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厚生労働省「令和7年障害福祁サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)では、就労移行支援と短期入所の収支差率はR5(令和5年度)からR6(令和6年度)にかけて最大の悪化幅を記録しました。他サービスが改善または小幅な変化にとどまった中で、この2つのサービスだけが大幅に低下した理由を整理します。
R5→R6収支差率の変化(2サービス)
| サービス | R5平均 | R6平均 | 変化 | R5中央値 | R6中央値 | 変化 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 就労移行支援 | 8.2% | 6.0% | -2.2pt | 6.0% | 4.5% | -1.5pt |
| 短期入所 | 5.4% | 2.3% | -3.1pt | 6.8% | 2.8% | -4.0pt |
就労移行支援は平均で2.2ポイント・中央値で1.5ポイント低下。短期入所は平均で3.1ポイント・中央値で4.0ポイントという大幅な低下です。短期入所の中央値低下(6.8%→2.8%)は7サービス中最大の変化です。
就労移行支援の収支差率悪化の背景
就職実績に連動した報酬体系の厳格化:令和6年4月改定で就労移行支援の報酬は「就職者数・定着者数に応じた加算」体系が強化されました。就職実績の高い事業所は加算収入が増えますが、就職実績が目標を下回った場合は収入が減少する可能性があります。R6は改定初年度であり、就職実績に連動した収入変動の影響が出た事業所が多かった可能性があります。
稼働率69.2%という低水準:就労移行支援の稼働率は7サービス中最も低い69.2%(WAM参考値)です。定員が余っている状態が続くと、人件費が収入に対して過大になります。R6で稼働率がさらに低下した事業所があれば、収支差率の悪化幅はより大きくなります。
求人市場の変化と就職困難:令和6年度は労働市場の変化(特定業種での求人減少等)の影響で、一部の利用者の就職先確保が困難になったケースも考えられます。就労移行支援は就職実績が収入に直結するため、就職難の外部環境が収支差率に影響しやすい構造があります。
短期入所の収支差率悪化の背景
報酬単価の見直し:令和6年4月改定では短期入所の基本報酬が支援区分・入所日数に応じて見直されました。一部の区分・形態で単価が変わった可能性があり、これが収支差率の低下に直結している可能性があります。
収入規模が小さい(平均年収880万円):短期入所は7サービス中最も収入規模が小さく(平均880万円)、固定費の比率が高くなりやすい構造です。報酬単価がわずかに下がるだけで、収支差率への影響が大きくなります。
人件費率69.2%という高い水準:短期入所の人件費率(69.2%)は生活介護と同水準で、7サービス中最も高い部類に入ります。報酬改定で収入が減少した際に、人件費の削減が追いつかなければ収支差率は急激に悪化します。
夜間・緊急の対応コスト:短期入所は夜間も職員が必要なサービスです。夜間支援員の配置コストが事業規模に比して大きいため、稼働率の低下が直接収支に影響します。
2サービスの比較
| 比較項目 | 就労移行支援 | 短期入所 |
|---|---|---|
| R6収支差率(平均) | 6.0% | 2.3% |
| R6収支差率(中央値) | 4.5% | 2.8% |
| 人件費率 | 64.2% | 69.2% |
| 稼働率(WAM参考値) | 69.2% | 記載なし |
| 年間収入(平均) | 2,878万円 | 880万円 |
| 悪化の主因 | 就職実績連動加算・稼働率 | 報酬単価・固定費比率の高さ |
収支差率悪化が続く場合の段階的な対処ステップ
就労移行支援・短期入所で収支差率の悪化が続いている場合、次のステップで確認・対処することが有効です。
ステップ1:収支差率の現状確認(月次)
月次の収入と支出を集計し、収支差率を計算します。就労移行支援なら6.0%(平均)・4.5%(中央値)、短期入所なら2.3%(平均)・2.8%(中央値)が全国水準です。自事業所がこれを下回っているか確認します。
ステップ2:稼働率の確認
就労移行支援(目安:70%以上)・短期入所(月別の稼働実績)を確認します。稼働率が低ければ、収支差率悪化の主因が収入不足にあることが分かります。
ステップ3:加算の取得状況の確認
就労移行支援は就職者数・定着率に応じた加算の算定状況を、短期入所は緊急受入加算・集中的支援加算等の算定状況を確認します。未算定の加算がないか洗い出します。
ステップ4:人件費率の確認
ステップ2・3で稼働率と加算が全国水準を満たしているにも関わらず収支差率が低い場合は、人件費率が原因の可能性があります。就労移行支援64.2%・短期入所69.2%が全国平均ですが、自事業所がこれを大きく超えている場合は人件費の構造(常勤・非常勤比率、残業)を確認します。
ステップ5:長期的な事業継続の判断
ステップ1〜4を実施しても収支差率が改善しない場合は、事業の縮小・他サービスとの一体的運営・事業廃止も含めた検討が必要になります。短期入所(年収880万円・固定費が大きい)は特に、単独運営でのビジネス性を冷静に評価することが重要です。
自事業所で確認すべきポイント
就労移行支援を運営する場合
- 就職者数・定着率が令和6年改定の加算算定要件を満たしているか確認する
- 稼働率69.2%(全国平均)以上を確保できているか確認する。70%を下回っている場合は新規利用者の確保が急務
- 就労定着支援との連携で定着実績を積み、定着支援連携加算の算定が可能か確認する
短期入所を運営する場合
- 令和6年4月改定後の基本報酬単価が変わっていないか確認する(区分別・入所形態別)
- 稼働率が低迷している場合は、他のサービスとの空床利用・登録利用者数の拡大を検討する
- 緊急受入加算・集中的支援加算等の未算定加算がないか確認する
- 年間収入880万円という小規模では固定費の圧縮余地が限られるため、複合型(他サービスとの一体的運営)も長期的な選択肢として検討する
収支差率が全国平均(就労移行6.0%・短期入所2.3%)を下回っている場合は、まず稼働率・加算取得・報酬単価の確認から着手します。これらが全国平均並みであれば、人件費の構造(常勤・非常勤比率)に着目することが次のステップです。
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出典:厚生労働省「令和7年障害福祁サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)、同「令和6年障害福祁サービス等経営概況調査結果」(令和5年度決算)。報酬改定の内容・単価については厚生労働省の通知・告示をご確認ください。

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