消防設備士 甲種第2類(甲2)の勉強法と試験内容。泡消火設備の工事もできる資格

消防設備士 甲種第2類(甲2)は、泡消火設備の工事・整備・点検のすべてを担える資格です。乙種第2類(乙2)が整備・点検だけに限られるのに対し、甲種は新設・改造の工事まで請け負えます。筆記45問・実技7問(鑑別5問+製図2問)・試験時間3時間15分。令和7年度の合格率は27.2%(消防試験研究センター「試験実施状況」)です。乙種と違って受験資格が必要な点、製図問題がある点が難しさの主な要因です(消防法施行規則第33条の8・第33条の12)。

消防設備士 甲種第2類とはどんな資格か

消防設備士第2類は泡消火設備を対象とする資格です。泡消火設備は、主に駐車場・飛行機格納庫・指定可燃物を扱う施設に設置が義務付けられています(消防法施行令第13条)。水では消火が難しい可燃性液体の火災に対し、泡で酸素を遮断しながら冷却する仕組みです。

甲種は工事(新設・増設・改造)・整備・点検のすべてを担えます。乙種は整備と点検のみです(消防法第17条の5)。現場で工事を指揮する立場や、消防設備工事会社で設計・施工を担当するなら甲種が必要です。整備・保守の仕事が中心であれば乙種でも対応できます。

第2類の市場規模は甲4(自動火災報知設備)や乙6(消火器)より小さいですが、駐車場や大型工場・空港に特化した仕事では不可欠な資格です。

甲種と乙種の業務範囲の違い

甲種と乙種で担える業務の範囲は消防法第17条の5に定められています。

業務 甲種第2類 乙種第2類
工事(新設・増設・改造) ○ ×
整備(部品交換・調整等) ○ ○
点検(外観・機能・総合) ○ ○

工事とは、配管の引き直し・フォームヘッドの新規取り付け・一斉開放弁の設置など、設備の構成そのものを変える作業です。この工事には甲種免状が必要で、乙2しか持っていない人が工事を担うことは法令上認められていません。

なお、甲種消防設備士が工事を行う場合、工事着手10日前までに消防長または消防署長へ着工届を提出する義務があります(消防法第17条の14)。

試験科目と問題数

甲種第2類の筆記試験は45問・実技は7問です。科目ごとの問題数・最低正解数・試験時間は次のとおりです。

試験区分 科目 問題数 最低正解数
筆記(45問・2時間30分) 消防関係法令(共通) 6問 3問
消防関係法令(類別) 4問 2問
基礎的知識(機械) 10問 4問
構造・機能及び工事整備 25問 10問
実技(7問・45分) 鑑別 5問 合計60%以上
製図 2問

出典:消防試験研究センター「試験科目及び問題数」・消防法施行規則第33条の12・第33条の14。

合格基準は「筆記各科目40%以上かつ全体60%以上(27問以上)」「実技60%以上」の両方を満たすことです。どれか一方でも下回ると不合格になります。

乙種第2類との大きな違いは、筆記が15問多い(30問→45問)ことと、実技に製図(2問)が加わることです。製図は甲種固有の科目で、フォームヘッドの配置設計(有効散水面積9㎡をもとに設置個数を算出)や配管図の作成が出題されます。

受験資格(甲種のみ必要)

乙種は誰でも受験できますが、甲種には消防法施行規則第33条の8に定める受験資格が必要です。主な区分を整理します。

区分 条件
大学・短大・高専(機械・電気・工業化学・土木・建築等) 卒業のみで可
甲種消防設備士免状(類は問わない) 取得済みであれば可
乙種消防設備士免状+消防用設備整備の実務 免状取得後2年以上の従事実績
第1種・第2種電気工事士 免状取得者
技術士(機械・電気電子・化学等) 合格者
消防団員(5年以上勤務+消防学校基礎教育修了) 条件を満たせば可

泡消火設備の経験がない場合は「乙種第2類を取得→2年以上の整備実務→甲種第2類受験」が最も確実なルートです。乙2の試験範囲は甲2の基礎部分と重なるため、学習のロスが少なく済みます。

構造・機能及び工事整備(機械)の出題範囲

甲2の筆記で最も問題数が多い「構造・機能及び工事整備」(25問)は、さらに機械・薬剤・一斉開放弁の3区分に分かれます。甲種では乙種にない工事関連の項目が加わります。

機械(設備の構造と工事)

  • 泡消火設備の全体構成(水源・ポンプ・混合装置・配管・放出口)
  • 泡消火薬剤混合装置(プロポーショナー)の種類:ライン式・ポンプ式・バランス式等
  • フォームヘッドの構造と有効散水半径
  • 高発泡用泡放出口(全域放出方式・局所放出方式)
  • 一斉開放弁と流水検知装置の構造と動作
  • 起動装置と非常電源(30分間以上・施行規則第12条第1項第4号準用)
  • 移動式泡消火設備
  • 配管の材質・管継手・溶接接続と圧力試験(工事)
  • 一斉開放弁の構造・動作と設置の要点(工事)
  • フォームヘッドの配置設計(個数算出・有効散水面積)
  • ポンプの設置・性能試験と保護装置(工事)
  • 非常電源・制御盤の設置と配線工事

薬剤の規格

  • 泡消火薬剤の種類(たんぱく・合成界面活性剤・水成膜・耐アルコール型等)
  • pH(6.0〜8.5)・比重・粘度・流動点・沈澱量・引火点
  • 腐食性・発泡性能・消火性能
  • 容器と表示事項

一斉開放弁の規格

  • 一斉開放弁の趣旨・構造(規格省令第1条・第2条)
  • 材質・最高使用圧力の範囲(第3条・第3条の2)
  • 耐圧力(最高使用圧力の2倍以上の水圧)(第4条)
  • 機能(作動時間60秒以内・通水耐久)・表示(第5条・第6条)

基礎的知識(機械)の出題範囲

甲2の基礎的知識は10問で、乙2(5問)より多くの項目が出題されます。力学・流体・材料・配管の基本が問われます。

  • 力のつり合いと力のモーメント
  • 荷重・応力・ひずみ・安全率・応力-ひずみ線図
  • 圧力と気体の性質(ボイルの法則等)
  • 金属材料と熱処理・金属の腐食と合金の性質
  • 仕事・動力・摩擦・てこと滑車
  • 流体の流れと密度・水力学(流量・流速・圧力損失)
  • ポンプの種類と特性(揚程・吐出量・性能曲線)
  • 配管の接続(ねじ・フランジ・溶接・管継手)

乙2と比べ、ポンプの性能曲線・配管接続の種類が追加されます。計算問題が出るのはモーメント・応力・揚程の算出などです。

消防関係法令の出題範囲

共通(6問)

消防設備士全類に共通する法令から6問出題されます。主な項目は次のとおりです。

  • 消防用設備等の設置・維持と措置命令(消防法第17条・第17条の4)
  • 既存の防火対象物への遡及適用(消防法第17条の2の5)
  • 設置の届出と検査(消防法第17条の3の2)
  • 定期点検と報告(消防法第17条の3の3)
  • 消防設備士でなければできない工事・整備と免状の種類(消防法第17条の5)
  • 免状の交付・記載事項・書換え・再交付・返納(消防法第17条の7〜10)
  • 講習・誠実義務・免状の携帯・着工届(消防法第17条の13〜15)
  • 検定制度(型式承認・型式適合検定)(消防法第21条の2〜)
  • 防火対象物の用途区分と特定防火対象物(施行令別表第一)

類別(4問)

泡消火設備に特化した法令から4問出題されます。設置義務のある防火対象物・泡放出口の種別・ヘッドの設置基準・水源量・薬剤貯蔵量・設置細目が中心です(施行令第13条・施行規則第15条〜第18条)。

2か月の学習プラン

乙2の知識なしから甲2を目指す場合、週15〜20時間を2〜3か月続けることが目安です。科目別の配分例を示します。

期間 科目 目標時間 ポイント
1〜3週目 消防関係法令(共通・類別) 15〜20時間 免状・届出・設置基準の数字を覚える
4〜5週目 基礎的知識(機械) 15〜20時間 計算問題(モーメント・揚程)は繰り返し練習
6〜8週目 構造・機能及び工事整備(機械・薬剤・一斉開放弁) 25〜35時間 プロポーショナーの種類・一斉開放弁の規格数値を確認
9〜11週目 実技(鑑別・製図) 20〜30時間 製図は早めから練習。フォームヘッドの配置計算を繰り返す

製図は過去に出題された問題のパターンを繰り返し解くことが有効です。有効散水面積9㎡からヘッドの必要個数を求める計算・配管口径の選定・系統図の作図が出るため、書いて覚える練習が欠かせません。

試験の申し込みと日程

甲種第2類の試験申し込みは消防試験研究センターの電子申請(CBT方式・書面申請)で行います。試験は全都道府県で年に複数回実施されていますが、甲2は甲4(最多)に比べて試験回数が少ない都道府県もあります。試験日程はセンターの公式サイトで確認してください。

書面申請の場合、受験する都道府県のセンター支部に願書を提出します。電子申請(CBT方式)は全国の試験会場でパソコン受験が可能で、日程の柔軟性があります。甲種の受験資格を証明する書類(卒業証明書・免状のコピー等)は申し込み時に提出が必要です。

よくある間違い・試験の落とし穴

甲2の試験で繰り返し見られる間違いパターンを整理します。学習中に意識しておくと正解率が上がります。

数値の混同

泡消火設備の法令には細かな数値が多く、似た数字が複数並ぶため混同しやすいです。代表的なものを押さえます。

項目 正しい数値 出典
フォームヘッド1個の有効散水面積 9㎡ 施行規則第15条
一斉開放弁の作動時間 60秒以内 規格省令第5条
高発泡の膨脹比 80以上 施行規則第13条の5
低発泡の膨脹比 20以下 施行規則第13条の5
泡消火薬剤のpH(水成膜) 6.0〜8.5 薬剤規格省令
着工届の提出期限 工事着手10日前まで 消防法第17条の14
非常電源の容量 30分間以上 施行規則第12条第1項第4号準用

甲種と乙種の業務範囲の誤解

「甲種なら何でもできる」という誤解があります。甲種第2類は泡消火設備に限定されており、スプリンクラー設備(第1類)や自動火災報知設備(第4類)の工事は担えません。類を越えた工事・整備は各類の免状が必要です(消防法第17条の5)。

製図の計算ミス

フォームヘッドの個数算出は「面積÷9㎡(切り上げ)」ですが、切り上げを忘れて小数点以下を切り捨てるミスがあります。また配管口径の算出では流量・流速の単位変換ミスも起きやすいです。計算は途中式を書いて確認する習慣をつけることが重要です。

一斉開放弁と流水検知装置の混同

一斉開放弁はパイロット管の加圧・減圧で動作し、感知器等からの信号で電動弁(または手動開放)とともに動作します。流水検知装置(アラーム弁)はスプリンクラー設備のもので、泡消火設備には使われません。試験では両者の構造・動作原理の違いが出題されます。

試験当日の注意点

消防設備士の試験当日に確認しておくべき点を整理します。

  • 試験会場は消防試験研究センターが指定した会場です。試験室の番号・受験番号は受験票で確認します
  • 持ち込めるものは鉛筆・シャープペンシル・消しゴム・定規(製図のある甲種)です。電卓・スマートフォンは持ち込み不可です
  • 実技(記述式)は鉛筆で記入します。字が読める程度の丁寧さで書いてください
  • 製図問題では定規を使って線を引くことが認められています。フリーハンドでも採点されますが、読みやすい図を描くと部分点が取りやすくなります
  • 筆記と実技で別の時間帯に分かれて実施されることがあります。受験票の記載を事前に確認してください

免状の申請手続き

試験合格後、免状の交付申請は各都道府県の消防試験研究センター支部・または都道府県知事宛に行います(消防法第17条の7)。合格通知(はがき)が届いてから一定期間内に申請手続きを行ってください。

申請に必要なものは、合格通知はがき・申請書・証明写真・手数料(収入証紙等)が一般的です。都道府県によって手続きが異なるため、合格通知に同封されている案内を確認してください。

免状取得後は2年以内に初回の講習受講が義務付けられています(消防法第17条の13)。講習を受けないと免状の返納を命じられることがあります。

問題集と試験対策のコツ

甲2の合格に向けた勉強では、法令の原文(消防法・施行令・施行規則・薬剤規格省令・一斉開放弁規格省令)に基づいた数字・条件を正確に覚えることが重要です。AIが生成したり、確認が不十分な問題集では誤った数値を学んでしまうリスクがあります。

当サイトの消防設備士 甲種第2類 AI問題集は、法令の原文との照合を経た問題(筆記106問)を無料で解けます。鑑別・AI無限生成・模試(本番と同じ配分)は買い切り980円です。

消防設備士の試験情報全般は消防設備士の問題集・試験対策(5類横断)もあわせてご覧ください。

出典:消防法第17条の5・第17条の14・消防法施行規則第33条の8・第33条の12・第33条の14・消防試験研究センター「試験科目及び問題数」「試験実施状況」令和7年度。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

ご質問はメールで。電話・面談はしていません。

fufumumu_designをフォローする
資格
fufumumu_designをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました