放課後等デイサービスの運営規程。記載が義務づけられている項目。

放課後等デイサービスの運営規程。記載が義務づけられている項目。

放課後等デイサービスの運営規程は、平成24年厚生労働省令第15号(以下「省令第15号」)に基づいて作成が義務づけられています。記載必須項目は①事業の目的・運営方針、②定員、③職員の職種・員数・職務内容、④サービスの提供時間・休日、⑤支給決定保護者から受領する費用の種類と額、⑥通常の事業実施地域、⑦緊急時の対応、⑧虐待防止のための措置、⑨その他運営に関する重要事項の9項目です。変更時は都道府県・指定都市・中核市への届出が必要で、重要事項説明書との使い分けも運営指導でよく確認されます。

運営規程の作成義務と根拠条文

指定放課後等デイサービス事業者は、省令第15号第70条の規定により、事業所ごとに運営規程を定めなければなりません。同条は事業の内容・利用料・緊急時対応など、事業運営の基本事項を文書化して事業所に備え置くことを義務づけています。

運営規程の作成は、指定申請の際に提出書類として都道府県等(政令指定都市・中核市を含む)に提出を求められます。開業後も、内容を変更した場合は変更届出書に添付して届け出ることが必要です(省令第15号の変更届出規定)。

省令第15号の位置づけ

省令第15号の正式名称は「障害児通所支援及び障害児入所支援の提供に係る指定基準等に関する省令」(平成24年厚生労働省令第15号)です。児童福祉法第21条の5の18に基づき、指定障害児通所支援事業者の設備・運営の基準を定めています。放課後等デイサービスはこの省令の中の「指定放課後等デイサービス」に関する章が適用されます。

記載が義務づけられている9項目

省令第15号第70条が列挙する必須記載項目を一覧します。

項目 記載内容の例
①事業の目的・運営方針 設立の趣旨、支援の基本理念、障害のある子どもの自立支援の方針
②支援の種類・提供時間・休日 放課後等デイサービスを提供する時間帯、休日・祝日の営業可否
③利用定員 条例・省令で定める最低基準以上の人数
④職員の職種・員数・職務内容 管理者・児童発達支援管理責任者・児童指導員・保育士等の員数と役割
⑤支給決定保護者から受領する費用の種類・額 利用者負担額(1割)、食費・おやつ代・送迎費等の実費徴収の種類と金額
⑥通常の事業実施地域 送迎などのサービス提供範囲となる行政区域
⑦緊急時等の対応 事故・急変時の連絡体制、近隣医療機関の名称、報告様式
⑧虐待防止のための措置に関する事項 虐待防止委員会の設置・開催頻度、担当者の設置、苦情解決の仕組み
⑨その他運営に関する重要事項 個人情報の取り扱い、身体拘束の禁止と例外的な対応の手順など

令和3年度改定以降は、虐待防止の措置に関する事項が必須記載項目として明示されています。また、令和6年度改定でBCPの整備が義務化されたことに伴い、業務継続計画の存在を運営規程に盛り込む事業者も増えています(必須ではありませんが、関連文書として位置づけておくと管理がしやすくなります)。

変更時の届出義務

運営規程の内容を変更した場合は、変更届出書に改訂後の運営規程を添付して、指定権者(都道府県・政令指定都市・中核市)に届け出る必要があります。届出期限は変更後10日以内とする自治体が多いですが、自治体によって異なります。開業前に確認しておきましょう。

変更届が必要になる主なケース

  • 利用定員の変更(増員・減員)
  • 管理者・児童発達支援管理責任者の交代
  • 提供時間・休日の変更
  • 実費徴収する費用の種類や金額の変更
  • 事業所の移転(所在地変更)

変更届が遅れた場合や内容が実態と乖離していた場合は、運営指導での指摘事項になります。年に1回程度、運営規程と実際の運営内容が一致しているか確認する習慣をつけることが大切です。

運営規程と重要事項説明書の違い

運営規程と重要事項説明書は別の文書です。混同しやすいので整理します。

運営規程 重要事項説明書
目的 事業所内部の運営基準を定める 利用者(保護者)への契約前の説明に使う
対象 行政・職員向け 利用者・保護者向け
提出先 指定申請・変更届出で行政へ提出 契約時に利用者へ交付・署名を得る
法的根拠 省令第15号(運営規程の規定) 省令第15号(書面交付・説明の規定)

記載内容には重複する部分(定員・利用料・提供時間など)がありますが、両書類をそれぞれ作成・管理する必要があります。運営規程を改定したときは、重要事項説明書も併せて見直すことが実務上の注意点です。

運営指導で確認される主なポイント

運営指導(旧・実地指導)では、運営規程について次の点が確認されます。

書類の整備状況

運営規程が事業所に備え置かれているか、最新版であるかが確認されます。古い版のまま更新されていないケースが多く、定員変更後に規程を直し忘れていると指摘を受けます。

実態との一致

運営規程に記載された定員・職員配置・提供時間が、実際の運営と一致しているかを確認されます。たとえば規程に「定員10名」と書いてあるのに実際に11名受け入れていた、というケースは超過定員として指摘されます。

虐待防止・身体拘束の記載

令和3年度以降、虐待防止委員会や虐待防止担当者の設置が義務化されています。運営規程にその旨が記載されているか、委員会の議事録が保存されているかが確認されます。

費用の明示

実費として徴収している費用の種類・金額が運営規程に明記されているかが確認されます。「その都度決める」「実費」という表現だけでは不十分で、具体的な金額や算定根拠を書く必要があります。

記載例のポイント

運営規程を作成する際に意識したいポイントをまとめます。

目的・方針は具体的に書く

「障害のある子どもの自立支援を行う」だけでなく、「地域で安心して生活できるよう、日常生活上の訓練・創作的活動・余暇活動を通じて社会参加を促進する」のように、事業所の支援の特徴が伝わる表現にします。

費用の種類と金額は一覧にする

食費・おやつ代・教材費・送迎費など、実費徴収する費用は種類ごとに金額を記載します。「実費」とだけ書くのではなく、「おやつ代1回100円」「送迎費(市内)片道200円」のように具体的に書くことで、利用者からの苦情防止にもなります。

緊急時の連絡体制は定期的に更新する

緊急時連絡先(嘱託医・近隣病院など)は変更されることがあります。年1回の定期見直し時に、連絡先が最新であるかを確認してください。

運営規程のひな型

厚生労働省や都道府県は、運営規程のひな型(参考様式)を提供している場合があります。指定申請時に自治体から書式を入手し、それに沿って作成すると漏れを防ぎやすくなります。自治体によって様式が異なりますので、申請先の担当課に確認してください。

BCP(業務継続計画)との関係

令和6年4月から放課後等デイサービスにもBCPの策定が義務化されました。BCPは運営規程とは別文書として作成しますが、「緊急時の対応」の項目と内容が重なる部分があります。整合性を保つために、運営規程の緊急時対応の箇所にBCPへの参照を入れておくと管理しやすくなります。

まとめ:開業前に整備、開業後に年1回見直す

運営規程は指定申請時に作成する文書ですが、開業後も放置してよいものではありません。定員変更・職員交代・費用の改定・制度改正のたびに見直しが必要です。年1回、重要事項説明書や業務マニュアルと合わせて点検する習慣をつけておきましょう。

運営規程に関連して、放課後等デイサービスを開業した場合の収支(基本報酬・加算・人件費・損益分岐点)についても、事前に試算しておくことが重要です。

放課後等デイサービスの開業収支シミュレーターで採算を試算できます。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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