第1類の勉強法。計算・鑑別・法令、各科目の優先順位と時間の目安

第1類の勉強法。計算・鑑別・法令、各科目の優先順位と時間の目安 資格

消防設備士第1類(屋内消火栓・スプリンクラー設備)は、筆記と実技を合わせると問題数が多く、甲種には計算問題と製図の両方が含まれます。「何から手をつければいいか」「どの科目にどのくらい時間をかければいいか」が見えにくい試験です。この記事では、科目ごとの出題数・難しさの特徴・攻略の順番と時間の目安を整理します。

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まず試験の全体像を把握する

消防試験研究センターが公表している「試験科目及び問題数」によると、第1類の問題構成は次のとおりです。

甲種第1類の場合、筆記試験が50問・実技試験が7問(鑑別5問・製図2問)で、試験時間は3時間15分です。乙種第1類の場合、筆記試験が30問・実技試験が5問(鑑別のみ)で、試験時間は1時間45分です。

筆記試験の内訳は、甲種の場合:法令(共通)8問・法令(第1類)7問・基礎的知識10問(機械・流体)・構造機能整備25問です。乙種の場合:法令(共通)6問・法令(第1類)4問・基礎的知識5問・構造機能整備15問です。合格基準は「筆記試験の各科目で40%以上・筆記全体で60%以上・実技試験で60%以上」です(消防試験研究センター公表の合格基準による)。実技は記述式で、部分点がある場合があります。

この構成を見ると、甲種と乙種で大きく違う点が2つあります。ひとつは「構造機能整備」の問題数(甲種25問 vs 乙種15問)、もうひとつは実技に「製図」があるかどうかです。勉強にかける時間は、甲種と乙種で2倍近く変わります。

第1類を難しくしている3つの要素

計算問題(基礎的知識・構造機能整備)

他の消防設備士試験と比べて、第1類は計算問題が多いのが特徴です。基礎的知識(10問)では、ベルヌーイの定理・連続の式・流量の計算が出題されます。構造機能整備では、水源水量・ポンプ全揚程・ヘッドの設置個数の計算が問われます。電卓は使えないため、式の形を覚えて手計算で処理できるようにしておく必要があります。

鑑別(実技)

鑑別は、写真や図を見て機器の名称・用途・設置基準などを記述で答える形式です。選択肢のない記述問題のため、「見た目でわかる」レベルの知識が必要です。試験では減圧弁・止水弁・流量計・各種ヘッドの写真が出る傾向があります(出題傾向は消防試験研究センター発行の例題集を参考にしてください)。写真と名称・用途を一対一で覚えることが、鑑別対策の基本になります。

製図(甲種のみ)

甲種の実技には鑑別5問に加えて製図2問があります。製図では、スプリンクラー設備や屋内消火栓設備の系統図を書いたり、配管経路上のヘッド個数・水量を計算したりします。製図は計算と作図の両方が必要で、知識を総合的に使う問題です。乙種にはないため、甲種を目指す場合は製図の対策が別途必要になります。

科目ごとの攻略方法

法令(共通6問):合格ラインは3問以上

法令共通は消防法の基礎的な内容です。消防設備士の義務・免状・検定制度などが出ます。覚える内容は多くありませんが、条文のニュアンスを正確に覚える必要があります。最初に取り組む科目として適しています。1〜2時間で一通りの確認ができ、演習を重ねながら定着させていきます。

他の類の免状を持っている場合は法令共通が免除されます。免除を使う場合は、この科目の勉強は不要です。

法令(第1類4問):合格ラインは2問以上

法令第1類は、屋内消火栓設備・スプリンクラー設備の設置義務と設置基準に関する内容です。消防法施行令第11条(屋内消火栓設備)・第12条(スプリンクラー設備)がメインです。問題数は4問と少ないですが、設置対象物の種類・床面積の基準など細かい数字が問われます。法令共通とセットで勉強すると効率がよいです。

基礎的知識(10問):合格ラインは4問以上

機械・流体の物理的な計算が中心です。具体的には、ベルヌーイの定理(エネルギー保存の式)、連続の式(断面積と流速の関係)、流量計算、摩擦損失などが出ます。電工や他の消防設備士(電気系)を受けてきた方は、ここが新しい学習領域になります。

式そのものを覚えるよりも、「何を求めるための式か」を理解してから数値を当てはめる練習をするほうが定着しやすいです。試験では単純な計算から始まり、複数の式を組み合わせる問題まで出ます。基礎的知識10問のうち4問以上が合格基準なので、難しい問題を捨てて確実に取れる問題に集中するという戦略も有効です。

構造・機能・整備(甲種25問・乙種15問)

第1類の中心科目で、問題数が最も多いです。この科目で合格ラインを割ると不合格になるリスクが高いため、勉強時間を最も多く配分します。

内容は、屋内消火栓設備とスプリンクラー設備の各部品の名称・仕組み・設置基準・点検方法です。弁の種類(アラーム弁・流水検知装置・加圧送水装置)・ヘッドの種類(閉鎖型・開放型・スプリンクラー・放水型など)・配管の基準・水源水量の計算が主な出題範囲です。

甲種は25問で科目足切りが10問以上(40%)・筆記全体50問で30問以上(60%)です。乙種は15問で科目足切りが6問以上(40%)・筆記全体30問で18問以上(60%)です。甲種の25問という問題数は、この科目だけで第1類全体の半分を占めます。ここで高得点を取ることが合格への近道です。

鑑別(実技5問):記述で60%以上

鑑別は選択肢がなく、機器名や用途を自分の言葉で記述します。消防試験研究センターが公表している実技試験の例題を見ると、減圧弁・止水弁・試験弁・流量計・各種スプリンクラーヘッド・アラーム弁などが出る傾向があります。

対策は、写真または図を見て名称と用途をセットで覚えることです。参考書に掲載されている機器写真を繰り返し見て、「これは何か」が瞬時に出てくるようにしておきます。鑑別は勉強の初期に一通り目を通し、後半で繰り返し確認する形が効果的です。

製図(実技2問・甲種のみ)

製図の対策は勉強の後半に集中的に行います。系統図に配管・弁・ヘッドを書き込む問題と、設置個数・水量の計算問題が出ます。消防法施行規則第12条(屋内消火栓)・第13条・第14条(スプリンクラー)の数値(感知面積・散水量・水源水量の算定式)を使います。

製図は図を見慣れることが大切です。系統図の読み方・記号の意味・弁の位置を確認しながら、実際に手を動かして書く練習をします。時間制限のある試験では書き慣れていないと時間が足りなくなるため、本番前に何度か実際に書く練習をしておくことをおすすめします。

勉強の優先順位と順番

第1類の各科目を「難しさ×問題数×勉強効率」で整理すると、次の順番が取り組みやすいです。

最初に法令共通・法令第1類をまとめて確認します。暗記中心で取っつきやすく、最初の1週間で一通り読んでおくと全体像が見えます。次に、基礎的知識(機械・流体)に進みます。計算の苦手な方には最初が大変に感じますが、出るパターンは限られているため、繰り返し練習すると解法が身につきます。その後、構造・機能・整備に最も多くの時間をかけます。問題数が多い分、ここの完成度が合否に直結します。鑑別は並行して写真を確認しつつ、最後の2〜3週間で集中して覚えます。製図(甲種)は最後の3〜4週間に集中して練習します。

勉強時間の目安(科目別)

試験未経験の方が第1類をゼロから受験する場合の勉強時間の目安を、科目別に示します。甲種と乙種で大きく違うため、それぞれ分けています。

乙種第1類の場合、総勉強時間の目安は80〜120時間程度です。法令(共通・第1類)に15〜20時間、基礎的知識に20〜30時間、構造機能整備に30〜40時間、鑑別の対策に15〜20時間が目安です。週10時間ペースで2〜3か月の準備期間が取れると余裕を持って臨めます。

甲種第1類の場合、総勉強時間の目安は150〜200時間程度です。乙種の分に加えて、構造機能整備がさらに深くなること(問題数が25問)・製図の対策が加わることが理由です。製図だけで30〜40時間は確保しておきたいところです。週15〜20時間で2〜3か月が目安です。

これらはあくまでも目安であり、もともとの理系知識の有無・類似資格の経験・勉強スタイルによって変わります。

甲種と乙種、どちらを先に受けるか

「甲種と乙種をどちらから取るか」は、受験資格の観点からも決まります。甲種は受験資格の要件があります(大学等で機械・電気・工業化学・土木・建築の課程を修めた方、または実務経験など)。乙種には受験資格の制限はありません。

甲種の受験資格がある場合、先に甲種を取ると、後で乙種を受験する際に「法令共通+基礎的知識」が免除されます。逆に乙種から入ると、甲種受験時の免除は法令共通のみです。甲種から入る方が後の試験が楽になるため、受験資格がある方は甲種から検討する価値があります。

まとめ:第1類の勉強で押さえる3点

第1類の勉強で意識したい点を3つにまとめます。ひとつ目は、構造機能整備に時間を最も多く使うことです。問題数が多いこの科目で点数を落とすと、合格に近づきにくくなります。ふたつ目は、計算問題は式のパターンを覚えることです。基礎的知識・水源水量・ポンプ揚程の計算は出るパターンが限られているため、繰り返し演習で確実に解けるようにします。みっつ目は、製図(甲種)は後半に集中させることです。初期から製図だけ練習しても他の科目が追いつかなくなります。法令・基礎・構造の順で土台を固めてから製図に入るのが効率的です。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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