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クレーン・デリック運転士の学科試験は4科目・各10問・合計40問の構成です。試験時間は2時間30分(13:30〜16:00)で、各科目40%以上かつ合計60点以上が合格基準です。この記事では、各科目の内容と出題の傾向、学習の重点ポイントをまとめます。
出典:安全衛生技術試験協会 クレーン・デリック運転士(限定なし)受験案内
学科試験は4科目・40問・2時間30分
クレーン・デリック運転士(限定なし)の学科試験の全体像は次のとおりです。
| 科目 | 問題数 | 配点 | 合格最低点(40%) |
|---|---|---|---|
| クレーン及びデリックに関する知識 | 10問 | 30点 | 12点 |
| 関係法令 | 10問 | 20点 | 8点 |
| 原動機及び電気に関する知識 | 10問 | 30点 | 12点 |
| クレーンの運転のために必要な力学に関する知識 | 10問 | 20点 | 8点 |
| 合計 | 40問 | 100点 | 60点(全体) |
出典:安全衛生技術試験協会 クレーン・デリック運転士(限定なし)受験案内
配点の高い科目は「クレーン及びデリックに関する知識」と「原動機及び電気に関する知識」の各30点です。合計点への貢献が大きいため、この2科目を優先的に対策することが合格への近道です。
科目1:クレーン及びデリックに関する知識(10問・30点)
クレーンとデリックの構造・機能・各部品の名称と役割を問う科目です。配点は100点中30点と最も高く、合格点への影響が大きい科目です。
主な出題テーマ
- クレーンの種類(天井クレーン・橋形クレーン・ジブクレーン・アンローダー等)とそれぞれの特徴
- デリックの種類(スチフレッグデリック・ガイデリック・ジンポールデリック等)と構造
- ワイヤロープの種類・よりの方向・安全係数(クレーン則第213条・第214条)
- フックブロック・シーブ・ドラムの役割
- ブレーキの種類(バンドブレーキ・ディスクブレーキ・ダイナミックブレーキ)と特徴
- 定格荷重・定格速度・つり上げ荷重の違い
- クレーンの安全装置(過巻防止装置・巻過防止装置・アネモメーター)
ワイヤロープの安全係数は法令と組み合わせた問題として出題されることがあります。「クレーンの巻上げ用ワイヤロープの安全係数は5以上」(クレーン則第214条)など、数字を伴う規定はしっかり覚えておくことをおすすめします。
科目2:関係法令(10問・20点)
労働安全衛生法・クレーン等安全規則(以下「クレーン則」)を中心とした法令知識を問う科目です。配点は20点と低めですが、最低4問(40%)を正解しないと足切りになります。
主な出題テーマ
- クレーンの設置届・使用検査(クレーン則第5条〜)
- 定期自主検査の実施義務と頻度(年1回・月1回)
- 運転業務と資格の関係(つり上げ荷重5t以上のクレーン→免許が必要)
- 過負荷防止・過負荷の禁止(クレーン則第24条)
- 玉掛け作業と玉掛け技能講習の関係
- 特定機械等(クレーン・移動式クレーン・デリック等)の製造許可・型式検定
- 就業制限業務・安全衛生教育の義務
法令は暗記主体の科目ですが、条文番号まで正確に覚える必要はありません。「〇〇の場合は届出が必要」「〇〇はいくつ以上で資格が必要」という規定の内容を把握することが優先です。
科目3:原動機及び電気に関する知識(10問・30点)
クレーンの動力源である電動機・内燃機関と、電気の基礎知識を問う科目です。配点30点と高く、理解を要する内容も含まれます。
主な出題テーマ
- 三相誘導電動機の構造(固定子・回転子)・起動方式(直入れ・スターデルタ)
- インバータ制御・ワードレオナード制御の違いと特徴
- 電気の基礎(オームの法則・直列・並列回路の計算)
- 電磁ブレーキ・渦電流ブレーキの仕組み
- 感電防止(アース・漏電遮断器)
- 内燃機関(ディーゼルエンジン)の構造と特徴
- 電気設備の保護装置(ヒューズ・過電流継電器)
電気の計算問題(オームの法則による電流・電圧・抵抗の計算)は、数値を代入すれば解ける問題です。計算が苦手な方も、公式を1つ覚えれば対応できます。
インバータ制御やスターデルタ起動など、制御方式の種類と特徴は比較表で整理しておくと覚えやすくなります。
科目4:クレーンの運転のために必要な力学に関する知識(10問・20点)
物理の基礎(力・モーメント・重心・摩擦)を問う科目です。計算問題が含まれますが、公式を覚えれば解ける問題が中心です。
主な出題テーマ
- 力の合成・分解・つり合い(三角形の法則・平行四辺形の法則)
- モーメント(力×距離)の計算
- 重心の求め方(複合形状)
- 物体の安定(重心の高さ・支点の幅)
- ワイヤロープにかかる張力の計算(2本吊り・4本吊りの場合)
- 摩擦力(静止摩擦・動摩擦)
- 速度・加速度・慣性の法則
「ワイヤロープ2本吊りの張力」の問題は頻出です。吊り角度と本数に応じた張力の変化(吊り角度が大きいほど張力が増える)という概念を理解しておくことが重要です。
科目別の学習優先順位
4科目を効率よく学ぶための優先順位の考え方を整理します。
| 優先度 | 科目 | 理由 |
|---|---|---|
| 1位 | クレーン及びデリックに関する知識 | 配点30点・出題が実務と直結・覚えやすい |
| 2位 | 原動機及び電気に関する知識 | 配点30点・理解系だが過去問パターンが安定 |
| 3位 | 関係法令 | 配点20点・暗記中心・過去問の繰り返しで対応 |
| 4位 | 力学に関する知識 | 配点20点・計算問題があるが公式は少ない |
いずれの科目も足切り(40%)を下回ると、合計点が足りていても不合格になります。得意・不得意に関係なく、全科目で最低4問の正解を確保することが前提です。
クレーン限定と限定なしで出題範囲は変わるか
クレーン限定を受験する場合、「デリック」に関する問題の割合が変わります。クレーン限定ではデリックの構造や種類に関する問題は出題されません。一方、限定なしを受験する場合は、デリックの構造・種類・法令上の取扱いについても学習が必要です。
デリックは、マスト・ブーム・ガイロープで構成される荷役機械です。スチフレッグデリック・ガイデリック・ジンポールデリック・クライミングデリックなどの種類と特徴を覚えておきましょう。
実技試験の科目
学科試験合格後に受ける実技試験の科目は次の2つです。
- クレーンの運転
- クレーンの運転のための合図
実技は実際にクレーンを操作する試験のため、学科試験の知識とは別に、教習機関での練習が必要です。実技試験の手数料は14,000円(非課税)です。
公表問題を活用する
安全衛生技術試験協会は、過去の学科試験問題(公表問題)を公式サイトで公開しています。出題形式・レベルを把握するために、少なくとも直近2〜3回分の公表問題を解いておくことをおすすめします。
問題はすべて5択形式です。選択肢の「一つだけ誤りを選べ」という形式と「正しいものを選べ」という形式が混在しています。問題文の指示を読み飛ばすと正解がわかっていても失点するため、注意してください。
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科目別の頻出テーマとポイント整理
各科目の中でも特に繰り返し出題されるテーマを絞り込むことで、効率的な学習が可能です。
クレーン及びデリックに関する知識の頻出テーマ
- ワイヤロープの安全係数(巻上げ用:5以上 / 人の運搬用:10以上)
- 定格荷重・定格速度・つり上げ荷重の定義の違い
- 過巻防止装置と巻過防止装置の違い
- アネモメーター(風速計)の設置義務(瞬間風速50m/s以上で使用禁止)
- 天井クレーン・橋形クレーン・ジブクレーンの構造上の特徴
- スチフレッグデリックとガイデリックの構造の違い
関係法令の頻出テーマ
- 設置届の提出先と時期(製造後・設置前に都道府県労働局長へ)
- 定期自主検査の実施頻度(年1回・月1回の別)
- つり上げ荷重5t以上の天井クレーンは免許が必要
- 悪天候(強風・大雨・大雪・地震後)の使用前点検義務
- クレーン検査証の有効期間(2年)
原動機及び電気に関する知識の頻出テーマ
- スターデルタ起動:始動電流を直入れの1/3に抑えられる・始動トルクも1/3になる
- インバータ制御:周波数を変えてモータの速度を制御・省エネルギー効果あり
- 電磁ブレーキ:電流を遮断すると制動力が発生(フェールセーフ)
- オームの法則:V=IR(電圧=電流×抵抗)
- 三相誘導電動機の同期速度:Ns=120f/P(fは周波数、Pは極数)
力学に関する知識の頻出テーマ
- モーメント:M=F×L(力×距離)
- 2本吊りの張力:吊り角度が大きいほど各ロープの張力が増加する
- 安定の条件:重心が低く、支点間の幅が広いほど安定する
- 摩擦力:F=μN(摩擦係数×垂直抗力)
問題の出題形式と解答のコツ
学科試験の問題は5択形式ですが、問いかけ方は2種類あります。どちらの形式かを確認してから解答することが重要です。
| 形式 | 例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 正しいものを選べ | 「クレーンの巻上げ用ワイヤロープの安全係数として、法令上正しいものはどれか。」 | 1つだけ正しい選択肢を選ぶ |
| 誤りを選べ | 「次のうち、クレーンの定期自主検査について誤りを含むものはどれか。」 | 4つは正しく、1つだけ誤りを探す |
「誤りを選べ」形式の問題では、正解の選択肢が正しい知識であっても不正解になります。問題文を最後まで読んでから解答肢を選ぶ習慣をつけておきましょう。
公表問題の入手と活用方法
安全衛生技術試験協会の公式サイト(https://www.exam.or.jp/)では、過去の公表問題をPDF形式でダウンロードできます。掲載されている回数はおよそ直近3〜5回分で、科目別に整理されています。
公表問題を活用する際は次のステップを踏むと効果的です。
- まず1回分を時間を計らずに解き、現時点の実力を把握する
- 解答・解説と照らし合わせて、間違えた問題の原因を確認する(知識不足・ケアレスミス・計算ミスを分類する)
- 間違えた問題の分野をテキストに戻って復習する
- 別の回の公表問題で確認する
同じ問題を繰り返すだけでは答えを覚えてしまい、実力の確認になりません。複数回分の問題を解き比べることで、自分の弱点を正確に把握できます。
本記事の試験科目・配点情報は安全衛生技術試験協会(https://www.exam.or.jp/)の公開情報に基づきます。試験内容は変更になる場合があるため、受験前に公式サイトでご確認ください。

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