第3類危険物(自然発火性・禁水性)品名一覧|指定数量・危険等級・代表物質

危険物取扱者乙種第3類の試験で必ず暗記が必要な「第3類危険物の品名一覧」をまとめます。消防法施行令別表第一に定められた品名・指定数量・危険等級・代表物質・性質の区分を整理しています。試験対策の基礎となる情報です。

第3類危険物とは

消防法では危険物を第1類から第6類まで分類しており、第3類は「自然発火性物質及び禁水性物質」です(消防法別表第一第3類)。

  • 自然発火性物質:空気中に放置しただけで、外部から熱源を与えなくても自然に発火する物質。
  • 禁水性物質:水と接触すると発火するか、可燃性ガスを発生させる物質。

第3類の物質の多くは自然発火性と禁水性の両方を持ちますが、黄りんは自然発火性のみで禁水性はありません。この例外が試験でよく問われます。

品名一覧(消防法施行令別表第一・第3類)

品名 指定数量 危険等級 自然発火性 禁水性 代表物質
カリウム 10kg I あり あり K
ナトリウム 10kg I あり あり Na
アルキルアルミニウム 10kg I あり あり トリエチルAl(TEA)
アルキルリチウム 10kg I あり あり n-ブチルリチウム
黄りん 20kg I あり なし P₄
アルカリ金属(K・Na除く) 50kg II なし あり Li・Rb・Cs
アルカリ土類金属 50kg II なし あり Ca・Ba・Sr
有機金属化合物(Al・Li除く) 50kg II あり あり ジエチル亜鉛(Et₂Zn)
金属の水素化物 300kg III なし あり NaH・CaH₂・LiAlH₄
金属のりん化物 300kg III なし あり Ca₃P₂
カルシウム・アルミニウムの炭化物 300kg III なし あり CaC₂・Al₄C₃
その他(塩素化けい素化合物等) 300kg III なし あり SiHCl₃(トリクロロシラン)等

指定数量のグループ分け

指定数量は「10kg」「20kg」「50kg」「300kg」の4段階に分かれます。グループ別に覚えると効率的です。

指定数量 危険等級 品名
10kg I カリウム・ナトリウム・アルキルアルミニウム・アルキルリチウム(4品名)
20kg I 黄りん(1品名)
50kg II アルカリ金属(K・Na除く)・アルカリ土類金属・有機金属化合物(Al・Li除く)(3品名)
300kg III 金属の水素化物・金属のりん化物・炭化物・塩素化けい素化合物(4品名)

危険等級Iが最も危険で指定数量が最も少なく、少量でも規制が厳しくなります。

各品名の重要ポイント

カリウム(K)・ナトリウム(Na)

アルカリ金属の中でも特に危険な2物質で、危険等級I・指定数量10kgです。水と激しく反応して水素(H₂)を発生させ、その水素が引火して発火します。空気中の水分(湿気)でも反応するため、乾燥した環境での保管が必須です。保管は灯油(石油)の中に沈めます。消火には乾燥砂・膨張ひる石を使います。

アルキルアルミニウム

アルキル基とアルミニウムの化合物で、代表はトリエチルアルミニウム(Al(C₂H₅)₃)です。空気に触れると自然発火し、水と接触すると爆発的に反応します。最も危険な部類に入り、指定数量10kg・危険等級Iです。半導体製造・石油化学の触媒として使われます。窒素などの不活性ガス雰囲気下で保管します。

黄りん(P₄)

白りんとも呼ばれ、空気中で約34℃以上で自然発火します。禁水性はなく水とは反応しないため、水中に保管します(融点44℃なので水温管理が必要)。火災時は注水冷却が有効です。毒性が強く、皮膚に触れると重篤な火傷を起こします。指定数量20kg・危険等級Iです。

アルカリ金属(K・Na除く)

リチウム(Li)・ルビジウム(Rb)・セシウム(Cs)が該当します。指定数量50kg・危険等級IIです。水と反応して水素を発生させますが、カリウム・ナトリウムほどの激しさはありません。リチウムは軽量で電池材料として利用されますが、危険物として規制されます。消火は乾燥砂を使います。

アルカリ土類金属

カルシウム(Ca)・バリウム(Ba)・ストロンチウム(Sr)・ラジウム(Ra)が該当します。指定数量50kg・危険等級IIです。水と反応して水素を発生させます。バリウムは毒性も強いため特に注意が必要です。消火は乾燥砂を使います。なお、アルカリ土類金属は自然発火性を「持たない」点も整理しておきましょう。

金属の水素化物

水素化ナトリウム(NaH)・水素化カルシウム(CaH₂)・水素化アルミニウムリチウム(LiAlH₄)が代表物質です。指定数量300kg・危険等級IIIで、第3類の中では指定数量が最も多いグループです。水と反応して水素を発生させます。LiAlH₄は有機合成の還元剤として利用されます。消火は乾燥砂です。

金属のりん化物

りん化カルシウム(Ca₃P₂)が代表物質です。指定数量300kg・危険等級IIIです。水と反応してりん化水素(ホスフィン:PH₃)を発生させます。PH₃は毒性が強く可燃性でもあり、二次災害に注意が必要です。消火は乾燥砂を使います。

カルシウム・アルミニウムの炭化物

炭化カルシウム(CaC₂、カーバイド)と炭化アルミニウム(Al₄C₃)が対象です。指定数量300kg・危険等級IIIです。CaC₂は水と反応してアセチレン(C₂H₂)を発生させます(CaC₂ + 2H₂O → Ca(OH)₂ + C₂H₂↑)。Al₄C₃は水と反応してメタン(CH₄)を発生させます(Al₄C₃ + 12H₂O → 4Al(OH)₃ + 3CH₄↑)。いずれも可燃性ガスを発生させるため危険です。消火は乾燥砂を使います。

試験で出やすい「例外」をまとめる

例外ポイント 内容
禁水性を持たない物質 黄りん(自然発火性のみ)
水中保管する物質 黄りんのみ
灯油中保管する物質 カリウム・ナトリウム
注水消火が有効な物質 黄りん(他は乾燥砂)
自然発火性を持たない物質 アルカリ金属・アルカリ土類金属・金属の水素化物・金属のりん化物・炭化物
両方(自発火・禁水)を持つ物質 カリウム・ナトリウム・アルキルAl・アルキルLi・有機金属化合物

品名一覧の暗記法

乙3の性質科目で合格するには、上記の品名一覧を確実に頭に入れることが最優先です。次のような語呂合わせで指定数量グループを覚えると効果的です。

  • 「10kg:カナアリ(カリウム・ナトリウム・アルキルAl・アルキルLi)」→ 危険等級Iのトップグループ
  • 「20kg:黄りん単独」→ 例外の黄りん
  • 「50kg:アルカリ金属(K・Na抜き)・アルカリ土類金属・有機金属化合物」→ 等級II
  • 「300kg:水素化物・りん化物・炭化物・塩素化けい素化合物」→ 等級III

各品名の水との反応(禁水性の詳細)

禁水性物質が水と反応したときに発生するガスを整理します。試験では「何が発生するか」が問われます。

物質・品名 水との反応で発生するもの 発生ガスの性質
カリウム(K) 水素(H₂) 可燃性・爆発性
ナトリウム(Na) 水素(H₂) 可燃性・爆発性
炭化カルシウム(CaC₂) アセチレン(C₂H₂) 可燃性・爆発範囲広い(2.5〜81%)
炭化アルミニウム(Al₄C₃) メタン(CH₄) 可燃性
水素化カルシウム(CaH₂) 水素(H₂) 可燃性・爆発性
りん化カルシウム(Ca₃P₂) りん化水素(PH₃) 可燃性・毒性が非常に強い
アルカリ土類金属(Ca等) 水素(H₂) 可燃性

アセチレンは爆発範囲が2.5〜81vol%と非常に広く、微量の火花でも爆発する危険性があります。りん化水素(PH₃)は毒性が非常に強く、農業でのくん蒸(害虫駆除)にも使われるほどの毒性です。

指定数量倍数の計算(法令での活用)

指定数量は法令上の規制(貯蔵・取り扱いの届出・許可の要否)を判断する基準になります。複数の危険物を貯蔵する場合は「指定数量倍数の合計」が1以上になると規制がかかります。

例:カリウム5kg(指定数量10kg)と炭化カルシウム150kg(指定数量300kg)を貯蔵する場合の指定数量倍数の合計:5/10 + 150/300 = 0.5 + 0.5 = 1.0

この場合、合計が1.0なので、所轄消防署への届出が必要になります(消防法第10条・危険物の規制に関する規則の基準による)。

危険等級の意味と実務上の影響

危険等級は危険物の危険性の度合いを示すもので、I・II・IIIの3段階があります(消防法施行令第1条の10)。等級Iが最も危険です。

  • 危険等級I:少量でも高い危険性。運搬時の容器・積み付け基準が最も厳しい。
  • 危険等級II:中程度の危険性。等級Iより規制はやや緩やか。
  • 危険等級III:比較的危険性が低い。指定数量が多く設定されている。

試験では「危険等級Iの品名はどれか」「指定数量が最も少ない品名はどれか」という形式で出題されることがあります。

AI問題集で品名の知識を確認する

品名・指定数量・危険等級を暗記したら、問題演習で知識を確認しましょう。乙3のAI問題集では品名に関する問題も豊富に収録しています。

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各品名の保管方法のまとめ

品名によって保管方法が異なります。試験で「どの保管方法が正しいか」の問題に対応するために整理しましょう。

物質 保管方法 理由
カリウム・ナトリウム 石油(灯油)中に沈める 空気・水分との接触を防ぐため
黄りん 水中に沈める 空気との接触を防ぐため。禁水性がないので水中保管が可能
アルキルアルミニウム 窒素等の不活性ガス封入容器 空気に触れると即発火するため
炭化カルシウム 密閉容器・乾燥した場所 水分との接触でアセチレンが発生するため
金属の水素化物 密閉容器・乾燥した場所 水分との接触で水素が発生するため

「カリウム・ナトリウムは石油(灯油)中」「黄りんは水中」の対比は必須の暗記事項です。

まとめ

第3類危険物の品名一覧は乙3試験の基礎です。指定数量を「10・20・50・300kg」の4グループで覚え、黄りんの例外(禁水性なし・水中保管・注水消火可)を確実に押さえましょう。品名と性質の組み合わせを繰り返し確認することが合格への近道です。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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