令和9年度介護報酬改定の予測と準備【居宅介護支援の改定方向性・事業所がやるべきこと】

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介護報酬改定は3年ごとに行われます。令和9年度(2027年度)の改定に向けて、居宅介護支援事業所として押さえておくべき改定の方向性と準備ポイントを整理します。

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この記事で分かること

  • 令和9年度(2027年)介護報酬改定の議論の方向性(2026年11月時点)
  • 令和6年度改定で居宅介護支援に何が変わったかの振り返り
  • 2040年問題とケアマネジャー不足に対する政策の見通し
  • 改定に向けて事業所が今から準備すべき5つのポイント
  • 令和9年度(2027年度)介護報酬改定の議論の方向性
  • 令和6年度改定の振り返りと居宅介護支援への影響
  • 2040年問題とケアマネジャー不足への政策対応の見通し
  • 改定に向けて事業所が今から準備すべきこと

介護報酬改定のサイクルと令和9年度改定の位置づけ

介護報酬改定は3年ごとに行われ、次回は令和9年度(2027年4月適用)が予定されています。令和6年度改定では居宅介護支援への処遇改善加算の導入・特定事業所加算の見直し・逓減制の緩和(ICT活用)などの改定が行われました。令和9年度改定では、これらの政策の検証と次のステップが議論される見通しです。

介護報酬改定の主な歴史(居宅介護支援関連)
改定年度 主な変更点(居宅介護支援)
令和3年度(2021年) ターミナルケアマネジメント加算の新設・BCP策定の義務付け(3年猶予)・オンラインでのサービス担当者会議解禁
令和6年度(2024年) 処遇改善加算2.1%新設・逓減制緩和(ICT活用・主任配置)・指定介護予防支援事業者の拡大・特定事業所加算の見直し
令和9年度(2027年)予定 検討中(現時点では社会保障審議会で審議中)

令和9年度改定に向けての政策議論の方向性(2026年時点)

令和9年度改定の具体的な内容は、社会保障審議会・介護給付費分科会での審議(2025〜2026年ごろから本格化)を経て2026年末ごろに決定されると見られます。以下は、2026年時点での政策議論から見えてくる方向性です(確定情報ではありません)。

  • 担当件数上限・逓減制の見直し:担当件数の上限緩和やICT活用時の逓減制さらなる緩和が引き続き議論されている。ケアマネ不足への対応策として、担当件数に関する制度が見直される可能性がある
  • ケアマネジャーの処遇改善:令和6年改定で2.1%の処遇改善加算が新設されたが、処遇改善加算の上乗せ・拡充を求める意見が業界団体から出されている
  • 介護予防支援のさらなる拡大:指定介護予防支援事業者として居宅介護支援事業所が直接担当できる範囲のさらなる拡大・報酬の見直しが議論されている
  • ICT・DX活用の評価:ケアプランデータ連携システムの普及促進に向け、ICT活用に関する加算の拡充・義務化の議論が続いている
  • 2040年問題への対応:団塊ジュニア世代が高齢期を迎える2040年代に向け、ケアマネジャーの担い手確保・業務効率化が重要政策として位置づけられている

2040年問題とケアマネジャー不足への対応

2040年には団塊ジュニア世代が65歳以上になり、高齢者人口・介護需要はさらに拡大します。一方、ケアマネジャーの有資格者数は増加しているものの、実際に業務に就いているケアマネジャーの数は伸び悩んでいます。この構造的な問題への対応が、今後の改定の大きなテーマです。

  • 担当件数上限の見直し:逓減制の緩和を通じた担当件数上限の実質的な引き上げが継続検討されている
  • ケアマネジャーの処遇改善:他の介護職と比較してケアマネジャーの離職率・処遇が課題とされており、報酬引き上げが議題に上がっている
  • 潜在ケアマネの復職支援:資格はあるが現場を離れているケアマネジャーの復職支援策として、再研修制度の簡素化・費用助成等が検討される可能性がある

令和6年度改定の振り返りと事業所への影響

令和9年度改定に備えるうえで、令和6年度改定で変わった内容とその事業所への影響を振り返っておくことが有用です。

令和6年度改定の主要ポイントと事業所への影響
改定内容 事業所への影響
処遇改善加算2.1%の新設 職員の賃上げに充てる財源が確保。算定に必要な計画書・報告書の作成が必要
逓減制の緩和(ICT活用) ICTを活用している場合、50件超(要介護のみ)でも費(Ⅱ)適用開始を猶予できる
逓減制の緩和(主任ケアマネ) 主任ケアマネが管理者の事業所では、40件超から45件超に逓減制の開始を緩和
特定事業所加算(A)の新設 主任ケアマネの配置が難しい小規模事業所でも算定できる加算区分が創設

令和9年度改定に向けた論点:業界団体の主な要望

一般社団法人日本介護支援専門員協会・日本介護福祉士会等の業界団体は、令和9年度改定に向けて以下の要望を発信しています(2026年時点の情報。確定事項ではありません)。

  • 主任ケアマネの管理者義務化の再検討:令和3年度改定で義務化が先送りされた「管理者は主任ケアマネ」要件について、再度の議論が予想される
  • 基本報酬の引き上げ:物価上昇・処遇改善の観点から基本報酬単位数の引き上げを要望
  • 担当件数の合理化:上限件数の見直し(逓減制の緩和ではなく基準そのものの見直し)
  • 書類・記録の簡素化:ケアプランの記載事項・担当者会議の開催要件の合理化による業務量削減

次回改定に向けて事業所が準備すべきこと

介護報酬改定に備えるために、今から取り組むべきことを整理します。

  • ICT活用の推進:ケアプランデータ連携システムへの対応・電子記録化を進めておくと、ICT活用に関する加算・緩和要件に対応しやすくなる。
  • 人材育成・処遇改善:処遇改善加算の拡充に備えて、計画書・実績報告の仕組みを整えておく。主任ケアマネの育成・資格取得を計画的に進める。
  • 介護予防支援への対応準備:指定介護予防支援事業者の指定取得を検討している場合は、令和6年度改正の内容を確認し、市区町村への申請準備を進める。
  • BCP(業務継続計画)の整備:令和6年4月から義務化されたBCPの策定・周知・研修・訓練を確実に実施し、実地指導に備える。
  • 改定情報の収集:社会保障審議会・介護給付費分科会の議事録・厚生労働省の報道発表をチェックし、改定の方向性を早期に把握する。業界団体(日本介護支援専門員協会等)のメールマガジン・セミナーも有用。

令和9年度改定を見越した事業所の収益モデルの考え方

改定の方向性が不確実な中でも、事業所の収益基盤を安定させるための考え方を整理します。

  • 加算に依存しすぎない基本設計:加算の要件・単位数は改定ごとに変わる。基本報酬をベースにした収支計画を立てておき、加算はプラスアルファとして捉える。
  • 担当件数の安定確保:改定で報酬単価が変動しても、担当件数が一定以上あれば収益の変動幅が小さくなる。地域連携・介護予防支援の担当も組み合わせて件数基盤を安定させる。
  • 人件費の変動費化:処遇改善加算の拡充が予想される場合、加算財源の範囲内で人件費を設計するとリスクが低い。加算を超えた賃上げは自己資金から出る固定コストになる。
  • ICT投資でコスト構造を変える:ICTによる業務効率化は「1人あたりの担当件数増」につながり、単価下落をカバーできる。改定前にICT体制を整えておくことで、どんな改定にも対応しやすくなる。

改定の議論を事業所経営に活かすためのポイント

介護報酬改定の審議過程を注視することで、自事業所の方針決定に役立てることができます。

  1. 審議の方向性を把握する:社会保障審議会・介護給付費分科会の資料・議事録は厚生労働省のHPで公開されている。読み慣れると「どこが変わりそうか」の感覚が身につく。
  2. 業界団体の情報を活用する:日本介護支援専門員協会・都道府県のケアマネ協会からの情報は実務に近い視点でまとめられている。メルマガ登録・定例研修への参加で情報収集ができる。
  3. 早めにシミュレーションする:改定の方向性がある程度見えてきたら、自事業所の収支シミュレーターで「改定後の収支」を試算しておく。単価が変わった場合に損益分岐点がどう動くかを把握しておくと判断が速くなる。

介護報酬改定情報を入手するための主なソース

  • 厚生労働省 介護保険最新情報(WAM NET):改定告示・通知が最速で公表される。WAM NETへの登録がお勧め。
  • 社会保障審議会・介護給付費分科会の議事録:改定の方向性・議論の内容を把握できる。厚生労働省HPで公開。
  • 都道府県・市区町村の通知:地域区分・加算の地域独自要件の変更は都道府県・市区町村から通知される。
  • 業界団体の情報発信:一般社団法人日本介護支援専門員協会・全国ホームヘルパー協議会等のメールマガジン・機関誌。

改定の情報をどう業務に取り込むか:実務家の情報収集習慣

改定の情報を継続的に収集するには、毎日大量の情報をチェックするのではなく、「変化を察知できる情報源」を絞り込んで定期的にチェックする習慣を作ることが有効です。

  • WAM NETのRSSメールを登録する:新しい通知・事務連絡が発出されると自動でメールが届く。業務に関連する検索キーワードを登録しておく。
  • 介護給付費分科会の資料を年2〜4回チェック:分科会は年数回開催される。会議資料・議事録は後日厚生労働省HPに公開される。全文読まなくてもよいが、居宅介護支援関連のページを探して要点を把握する習慣をつける。
  • 都道府県・市区町村の通知メール登録:自治体の福祉担当課からのメールマガジン・通知を登録しておくと、地域の独自要件の変更を早期に把握できる。
  • 業界団体の研修・勉強会への参加:都道府県のケアマネ協会が主催する研修・勉強会では、改定情報の解説や実務への落とし込みを研修内容に含めることが多い。年1〜2回の参加が改定対応の近道になる。

令和9年度改定スケジュール(見通し)

介護報酬改定の一般的なスケジュールを参考に、令和9年度改定の見通しを整理します。

令和9年度改定の見通しスケジュール
時期 内容(見通し)
2025年〜2026年 社会保障審議会・介護給付費分科会で審議本格化
2026年秋〜冬 改定の骨子・答申案の審議
2026年末〜2027年初 告示・通知の公表(改定内容の確定)
2027年4月 令和9年度介護報酬改定 施行

告示・通知が公表された後、実際の施行まで3〜4か月程度しかありません。事業所の請求システムの対応・新加算の算定準備等を素早く行うためには、改定の内容が確定する前から「どう変わりそうか」を把握しておくことが重要です。

開業前・開業後の改定対応の考え方

これから居宅介護支援事業所を開業する方は、収支計画に「改定リスク」を組み込んでおくことをお勧めします。

  • 報酬の変動幅の目安:過去の改定では居宅介護支援の基本報酬は±2〜5%程度の変動が多い。大きな削減になるケースは少ないが、加算の廃止・新設は収益に影響する。
  • 改定前後の収支シミュレーション:開業後最初の改定(令和9年度)が来る前に、収支の安定基盤を作っておく。担当件数を確保し、加算依存度を下げておくことが改定リスクへの備えになる。
  • ICT体制の早期整備:ICT活用による逓減制緩和のメリットを最大化するために、開業当初からケアプランデータ連携システムに対応しておくと、改定後の要件変化への対応が速くなる。

まとめ:令和9年度改定に備えて今やること

令和9年度改定の確定情報が出るのは2026年末ごろ見込みですが、今から動ける準備は多くあります。ICT整備・主任ケアマネ育成・処遇改善加算の体制整備・情報収集の仕組み作りを早めに進めておくことで、どんな改定内容になっても対応できる基盤が整います。

参考・出典

  • 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定の概要」(2024年1月)
  • 社会保障審議会・介護給付費分科会(厚生労働省HP)

この記事は2026年11月時点の情報に基づいています。令和9年度改定の内容は審議中であり、確定情報は厚生労働省の告示・通知でご確認ください。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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