就労移行支援の虐待防止委員会、指針・担当者・委員会の3点セットと就職活動での不適切な扱い。

就労移行支援の虐待防止委員会、指針・担当者・委員会の3点セットと就職活動での不適切な扱い。 就労移行支援





就労移行支援の虐待防止委員会、指針・担当者・委員会の3点セットと就職活動での不適切な扱い。

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就労移行支援の虐待防止は、研修の実施だけでは不十分です。指定基準第40条の2(第184条で準用)では、研修・委員会・指針・担当者という4つの義務が定められています。このうち委員会・指針・担当者の3点セットは「組織として虐待防止の体制を整備する義務」であり、研修とは別の要件です。

就労移行支援固有の論点は、企業実習先・就職活動の場面での「不適切な扱い」です。事業所の外で起きる出来事についても、就労移行支援の責任の範囲で対応が求められます。

虐待防止の4つの義務

義務の種類 内容 根拠条文
研修の実施 年1回以上の定期研修+新規採用時研修。全職員が対象 第40条の2第2項(第184条準用)
委員会の定期開催 虐待防止委員会を定期的に開催し、結果を全職員に周知する 第40条の2第1項(第184条準用)
指針の整備 虐待防止のための指針を整備する(内容・定期的な見直しを含む) 第40条の2第1項(第184条準用)
担当者の配置 虐待防止担当者(責任者)を配置する 第40条の2第1項(第184条準用)

運営指導では4つすべてが整っているかが確認されます。研修の記録がある一方で「委員会の議事録がない」「指針が作成されていない」という状態は義務未達となります。

虐待防止委員会の運営

開催頻度と議事録

虐待防止委員会の開催頻度については、年1回以上の実施が求められています(具体的な頻度は指定権者の案内で確認してください)。委員会の議事録には次の事項を含めます。

  • 開催日時・場所
  • 出席者の氏名
  • 議事内容(何を議論したか)
  • 決定事項(改善策・指針の見直し内容等)
  • 次回開催の予定

委員会の結果は全職員へ周知する義務があります。議事録の回覧サインや全体ミーティングでの共有など、周知した記録を残します。

身体拘束廃止委員会・感染症対策委員会との一体運営

虐待防止委員会・身体拘束廃止委員会・感染症対策委員会は同日に合同開催(一体運営)することが認められています。議事録は各委員会の議題を分けて記載します。一体運営にすることで、職員の負担を減らしながら必要な開催回数を満たすことができます。

虐待防止指針に含める内容

虐待防止指針は事業所として作成し、定期的に見直します。指針に含める主な事項は次のとおりです。

  • 虐待防止に関する基本的な考え方(5種類の虐待の定義を含む)
  • 虐待防止担当者の氏名と役割
  • 虐待または疑いを発見した際の通報・報告手順(行政への通報先も含む)
  • 就労移行支援固有の場面(企業実習先・就職活動中)での不適切な扱いへの対応方針
  • 研修・委員会の実施計画
  • 指針の見直し時期

就労移行支援固有の不適切な扱いの場面

就職活動での不適切な対応

就労移行支援では、就職活動の進め方をめぐって不適切な支援につながりかねない場面があります。

  • 「この求人に応募しなさい」と利用者の意思を無視して就職先を決める(意思決定支援の欠如)
  • 「面接に行かないと支援できません」と脅迫的な言い方で就職活動を強制する(心理的虐待)
  • 不採用が続いた際に「何回言ったら分かるんですか」と繰り返し叱責する(心理的虐待)
  • 利用者が「この仕事はやりたくない」と言っているのに無視して実習を進める(ネグレクト的な対応)

企業実習先での不適切な扱いへの対応

企業実習中に実習先企業の担当者から利用者への不適切な扱いが起きた場合、就労移行支援事業者はどう対応するかを事前に方針として定めておきます。

  • 「急かされる・怒鳴られる」などの不適切な対応を利用者から報告された場合の確認手順
  • 事実確認後に実習先企業への改善依頼を行う基準
  • 改善が見込めない場合に実習を中止する基準
  • 虐待に該当する可能性がある場合は市区町村への相談・通報(障害者虐待防止法)

実習先企業での出来事も、就労移行支援の利用者への支援の一環として把握・対応する責任があります。

虐待防止担当者の役割

虐待防止担当者(責任者)は次の役割を担います。

  • 委員会の開催の取り仕切りと議事録の作成
  • 虐待または疑いの報告を職員から受け付ける窓口
  • 指針の定期的な見直し・更新
  • 研修の年間計画の作成・実施管理
  • 運営指導時の対応(書類の提出・説明)

担当者は管理者が兼務することが多いですが、サービス管理責任者が担う場合もあります。担当者が変わる際には引き継ぎが必要です。

まとめ

就労移行支援の虐待防止では、研修とは別に委員会・指針・担当者の3点セットの整備が義務(第40条の2・第184条準用)です。委員会は定期的に開催し、議事録と全職員への周知記録を残します。指針は就労移行支援固有の場面(就職活動での不適切な誘導・企業実習先での不適切な扱い)への対応方針を含めて作成します。企業実習中の出来事も就労移行支援事業者の対応範囲であることを担当者全員が把握しておくことが重要です。

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出典:指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第40条の2(第184条で準用)・障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律・厚生労働省「障害者福祉施設等における障害者虐待の防止と対応の手引き」。委員会の開催頻度の目安は指定権者の案内で確認してください。


この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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