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厚生労働省「令和7年障害福祁サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)によると、生活介護の人件費率は平均69.1%で、障害福祉7サービスのうち短期入所(69.2%)に次いで高い水準です。年間収入7,939万円(平均)のうち5,489万円が人件費として支出されています。
生活介護の人件費の内訳(全国平均)
| 項目 | 金額(千円) |
|---|---|
| 年間収入(平均) | 79,388千円(約7,939万円) |
| 年間人件費(平均) | 54,885千円(約5,489万円) |
| 人件費率 | 69.1% |
| 収支差額(平均) | 約5,001千円(約500万円) |
| 収支差率 | 6.3% |
生活介護は7サービスのなかで収入規模が最大(平均7,939万円)ですが、人件費も5,489万円と最大です。収支差率6.3%は7サービス中では中程度の水準です。
生活介護で人件費率が高くなる理由
終日・年間を通じた支援:生活介護は日中の支援を終日提供するサービスです。放デイ(放課後・土日祝のみ)と異なり、平日の朝から夕方まで支援員が必要であるため、常勤・非常勤の雇用量が多くなります。
重度障害者への対応:生活介護の利用者は障害支援区分3以上(多くは4〜6)が中心です。重度の利用者に対応するため、利用者数に対して必要な職員数が多くなります。区分6(最重度)の利用者が多いほど加算収入は増えますが、同時に支援員の配置コストも上がります。
医療的ケアが必要な場合の人件費:医療的ケアが必要な利用者が多い事業所では、看護師・准看護師の配置が必要となります。看護職員の人件費は支援員(介護職員)より高いため、医療的ケアへの対応が進んでいる事業所ほど人件費率が上がりやすくなります。
障害福祉7サービスの人件費率比較
| サービス | 人件費率 | 収支差率(平均) | 年間収入(平均) |
|---|---|---|---|
| GH包括型 | 61.7% | 6.9% | 3,990万円 |
| 就労移行支援 | 64.2% | 6.0% | 2,878万円 |
| 放デイ | 64.4% | 9.1% | 3,103万円 |
| GH日中型 | 66.1% | 5.1% | 5,803万円 |
| 児発 | 68.0% | 7.8% | 2,213万円 |
| 生活介護 | 69.1% | 6.3% | 7,939万円 |
| 短期入所 | 69.2% | 2.3% | 880万円 |
人件費率が高い(69%以上)のは生活介護と短期入所ですが、収支差率では生活介護6.3%・短期入所2.3%と大きく差があります。同じ人件費率水準でも収支差率が異なる理由は、収入規模(稼働率・加算の取得状況)にあります。
生活介護の人件費率が収支差率に与える影響
人件費率が1ポイント上がると、年間収入7,939万円の事業所では年間約79万円の人件費増加に相当します。反対に、人件費率を1ポイント下げると(例:69.1%→68.1%)、収支差率は1ポイント改善します。
人件費率を70%から68%まで2ポイント改善できた場合、年間収支差額は約159万円増加します(年収7,939万円の事業所の試算)。収支差率でいえば6.3%→8.3%に相当する改善幅です。
生活介護で人件費率を適正化するポイント
稼働率(利用率)の向上:人件費は利用者の出欠にかかわらず発生します。稼働率84.2%(WAM参考値)より低い状態では、「人件費は支出しているが収入が入らない日が多い」という状況が生まれます。稼働率を1ポイント上げることで、収入は増え人件費率は下がります。
重度障害者支援加算・行動障害支援加算等の取得:区分6・行動障害等に対応している事業所では、加算取得で収入を増やせます。加算収入が増えると、人件費額が変わらなくても人件費率は低下します。加算の算定要件と自事業所の利用者の状態区分を照合することが先決です。
常勤・非常勤の配置バランスの最適化:生活介護は終日支援が必要ですが、利用者の送迎時間・個別支援の時間帯によって必要な職員数は変動します。必要な人員配置基準を満たしながら、時間帯ごとの配置を最適化することで人件費の増加を抑えられます。
生活介護の法人形態別収支差率と人件費率の関係
生活介護の収支差率を法人形態別に見ると、社会法人6.1%・NPO8.7%・営利法人5.7%・その他7.1%です(令和6年度)。NPO法人が最も高い8.7%を示していますが、その背景には人件費管理の方法が影響している可能性があります。
NPO法人が高い収支差率を維持できる要因:NPO法人はボランティアや地域住民の協力を得やすいという特性から、支援補助の人件費コストが低くなるケースがあります。また、区分6(最重度)利用者への対応と重度障害者支援加算の取得を組み合わせることで、収入を増やしながら人件費率を抑えている事業所があります。
営利法人の収支差率が社会法人を下回る要因:生活介護では社会法人6.1%・営利法人5.7%と、営利法人の収支差率が社会法人を下回っています。これは生活介護が医療的ケア・重度支援に特化した事業所が多いため、専門職(看護師・理学療法士等)の採用コストが営利法人にとって相対的に高くなることが一因と考えられます。
自事業所の法人形態と全国平均の収支差率を比較することで、「法人形態の中での位置づけ」を把握できます。法人形態別の全国平均を下回っている場合は、稼働率・加算取得・人件費率の順に確認することが有効です。
人件費率と収支差率の目安
生活介護の収支差率を改善するための人件費率の目安は次のとおりです。
- 65%以下:収支差率10%以上を実現している可能性がある。加算収入の多さ・規模の経済が効いている大規模事業所等に見られる
- 65〜69%:全国平均(69.1%)に近い範囲。稼働率と加算を両立できていれば収支差率6〜8%程度が期待できる
- 70〜74%:収支差率が5%を下回るリスクが高まる。稼働率・加算の確認が必要
- 75%以上:収支が厳しい状態。収入増加策(稼働率改善・加算取得)または人件費の見直しが急務
自事業所の人件費率を算出し、全国平均69.1%と比較することで、収支差率の改善余地を把握できます。人件費率が全国平均より5ポイント以上高い場合は、まず稼働率と加算取得状況を確認することが優先です。
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出典:厚生労働省「令和7年障害福祁サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)。人員配置基準の詳細は厚生労働省の指定基準通知をご確認ください。

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