消防設備士4類(乙4・甲4)の試験には、他の国家資格を持っている場合に一部の科目を免除できる制度がある。電気工事士や電気主任技術者(電験)、第一級陸上無線技術士(1陸技)を取得済みであれば、電気系の科目をまるごと受けなくて済む。うまく使えば試験当日の負担を減らせるが、「免除すれば有利」とは必ずしも言えない側面もある。この記事では、4類に関係する免除の種類・対象科目・申請方法・落とし穴を整理する。
消防設備士試験の科目免除制度の根拠
科目免除の根拠は消防法施行規則第44条だ。同条は「他の法令の規定による免状、証明書等を持つ者は、一定の試験科目を免除する」旨を定めており、消防試験研究センターが各都道府県の試験案内で具体的な免除科目を公表している。
免除を受けるには試験申込時に申請書を提出し、対象資格の証明書(免状のコピーなど)を添付する。後から追加はできないため、申込時に必ず申請する。
乙種4類の科目免除一覧
乙種4類の試験科目は筆記(消防法令共通6問・消防法令4類4問・基礎的知識5問・構造機能電気9問・構造機能規格6問)と実技(鑑別5問)の計35問構成だ。免除が適用されるのは筆記の「基礎的知識(電気)」と「構造機能整備(電気)」の2科目で、合計14問が免除になる。
| 保有資格 | 免除される科目(乙4) | 免除問題数 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 電気工事士(第一種・第二種) | 基礎的知識(電気)・構造機能整備(電気) | 14問 | 施行規則第44条第2号 |
| 電気主任技術者(電験一種・二種・三種) | 基礎的知識(電気)・構造機能整備(電気) | 14問 | 施行規則第44条第3号 |
| 第一級陸上無線技術士(1陸技) | 基礎的知識(電気)・構造機能整備(電気) | 14問 | 施行規則第44条第4号 |
| 甲種消防設備士(同種の消防設備) | 消防法令共通・基礎的知識・構造機能整備 | 科目により異なる | 施行規則第44条第1号 |
電気工事士・電験・1陸技の3資格はいずれも免除される科目が同じで、「基礎的知識(電気)5問」と「構造機能整備(電気)9問」の合計14問が免除対象になる。実技(鑑別)と法令科目は免除されない点に注意が必要だ。
甲種4類の科目免除一覧
甲種4類の試験科目は筆記(消防法令共通8問・消防法令4類7問・基礎的知識(電気)10問・構造機能(電気)12問・構造機能(規格)8問)と実技(鑑別5問・製図2問)の計52問構成だ。
| 保有資格 | 免除される科目(甲4) | 免除問題数 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 電気工事士(第一種・第二種) | 基礎的知識(電気)・構造機能(電気) | 22問 | 施行規則第44条第2号 |
| 電気主任技術者(電験一種・二種・三種) | 基礎的知識(電気)・構造機能(電気) | 22問 | 施行規則第44条第3号 |
| 第一級陸上無線技術士(1陸技) | 基礎的知識(電気)・構造機能(電気) | 22問 | 施行規則第44条第4号 |
甲種4類では電気系科目が乙種より多いため、免除問題数も22問と大きくなる。全52問中22問が免除になるため、残りは30問で合格を狙う構成になる。
免除後の合格基準の計算方法
科目免除を使うと問題数が減るが、合格基準の計算には注意が必要だ。消防設備士試験の合格基準は「各科目40%以上かつ全体60%以上」だ(消防法施行規則第44条の3)。
乙種4類で電気系14問を免除した場合の計算例を示す。
| 科目 | 免除なし | 電工免除あり |
|---|---|---|
| 消防法令(共通) | 6問中3問以上 | 6問中3問以上 |
| 消防法令(4類) | 4問中2問以上 | 4問中2問以上 |
| 基礎的知識(電気) | 5問中2問以上 | 免除 |
| 構造機能整備(電気) | 9問中4問以上 | 免除 |
| 構造機能整備(規格) | 6問中3問以上 | 6問中3問以上 |
| 実技(鑑別) | 5問中3問以上(60%) | 5問中3問以上(60%) |
| 筆記合計(全体60%) | 30問中18問以上 | 16問中10問以上 |
免除なしの筆記は30問中18問(60%)以上が目安だ。免除ありは筆記16問中10問(62.5%)以上が必要で、1問あたりのウェイトが大きくなる。問題数が少ないほど1問あたりの重みが増す点を理解しておきたい。
免除を使うとき・使わないときの判断基準
科目免除には「免除すれば絶対有利」という単純な話ではなく、状況によって判断が分かれる。
免除を使った方がよいケース
電気系科目に自信があっても、試験当日の時間と集中力を法令や鑑別・製図に集中させたい場合は免除が有効だ。特に甲種4類の電気系22問は範囲が広く、得点は取りやすいが準備に時間がかかる。免除することで法令・実技に絞った対策ができる。
免除を使わない方がよいケース
電気系科目は「確実に得点できる科目」でもある。電気工事士取得済みであれば、基礎的知識と構造機能(電気)は解ける問題が多い。免除せずに受験すれば得点源として使え、全体の合格ラインに余裕が生まれる。
また、科目免除を使って残った科目で不合格になると再受験が必要になる。免除で問題数が少ない状態は「得点できる科目が減る」ことでもあるため、法令や規格が苦手な場合は免除しない選択肢も検討に値する。
部分合格制度との関係
消防設備士試験には「一部合格(科目合格)」の制度がある。筆記試験の各科目で合格基準(40%以上)を満たしたが全体60%に届かなかった場合、次回以降の試験で合格した科目を免除できる(2年間有効)。
科目免除と部分合格の免除は別制度だ。電気工事士免除を使って受験し、残った科目の一部で部分合格した場合は、その科目についてさらに次回に引き継げる。ただし2年の有効期間を過ぎると失効する点に注意が必要だ。
甲種取得済みの場合の乙種受験
甲種消防設備士を取得済みの人が乙種を受験する場合、一部の科目が免除になる(施行規則第44条第1号)。甲種4類を取得済みで乙種4類を受験する際は、消防法令共通・基礎的知識・構造機能整備の問題数が削減される形で適用される。具体的な免除科目・問題数は受験案内で確認することが必要だ。
免除申請の手続き
科目免除の申請は試験申込と同時に行う。手順は以下のとおりだ。
- 消防試験研究センターの試験申込書に免除申請の記載をする
- 対象資格の免状または合格証の写しを申込書に添付する
- 郵送または電子申請で提出する(都道府県によって方法が異なる)
- 申込後の変更は原則受け付けていないため、申込時に確定させる
CBT試験(コンピュータ試験)でも科目免除の申請手続き自体は同じだ。ただしCBT試験の受験票には免除科目が明記されるため、受験票到着後に内容を確認しておくとよい。
試験出題パターン3件
科目免除に関しては、試験に直接出題されることは少ないが、試験科目の構成や問題数を理解していないと解答時間の計算ミスや科目基準の見落としにつながる。
パターン1:免除後の全体問題数の計算
「電気工事士を持つ受験者が乙種4類を受験した場合、筆記試験の問題数は何問か」といった問い。正解は筆記30問から14問を引いた16問になる。
パターン2:実技は免除されないことの確認
「電験三種を持つ者が乙種4類を受験した場合、鑑別問題は免除されるか」。正解は「免除されない」。電験(電気主任技術者)では鑑別は免除されない。なお電気工事士(電工)免除の場合は鑑別1問が免除されて4問になる点に注意(電験との違い)。
パターン3:免除後の合格基準の適用
「電気工事士免除を使って乙種4類を受験し、残り筆記16問中9問を正解した場合の合格可否」。9問は56.25%で全体60%未満のため不合格になる(10問以上正解=62.5%以上で合格ライン)。
まとめ
- 電気工事士・電験・1陸技を持つ者は、乙種4類で14問・甲種4類で22問の電気系科目が免除になる(施行規則第44条)
- 免除科目は「基礎的知識(電気)」と「構造機能整備(電気)」で、法令・規格・実技は免除されない
- 免除後の合格基準は残った問題数で計算されるため、1問あたりのウェイトが増す
- 電気系が得点源になる場合は免除しない選択肢も有効。法令や実技に集中したい場合は免除を活用する
- 申請は試験申込時のみ。後から変更はできないため事前に確認する
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試験の詳細・受験資格・免除制度の解説は消防設備士4類 試験ガイドもあわせて参照してください。
出典
- 消防法施行規則第44条(科目の免除)
- 消防法施行規則第44条の3(合格基準)
- 消防試験研究センター「試験案内」(各都道府県版)
※本記事は試験対策を目的とした情報提供です。最新の免除科目・問題数は受験する都道府県の消防試験研究センターの案内で必ず確認してください。


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