計画相談支援のサービス等利用計画。作成義務と更新の流れ。

計画相談支援のサービス等利用計画。作成義務と更新の流れ。

計画相談支援のサービス等利用計画は、障害者総合支援法第77条の2(サービス利用支援)・第78条(継続サービス利用支援)に基づき、相談支援専門員が作成する計画書です。障害福祉サービスの支給決定を受ける人は、原則として相談支援専門員によるサービス等利用計画の作成が必要です。計画書の構成・アセスメントから作成・交付・モニタリングまでの流れ・セルフプランとの違い・更新(継続サービス利用支援)の仕組み・運営指導での確認ポイントを整理します。

サービス等利用計画の法的根拠

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)には、計画相談支援について以下の2つの給付区分が設けられています。

給付区分 根拠条文 内容
サービス利用支援 法第77条の2 新規・更新・変更時の支給申請にあわせてサービス等利用計画を作成する
継続サービス利用支援 法第78条 支給決定後も定期的にモニタリングを行い、計画の継続・変更を支援する

指定計画相談支援事業所は、この2つの給付に対して報酬を受け取ります。サービス等利用計画の作成は義務ではなく「求めに応じた提供義務」ですが、市区町村から「指定特定相談支援事業者によるサービス等利用計画案の提出」が求められているため、実態上は支給申請の条件になっています。

サービス等利用計画の作成が必要な対象

障害福祉サービス(居宅介護・生活介護・就労継続支援・グループホーム等)の支給決定を受けるすべての利用者が対象です。介護保険の要介護認定に相当するのが「障害支援区分の認定」で、認定後に支給申請を行う際にサービス等利用計画案の提出が必要です。

セルフプランとの違い

サービス等利用計画には「相談支援専門員が作成するもの」と、本人・家族が自ら作成する「セルフプラン(障害福祉サービス等利用計画)」の2種類があります。

項目 相談支援専門員が作成 セルフプラン(本人・家族が作成)
作成者 指定計画相談支援事業者の相談支援専門員 本人・家族・支援者
費用 計画相談支援給付費(公費)で賄われる 費用負担なし(専門家費用も発生しない)
モニタリング 継続サービス利用支援として定期実施 なし(市区町村が確認)
メリット 専門的なアセスメント・多機関連携・変更時の対応 手続きが簡素・すぐに対応できる
デメリット 相談支援事業者が見つからない場合は作成が遅れる 専門的な支援が薄くなりやすい

近年は相談支援専門員の絶対的な不足(担当件数の過多)が問題になっており、新規利用者がセルフプランを余儀なくされるケースも地域によって起きています。国は担当件数の上限を設ける方向で制度改正を検討しています。

計画書の構成

サービス等利用計画書の様式は、厚生労働省が「計画相談支援のサービス等利用計画書(様式例)」として示しています。主な記載項目は以下のとおりです。

# 項目 記載内容の例
① 利用者基本情報 氏名・障害種別・障害支援区分・住所・連絡先
② 利用者・家族の生活に対する意向 「日中に安心して活動できる場所に通いたい」等、本人の言葉で記載
③ 総合的な援助の方針 支援チーム全体の方針・関係機関との役割分担
④ 解決すべき課題(ニーズ) アセスメントで把握した生活課題・本人が困っていること
⑤ 長期目標・短期目標 おおむね1年・6か月の達成目標
⑥ サービス内容と提供者 利用するサービス種別・事業所名・利用日数・利用時間
⑦ 本人の役割・インフォーマルサポート 家族・ボランティア・近隣との関係など公的サービス以外の支援

様式例はあくまで参考です。市区町村・都道府県によって独自の様式を使用するよう求められることもあります。

計画作成からモニタリングまでの流れ

ステップ1:アセスメント(情報収集・課題整理)

相談支援専門員が本人・家族と面談し、生活状況・希望・困っていること・すでに使っているサービスや支援を把握します。アセスメントは計画作成前に必ず行う義務があります(単に様式に記入するだけでは不十分で、面談記録が必要)。

ステップ2:サービス等利用計画案の作成・提出

アセスメントをもとに計画案を作成し、本人・家族への説明と同意を得てから市区町村に提出します。支給申請手続きの一部として使われるため、市区町村が定める期限内に提出が必要です。

ステップ3:サービス担当者会議の開催

計画に関係するサービス事業所・本人・家族・行政担当者等が一堂に会するサービス担当者会議を開催します。計画の内容を関係者で共有し、役割分担を確認します。会議の開催は義務ですが、参加者が多い場合は照会(照会票のやりとり)での代替が認められる場合もあります(指定権者に確認が必要)。

ステップ4:計画の交付・サービス開始

担当者会議を経て計画を確定し、本人・家族・サービス事業所に計画書を交付します。市区町村の支給決定後、サービスが開始されます。

ステップ5:モニタリング(継続サービス利用支援)

サービス開始後も、定期的に本人・家族と面談して支援の状況を確認し(モニタリング)、必要があれば計画を変更します。

モニタリング頻度の基準

モニタリングの頻度は、利用者の状況に応じて市区町村が個別に設定します。標準的な頻度の目安は厚生労働省の通知・Q&Aで示されています。

状況 モニタリング頻度の目安
新規サービス利用開始後(初期) 1〜3か月に1回(サービスが安定するまでの期間)
サービスが安定している場合 6か月に1回
状態の変化・課題が大きい場合 3か月または1か月に1回
入所施設・精神科入院中の地域移行支援 1か月に1回

モニタリング頻度は市区町村の判断で決定されるため、上記の目安と実際に求められる頻度が異なることがあります。担当市区町村の取扱いを確認してください。

計画変更が必要になるケース

以下のような場合は、サービス担当者会議の開催・計画の変更・市区町村への届出が必要です。

  • 利用しているサービス種別・事業所・利用日数に変更があった場合
  • 障害支援区分の認定更新で区分が変わった場合
  • 本人の状態が大きく変化し、課題・目標の見直しが必要になった場合
  • 支給決定の有効期間が更新される場合

運営指導での確認ポイント

アセスメント記録の有無

計画作成前のアセスメント面談の記録(日時・参加者・把握した内容)が保存されているかを確認されます。計画書だけ作成してアセスメント記録がない場合は指摘対象です。

計画書への本人・家族の署名

計画案の作成後、本人・家族への説明と同意の署名が必要です。署名のない計画書は未完成として扱われます。

モニタリングの実施記録

設定された頻度でモニタリングが実施されているか、実施した日・内容・本人の状況・計画の継続・変更の判断が記録されているかを確認されます。記録が残っていないモニタリングは「実施していない」と判断されます。

サービス担当者会議の記録

会議の開催日・参加者・議題・確認事項の議事録が必要です。照会で代替した場合は、照会票のコピーを保存します。

計画相談支援の開業収支シミュレーターでは、相談支援専門員の担当件数・モニタリング件数・地域区分をもとに月次の収支見込みを試算できます。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

ご質問はメールで。電話・面談はしていません。

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