をセットで提示できる状態にしておきます。
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▶ 法定研修・訓練キット(通所介護版)
通所介護の法定研修義務の全体像については、通所介護(デイサービス)の法定研修義務、必須テーマと年間スケジュールも参照してください。
毎年の研修テーマの準備や、研修資料・記録様式をひとまとめにした法定研修・訓練キット(通所介護版)もあります。
(出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号))


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