飽和蒸気・過熱蒸気・乾き度とは(蒸気の状態)

問題をすぐに解いてみたい方は、こちらのアプリをご利用ください。
▶ 二級ボイラー技士 過去問アプリ(無料)

ボイラーで発生した蒸気には「飽和蒸気」「過熱蒸気」「湿り蒸気」の3種類があります。蒸気の状態と温度・圧力・比エンタルピの関係を理解することは、ボイラー効率の計算や取扱い上の判断に直結します。二級ボイラー技士試験では飽和蒸気の定義・乾き度・過熱蒸気の特徴が毎回出題されます。

蒸気の3状態

状態 定義 特徴
飽和水(沸騰した水) 飽和温度・飽和圧力の液体。これ以上加熱すると蒸発する 乾き度 = 0(液体のみ)
湿り蒸気(wet steam) 液滴(水分)が蒸気に混在した状態。沸騰が始まってから蒸発が完了するまでの状態 0 < 乾き度 < 1(液体と気体の混合)
乾き飽和蒸気(乾き蒸気) 水分がゼロの飽和蒸気。飽和温度・飽和圧力で完全に気体となった状態 乾き度 = 1
過熱蒸気(superheated steam) 乾き飽和蒸気をさらに加熱して飽和温度を超えた蒸気 乾き度という概念がない(完全に気体)。同じ圧力の飽和蒸気より高温

乾き度とは

乾き度(クォリティ・蒸気乾き度)は、湿り蒸気の中に含まれる乾き蒸気の質量割合です。

乾き度 x = 乾き蒸気の質量 ÷ 湿り蒸気全体の質量(乾き蒸気+水分)

  • x = 0:全量が水(飽和水)
  • x = 0.95:湿り蒸気(蒸気95%+水分5%)
  • x = 1.0:完全な乾き飽和蒸気

比エンタルピの計算(湿り蒸気)

湿り蒸気の比エンタルピ h は次の式で求められます。

h = h’ + x × r

記号 意味 単位
h’ 飽和水(飽和液)の比エンタルピ kJ/kg
x 乾き度 0〜1
r 蒸発潜熱(飽和液から乾き蒸気になるまでに必要な熱量) kJ/kg
h 湿り蒸気の比エンタルピ kJ/kg

乾き飽和蒸気(x=1)のときは h = h’ + r(最大値)。湿り蒸気は乾き度が低いほど比エンタルピが低くなります。

飽和温度・飽和圧力の関係

水が沸騰する温度(飽和温度)は圧力によって変わります。圧力が高いほど飽和温度は高くなります。

圧力(MPa) 飽和温度(℃)の目安
0.1(大気圧) 100℃
0.2 120.2℃
0.5 151.8℃
1.0 179.9℃
2.0 212.4℃
10.0 311℃

高圧ボイラーほど缶水の沸点(飽和温度)が高くなります。この関係を「飽和水蒸気表」から読み取ることが試験でも求められます。

過熱蒸気の特徴

過熱蒸気は飽和蒸気に対して次の特徴があります。

  • 同じ圧力で比べると、過熱蒸気は飽和蒸気より温度が高い(過熱度=過熱蒸気温度 − 飽和温度)
  • 同じ圧力・温度で比べると、過熱蒸気の方が比体積が大きい(密度が低い)
  • 過熱蒸気は圧力降下しても液体(水)になりにくい。配管の末端まで蒸気状態を保ちやすい
  • 発電用タービンには過熱蒸気を使用する。湿り蒸気のままタービンに入ると水滴が羽根を損傷する
  • 過熱蒸気は飽和蒸気より熱交換に時間がかかる(温度差が大きいとき除く)

過熱器の役割

過熱器(スーパーヒーター)はボイラー内で発生した乾き飽和蒸気をさらに加熱して過熱蒸気を作る装置です。

  • 燃焼ガスの熱(炉内の放射熱または煙道の対流熱)を使って蒸気を加熱する
  • 過熱蒸気温度が高いほどタービン効率が向上するが、管材料の耐熱限界がある
  • 過熱器管に水分(湿り蒸気)が入ると局部的な冷却・熱応力が生じて管損傷の原因になる。キャリーオーバー防止が重要な理由の一つ

試験で間違えやすいポイント

  • 「過熱蒸気は湿り蒸気より乾き度が低い」は誤り。過熱蒸気には乾き度の概念がない(完全に気体)
  • 「飽和温度は圧力に関わらず100℃」は誤り。飽和温度は圧力が高いほど上がる(大気圧で100℃)
  • 「乾き度0.9の蒸気は全体の90%が蒸気・10%が液体」は正しい記述(乾き度 = 蒸気の質量割合)
  • 「過熱蒸気と飽和蒸気は同じ圧力なら同じ温度」は誤り。過熱蒸気は飽和蒸気より温度が高い

この記事のまとめ

  • 飽和蒸気:飽和温度・飽和圧力での蒸気。乾き度1で「乾き飽和蒸気」
  • 乾き度 = 乾き蒸気の質量 ÷ 湿り蒸気全体の質量(0〜1)
  • 飽和温度は圧力に比例して上昇。高圧ボイラーほど缶内の水の沸点が高い
  • 過熱蒸気:乾き飽和蒸気を超えた高温蒸気。タービン用途・配管末端での蒸気保持に優れる

出典:ボイラー及び圧力容器安全規則(e-Gov法令検索)・ボイラー構造規格(昭和47年労働省告示第33号)・安全衛生技術試験協会 公表試験問題
作成:fufumumu_design|更新:2026年11月

問題をすぐに解いてみたい方は、こちらのアプリをご利用ください。
▶ 二級ボイラー技士 過去問アプリ(無料)

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

ご質問はメールで。電話・面談はしていません。

fufumumu_designをフォローする
一人親方・個人事業主のインボイス
fufumumu_designをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました