消防設備士 乙6の法令(類別)では、「この建物に消火器を何単位分設置すればよいか」を計算で求める問題が出ます。使う数値は消防法施行規則第6条と別表第三に規定されており、式は単純ですが、用途ごとの算定基準面積と耐火建築物の補正を正確に押さえないと選択肢を絞れません。
この記事では、能力単位の計算を3つのステップに整理し、計算例を3問解いてから試験での出題パターンを確認します。設置場所・歩行距離・設置高さの基準は消火器の設置基準で整理しています。
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▶ 消防設備士 乙種第6類 問題集
能力単位の計算の根拠は施行規則第6条と別表第三
消火器の設置に必要な能力単位数は、消防法施行規則第6条第1項が定める次の式で求めます。
必要能力単位数 = 防火対象物の床面積 ÷ 算定基準面積(端数は切り上げ)
算定基準面積は、防火対象物の用途区分ごとに消防法施行規則別表第三で定められています。用途が違えば算定基準面積が変わり、同じ床面積でも必要な能力単位数が変わります。
| 用途区分(施行令別表第一) | 主な用途の例 | 算定基準面積 |
|---|---|---|
| (一)項イ・(二)項・(九)項イなど | 劇場、映画館、キャバレー、特殊浴場 | 50m² |
| (一)項ロ・(三)項〜(六)項・(九)項ロなど | 公会堂、飲食店、百貨店、病院、老人ホーム、旅館 | 100m² |
| (五)項ロ・(七)項〜(八)項・(十)項〜(十五)項など | 共同住宅、学校、図書館、工場、倉庫、一般事務所 | 200m² |
出典:消防法施行規則第6条第1項・別表第三(2026年10月確認)
算定基準面積が小さいほど、同じ床面積に対して多くの能力単位が必要になります。劇場や特殊浴場など人が多く集まる用途は50m²と厳しく、倉庫や事務所は200m²と緩やかに設定されています。
耐火建築物・準耐火建築物では算定基準面積を2倍にできる
消防法施行規則第6条第2項は、一定の構造の建築物に設置する消火器については、算定基準面積の数値を2倍にできると定めています。
| 建築物の構造 | 算定基準面積の扱い |
|---|---|
| 主要構造部を耐火構造とした建築物 | 別表第三の数値の2倍を使える |
| 建築基準法第2条第9号の3の準耐火建築物(消防法施行令第10条第2項の適用を受けるもの) | 同上(別表第三の数値の2倍を使える) |
| 上記以外の建築物(木造など) | 別表第三の数値をそのまま使う |
出典:消防法施行規則第6条第2項(2026年10月確認)
2倍補正が適用されると、分母が2倍になるため必要な能力単位数はおよそ半分になります。同じ床面積・同じ用途でも、耐火建築物かどうかで設置本数が大きく変わるため、試験でも「条件のどの部分を読むか」が問われます。
計算の手順(3ステップ)
問題文に与えられた情報を次の3つのステップで処理します。
| ステップ | やること | 確認する情報 |
|---|---|---|
| 1 | 用途から算定基準面積を読む | 問題文に書かれている防火対象物の用途区分 |
| 2 | 耐火・準耐火の補正があるか確認する | 「耐火建築物」「準耐火建築物」の記述があれば×2 |
| 3 | 床面積 ÷ 算定基準面積(補正後)を計算し、端数を切り上げる | 床面積の数値(m²) |
出典:消防法施行規則第6条第1項・第2項・別表第三(2026年10月確認)
端数の切り上げは重要なルールです。計算結果が7.1であれば8単位、7.0ちょうどであれば7単位とします。端数は「0を超えたら次の整数に上げる」と覚えてください。
計算例(3問)
例1:非耐火建築物、算定基準面積200m²
条件:(十五)項(一般の事業場)・木造建築物・床面積1,500m²
- ステップ1:(十五)項の算定基準面積は200m²
- ステップ2:木造建築物なので耐火補正なし(200m²のまま)
- ステップ3:1,500 ÷ 200 = 7.5 → 切り上げ = 8単位
例2:耐火建築物、算定基準面積200m²
条件:(十五)項(一般の事業場)・耐火建築物・床面積1,500m²
- ステップ1:(十五)項の算定基準面積は200m²
- ステップ2:耐火建築物なので2倍補正 → 200 × 2 = 400m²
- ステップ3:1,500 ÷ 400 = 3.75 → 切り上げ = 4単位
例1と例2は用途と床面積が同じです。耐火建築物であるかどうかだけで必要な能力単位数が8から4に半減します。問題文に「耐火建築物」という記述があるかどうかを最初に確認する習慣が大切です。
例3:算定基準面積100m²の用途
条件:(六)項イ(病院)・耐火建築物・床面積900m²
- ステップ1:(六)項の算定基準面積は100m²
- ステップ2:耐火建築物なので2倍補正 → 100 × 2 = 200m²
- ステップ3:900 ÷ 200 = 4.5 → 切り上げ = 5単位
(六)項は100m²のグループです。耐火補正後の200m²で割ります。同じ用途・同じ床面積でも非耐火建築物なら900 ÷ 100 = 9単位となり、補正の有無で必要単位数が倍近く変わります。
能力単位の計算と設置基準(setchi)の違い
この記事は「必要な能力単位数の求め方」に特化しています。消火器を実際に設置するときは、能力単位の充足に加えて、歩行距離・設置高さ・設置場所の条件も満たす必要があります。
| 項目 | この記事(計算) | 設置基準の記事 |
|---|---|---|
| テーマ | 必要能力単位数の算定 | 歩行距離・設置高さ・設置場所の条件 |
| 根拠条文 | 施行規則第6条・別表第三 | 施行規則第9条・第6条・施行令第10条 |
| 試験での出方 | 「何単位必要か」の計算問題 | 「歩行距離は何m以下か」の正誤問題 |
設置基準の全体は消火器の設置基準で整理しています。
試験での出題パターン
法令(類別)の4問の中で、能力単位の計算に関する問題は次の2つのパターンで出ます。
パターン1:必要能力単位数を求める計算問題
「(〇〇)項の防火対象物、床面積〇〇m²、耐火建築物(または非耐火)に設置する消火器の必要能力単位数はいくつか」という形式です。上記の3ステップを順に当てはめて計算します。
| 問題文に書かれている条件 | 計算での扱い |
|---|---|
| 防火対象物の用途区分(○項) | 算定基準面積(50・100・200m²)を決める |
| 「耐火建築物」または「準耐火建築物」 | 算定基準面積を2倍にする |
| 床面積(m²) | 補正後の算定基準面積で割る(端数切り上げ) |
出典:消防法施行規則第6条・別表第三(2026年10月確認)
パターン2:2倍補正の条件を問う正誤問題
「算定基準面積を2倍にできる条件として正しいものはどれか」という形式で出ます。押さえるポイントは次のとおりです。
- 2倍にできるのは、主要構造部を耐火構造とした建築物または特定の準耐火建築物に限られる
- 「防火建築物」「不燃建築物」という表現は消防法には存在せず、誤りの選択肢として使われることがある
- 3倍・4倍にできるという選択肢は条文にない誤りである
| 選択肢の表現例 | 正誤 | 根拠 |
|---|---|---|
| 主要構造部を耐火構造とした建築物 | 正しい | 施行規則第6条第2項 |
| 準耐火建築物(施行令第10条第2項の適用を受けるもの) | 正しい | 施行規則第6条第2項 |
| 算定基準面積を3倍にできる | 誤り | 条文に3倍の規定はない |
| 防火建築物であれば2倍にできる | 誤り | 「防火建築物」という区分は消防法にない |
出典:消防法施行規則第6条第2項(2026年10月確認)
法令(類別)の出題テーマ全体は乙6の法令(類別)4問の対策で整理しています。
まとめ
消火器の能力単位の計算は、消防法施行規則第6条と別表第三に基づく「床面積 ÷ 算定基準面積(端数切り上げ)」の式で求めます。算定基準面積は用途区分によって50m²・100m²・200m²の3段階があります。主要構造部を耐火構造とした建築物または特定の準耐火建築物では、施行規則第6条第2項により算定基準面積を2倍にできます。計算問題では、用途区分の確認→耐火補正の有無の確認→計算という3ステップを順に当てはめてください。
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