第一種・第二種電気工事士や電気主任技術者の免状を持っていても、消防設備士 乙6の試験では科目の免除を受けられません。
消防設備士の試験では、電気工事士や電気主任技術者(電験3種・電験2種・電験1種)の免状を持つ場合に科目免除が認められる類があります。ただし対象になるのは試験に「電気系の科目」が含まれる類に限られます。乙6の試験科目は「機械系」で構成されており、電気系の免除が適用できる条件を満たさないため、電工・電験を持っていても免除は一切受けられません。
この記事では、乙6で電工・電験の免除が使えない理由・電工・電験の免除が使える消防設備士の類・電工を持っている人が乙6の受験を検討する際の注意点を整理します。
科目免除の根拠と条件
消防設備士試験の科目免除は、消防法施行規則第33条の12に定められています。同条は、他の国家資格・免状を持つ者が消防設備士を受験する場合に、一定の科目を免除できると規定しています。
免除を受けるには「持っている資格が免除対象に指定されていること」と「免除対象の科目が受験する類の試験に含まれていること」の両方が必要です。電工・電験が免除できるのは「電気に関する部分」の科目だけです(施行規則第33条の12第1項第3号・第4号等)。
乙6に電気系の科目はない
乙6の試験科目は次の5科目(筆記30問)と実技1科目(鑑別5問)で構成されています。
| 科目 | 問題数 | 内容の区分 |
|---|---|---|
| 消防関係法令(共通) | 6問 | 法令 |
| 消防関係法令(類別) | 4問 | 法令 |
| 基礎的知識(機械に関する部分) | 5問 | 機械系 |
| 構造・機能・整備(機械に関する部分) | 9問 | 機械系 |
| 構造・機能・整備(規格省令に関する部分) | 6問 | 規格 |
| 実技(鑑別等) | 5問 | 機械・法令 |
出典:消防試験研究センター「試験科目及び問題数」(2026年10月確認)
乙6の試験に「電気に関する部分」という科目は存在しません。電工・電験の免除が適用できる「電気系の科目」がないため、どの電気系資格を持っていても乙6では免除にならないのです。
電工・電験の免除が使える消防設備士の類
電気工事士や電気主任技術者の免状は、「電気に関する部分」の科目を含む類で免除の対象になります。主に乙種4類・甲種4類・乙種7類です。
| 資格 | 乙4・甲4での免除 | 乙7での免除 |
|---|---|---|
| 第一種電気工事士 | 電気に関する部分が免除 | 電気に関する部分が免除 |
| 第二種電気工事士 | 電気に関する部分が免除 | 電気に関する部分が免除 |
| 電験3種(第三種電気主任技術者) | 電気に関する部分が免除 | 電気に関する部分が免除 |
| 電験2種・電験1種 | 電気に関する部分が免除 | 電気に関する部分が免除 |
出典:消防試験研究センター「試験の一部免除」(2026年10月確認)
乙4(自動火災報知設備・ガス漏れ火災警報設備・消防機関へ通報する火災報知設備)と乙7(漏電火災警報器)の試験には「電気に関する部分」が含まれています。電工・電験を持つ人がこれらを受験する場合は、その科目が免除されます。
乙6の消火器は「機械系の設備」であり、電気系の設備ではないため、試験も機械系の科目で構成されています。これが「電工持ちでも乙6で免除にならない」根本的な理由です。
乙6に科目免除はないが、乙6取得後に他の類で免除が使える
乙6の試験に向かって使える免除は少ないですが、乙6を取得したあとに他の消防設備士試験を受ける際には科目免除が使えます。
消防設備士免状(種類を問わず)を持つ者が同じ試験センターで別の類を受験する場合、「消防関係法令(共通)6問」が免除されます(消防法施行規則第33条の12)。
たとえば、乙6取得後に乙4を受験する場合:
- 消防関係法令(共通)6問が免除
- さらに、電工2種を持っていれば「電気に関する部分」も免除
- 複数の免除が重なり、乙4の勉強量が大幅に減る
電工2種を持ちながら乙6→乙4という順で取得するルートは、消防設備士の資格を積み上げる際の効率的な一つの選択肢です。
電工持ちが乙6を受験する場合の注意点
乙6は電気の知識がほぼ不要
乙6の試験科目は機械系・法令系です。電工や電験で学んだ電気回路・電気工学の知識は乙6の試験にほとんど役立ちません。乙6を受験する際は、電気の知識は一旦置いて、消防法・消火器の構造・規格省令という新しい領域を一から学ぶ必要があります。
基礎的知識(機械)は電工と関係ない
乙6の基礎的知識(機械)では、圧力・力のモーメント・流体力学・金属の性質などが出題されます。電気工事の知識とは別の領域であり、電工・電験の学習経験が直接役立つ科目ではありません。機械系の基礎をあらためて学習する必要があります。
乙6には科目免除がない分、全科目を対策する必要がある
電工を持つ受験者でも、乙6の5科目+鑑別をすべて対策する必要があります。免除なしの場合の試験時間は105分、筆記30問+鑑別5問、合格基準は各科目40%以上・全体60%以上・実技60%以上です(消防法施行規則第33条の14)。
電工持ちが消防設備士に効率よく挑む順序
第二種電気工事士(または第一種・電験)を持っている場合、消防設備士の取得順序として次のルートが効率的です。
| 取得順序 | 理由 |
|---|---|
| ①乙6または乙4から始める | 乙6は受験資格なし・機械系。乙4は電工の免除が使える |
| ②乙6取得後に乙4を受ける場合 | 法令共通6問が免除+電工の電気免除で乙4の負担が減る |
| ③乙4取得後に乙7を受ける場合 | 法令共通免除+電工の電気免除で効率よく取れる |
乙6からスタートするか乙4からスタートするかは、「最初に消火器の仕事がしたいか」「自動火災報知設備の仕事がしたいか」によって決まります。どちらも受験資格はなく、電工の免除は乙4・乙7で活きます。
乙6取得後の次の類の選び方については、次に取る資格の組み合わせも参照してください。
まとめ
電気工事士(第一種・第二種)・電気主任技術者(電験3種・2種・1種)を持っていても、消防設備士 乙6の試験では科目免除を受けられません。理由は乙6の試験に「電気に関する部分」の科目が存在しないからです。
電工・電験の免除が使えるのは、試験に電気系の科目を含む乙4・甲4・乙7です。乙6を受験する場合は全5科目と鑑別をすべて対策する必要があります。
乙6を取得した後に乙4・乙7を受験すれば、乙6取得による「法令共通免除」と電工による「電気免除」の両方を活用できるため、2本目以降の資格取得はより効率的に進められます。
出典:消防法施行規則第33条の12(科目免除)・第33条の14(合格基準)、消防試験研究センター「試験の一部免除・試験時間・試験問題数一覧表」(2026年10月確認)


コメント