消防法施行令第10条は消火器具の設置義務を定めていますが、同条第3項では屋内消火栓設備・スプリンクラー設備等が設置されている部分に限り、消火器具の設置個数を3分の1まで減少できると定めています。完全免除ではなく「減少」であり、消火器を全く置かなくてよい建物はほぼ存在しません。
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消火器具の設置義務の根拠は消防法施行令第10条
消火器具の設置義務は消防法施行令第10条に定められています。同条第1項では、政令別表第1に掲げる防火対象物の用途・延べ面積・階数によって設置が義務づけられる対象を規定しています。
設置が必要な主な基準は次のとおりです。
| 防火対象物の用途 | 設置が必要な延べ面積 |
|---|---|
| (一)項:劇場・映画館等 | すべて(延べ面積によらず) |
| (二)項:遊技場・キャバレー等 | すべて |
| (三)項:飲食店・料理店等 | すべて |
| (四)項:百貨店・物品販売店 | すべて |
| (五)項ロ:共同住宅・寄宿舎 | 150㎡以上 |
| (六)項:病院・社会福祉施設等 | すべて |
| (十)項:車庫・駐車場 | すべて |
| (十二)項:工場・作業場 | 延べ面積300㎡以上(特定用途以外) |
| (十五)項:その他の事業所 | 延べ面積300㎡以上 |
出典:消防法施行令第10条第1項(消火器具を設置しなければならない防火対象物)
設置個数を減少できる条件(施行令第10条第3項)
消防法施行令第10条第3項は、消火器具の設置個数を3分の1まで減少できる条件を定めています。
減少が認められるのは、次の設備が設置されている部分に限られます。
- 屋内消火栓設備(消防法施行令第11条)
- スプリンクラー設備(消防法施行令第12条)
- 水噴霧消火設備(消防法施行令第13条)
- 泡消火設備(消防法施行令第13条の2)
- 不活性ガス消火設備(消防法施行令第16条)
- ハロゲン化物消火設備(消防法施行令第17条)
- 粉末消火設備(消防法施行令第18条)
これらの消火設備が有効に機能する範囲内の部分に限り、消火器具の設置個数を「算定個数の3分の1まで」減少できます。ただし算定した個数の3分の1を切り捨てた値が0になっても、最低1個は設置が必要です。
減少は「部分的な適用」である点に注意
施行令第10条第3項による減少は、あくまで「当該設備の有効範囲内の部分」についての計算上の話です。次の2点を特に押さえてください。
第一に、消火設備が設置されていない部分(例:倉庫・廊下・別の階等)は減少の対象外です。それらの部分については通常どおりの能力単位で消火器具を配置しなければなりません。
第二に、3分の1の減少は「設置個数を0にしてよい」という意味ではありません。消火設備が整備されている場所でも最低限の消火器具の設置義務は残ります。
大型消火器がある場合の特例
大型消火器(能力単位がA-10・B-20以上のもの)を設置した場合は、その有効範囲内(歩行距離30m以内)の部分について普通消火器の設置個数を減少できる規定があります(消防法施行規則第7条)。大型消火器は消防法施行令第10条第2項に定める能力単位の算定個数に含めることができますが、建物全体で大型消火器だけで対応できるわけではなく、地階・無窓階・3階以上の階には必ず普通消火器を設置しなければなりません。
地階・無窓階・3階以上への設置は減少不可
消防法施行令第10条第1項では、地階・無窓階・3階以上の階には床面積50㎡以上の場合に消火器具の設置義務があると定め、施行令第10条第3項の減少規定の適用が制限されています。この部分は他の消火設備があっても消火器具の設置個数を自由に減らすことはできません。
試験では「施行令第10条第3項の減少は3分の1まで」「地階・無窓階・3階以上は床面積50㎡以上に設置義務」「最低1個は必ず置く」の3点が問われます。
まとめ
消火器具の設置を全く不要にできる免除規定は消防法施行令に存在しません。屋内消火栓・スプリンクラー等が設置されている部分では施行令第10条第3項により設置個数を3分の1まで減少できますが、最低1個は残ります。地階・無窓階・3階以上は減少適用が制限されており、床面積50㎡以上であれば必ず消火器具の設置が必要です。試験では減少の条件と数値(3分の1)を正確に覚えることが重要です。
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