就労移行支援の運営規程。記載が義務づけられている項目。

就労移行支援の運営規程。記載が必要な事項と作成の注意点。

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就労移行支援事業所は、事業の開設にあたって運営規程を定めることが義務付けられています。運営規程は「事業所がどのようなルールで運営されるか」を示す文書であり、指定申請時に提出が求められます。内容に不備がある場合は指定申請が受理されません。この記事では、就労移行支援の運営規程に記載が必要な事項と作成時の注意点を整理します。

運営規程の根拠は省令174号(第70条が第36条を準用)

就労移行支援の運営規程については、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業の設備及び運営に関する基準」(省令174号)第70条が第36条を準用することで規定されています。

省令174号第36条(第70条準用)では、運営規程に盛り込むべき事項が列挙されており、これらすべてを網羅した形で規程を作成する必要があります。開設後に運営規程の内容を変更した場合は、指定権者(都道府県・政令市・中核市)への変更届が必要です。

運営規程に記載が必要な事項

省令174号第70条(第36条を準用)に基づき、就労移行支援の運営規程には次の事項を記載します。

1. 事業の目的・運営方針

事業所が提供する就労移行支援の目的(一般就労への移行を目指すこと)と、その実現のための運営方針を記載します。運営方針には、個別支援計画の作成・利用者の自立支援・就職後の定着支援(就労定着支援を行う場合)などを含めることが一般的です。

2. 従業者の職種・員数・職務内容

管理者・サービス管理責任者・職業指導員・生活支援員など、事業所に配置する職員の職種・員数・それぞれの職務内容を記載します。基準省令で定められた人員配置の要件(利用者6名に対して職業指導員・生活支援員合わせて1名以上等)を満たす内容にする必要があります。

3. 営業日・営業時間

事業所が訓練を提供する営業日(週の曜日)と営業時間を記載します。利用者が利用できる日時の範囲を明確にする必要があります。祝日や年末年始の扱いについても定めます。

4. 訓練等の内容・手続き・注意事項

提供する訓練プログラムの内容(職業訓練・生活訓練・就職活動支援等)と、利用開始・変更・終了の手続き、訓練中の注意事項を記載します。また、欠席・遅刻時の連絡方法や、訓練参加に関するルールも盛り込みます。

5. 利用定員

事業所の利用定員(同時に利用できる人数の上限)を記載します。就労移行支援の定員は省令174号第62条の2に基づき10人以上の設定が必要です。事業者は10人以上の範囲で設定します。定員は実際の事業所の設備・人員に見合った人数を設定します。報酬上は定員に応じて基本報酬の算定区分(20人以下・21〜40人・41人以上等)が変わります。

6. 通常の事業の実施地域

就労移行支援事業所が通常サービスを提供する地域(市区町村の範囲)を記載します。通常の事業の実施地域外でも支援を行う場合は、その旨と交通費等の実費請求の有無についても運営規程に定めることが一般的です。

7. 利用料・実費

法定の障害福祉サービス費(国保連に請求する報酬)とは別に、利用者から徴収できる実費(食費・光熱水費・日用品費等)を記載します。実費の金額・徴収方法・利用者への説明方法を明確にします。実費として徴収できる金額の上限は、基準省令に定められています。

8. 利用者負担の軽減措置

低所得者等に対する利用者負担の軽減措置を設けている場合は、その内容を記載します。

9. 緊急時の対応方法

訓練中に利用者が体調不良を起こした場合・事故が発生した場合の対応手順を記載します。連絡先(救急機関・医療機関・家族・指定権者等)と、それぞれの連絡タイミングを明確にします。

10. 非常災害対策

火災・地震等の非常災害時の対応手順(避難方法・避難場所・利用者の誘導手順)を記載します。訓練の実施(年2回以上・うち1回は関係機関との合同訓練)についても盛り込みます。

11. 虐待防止のための措置

利用者への虐待を防止するための組織的な取り組み(虐待防止委員会の設置・従業者への研修・苦情受付の仕組み等)を記載します。

12. その他運営に関する重要事項

秘密の保持(個人情報の取り扱い)・苦情処理体制・事故発生時の対応・身体拘束の禁止など、上記以外の運営上の重要事項を記載します。

運営規程の作成で注意すること

重要事項説明書との整合性

運営規程は「利用者への重要事項説明書」のベースになります。運営規程に記載した内容と、実際に利用者に説明する重要事項説明書の内容が矛盾しないよう、整合性を取る必要があります。運営規程を変更した際は、重要事項説明書も同時に見直します。

変更時は届出が必要

運営規程の内容を変更した場合は、指定権者への変更届が必要です(変更後10日以内等の期限が定められている場合があります)。定員の変更・営業時間の変更などは必ず届出を忘れないようにします。届出を忘れると、指導・監査時に指摘される事項になります。

実態と一致させる

運営規程に記載した内容(職員配置・訓練内容・実費の金額等)は、実際の運営と一致させる必要があります。運営規程に書いてある内容と実態が乖離している場合、指導・監査で改善勧告を受ける対象になります。特に「職員の職種・員数」については、採用状況が変わるたびに運営規程の見直しが必要になる場合があります。

利用者に見えるところに備え付ける

運営規程は事業所内に備え付け、利用者や家族がいつでも確認できる状態にしておく必要があります(基準省令の規定)。重要事項説明書の配付に加えて、運営規程を閲覧できる形で設置します。

指定申請時の運営規程の提出

就労移行支援の指定申請では、運営規程の写しを提出します。提出書類の様式は指定権者によって異なりますが、「運営規程(写し)」は全事業者が提出する共通書類です。

指定申請時に提出した運営規程は、指定権者のファイルに保管されます。その後の変更届で変更内容が記録されていきます。初回申請時の内容が後の指導監査の基準になるため、開業当初から実態に合った内容で作成することが重要です。

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まとめ

就労移行支援の運営規程は、省令174号第70条(第36条を準用)に基づき、事業の目的・従業者の配置・営業日時・訓練内容・利用定員・通常の事業の実施地域・実費・緊急時対応・虐待防止等12事項を網羅して作成します。指定申請時の提出書類であるとともに、利用者への重要事項説明書の基礎になる文書です。内容は実態と一致させ、変更があれば都度届出と更新を行うことが求められます。


出典:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく障害福祉サービス事業の設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第174号)第70条(第36条準用)。作成:2026年11月。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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