就労継続支援B型の身体拘束適正化研修、怠ると基本報酬の1%が減算される。

就労継続支援B型の身体拘束適正化研修、怠ると基本報酬の1%が減算される。 福祉事業の開業と運営

就労継続支援B型の身体拘束適正化研修、怠ると基本報酬の1%が減算される。

就労継続支援B型の身体拘束適正化研修を実施しなかった場合、基本報酬の1%が減算される。この減算は「身体拘束廃止未実施減算」と呼ばれ、令和3年度の報酬改定で加算から減算へと見直された仕組みだ。

就労継続支援B型の基本報酬は、定員と前年度の平均工賃月額によって区分が異なる。1%の減算が毎月続くと、年間で無視できない金額が削られる計算になる。

根拠は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(以下、基準省令)の就労継続支援B型に関する条文と、厚生労働省の解釈通知(障発0330第12号)だ。

基準省令が求める身体拘束適正化の3点セット。

基準省令は、身体拘束の適正化として次の3点を求めている。

第1に、身体拘束等適正化検討委員会の設置と開催だ。委員会は少なくとも1年に1回開催する必要がある。委員会では、身体拘束に関する事例の共有と再発防止策の検討が行われる。

第2に、指針の整備だ。身体拘束等の適正化のための指針を作成し、事業所内に整備しておかなければならない。

第3に、職員への研修だ。基準省令の条文は次のように規定している。

従業者に対し、身体拘束等の適正化のための研修を定期的に実施すること。

(指定障害福祉サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 就労継続支援B型に関する条文より引用)

「定期的に」の具体的な水準は、解釈通知(障発0330第12号)が年1回以上と示している。新規採用時にも必ず研修を実施することが求められる。

減算を受けるのは、3点セットのどれかが欠けたとき。

身体拘束廃止未実施減算の対象になるのは、委員会・指針・研修の3点がいずれも実施・整備されている状態を維持できなかった場合だ。

解釈通知は、未実施減算の対象となる状態を次のように示している。

  • 身体拘束等の適正化のための対策を検討する委員会を開催していない
  • 身体拘束等の適正化のための指針を整備していない
  • 身体拘束等の適正化のための研修を定期的に実施していない

就労継続支援B型での減算率は基本報酬の1%だ。入所系(グループホーム等)の10%と比べると低率だが、毎月継続する減算として積み重なる。

就労継続支援B型で、身体拘束は実際に起こりうる。

就労継続支援B型は、障害のある方が日中活動として生産活動に取り組む通所サービスだ。「入所施設でもないのに身体拘束が起きるのか」と思う管理者もいるかもしれない。

しかし、基準省令が想定する身体拘束は、ベッドへの固定などに限らない。厚生労働省の手引きは、次のような行為も身体拘束に当たる可能性があるとしている。

  • 自分では開けられない部屋や場所に入れて待たせること
  • 椅子やベルトで縛ること
  • 立ち上がれないように重い毛布をかけること
  • 向精神薬を過剰に服薬させることで行動を制限すること

自傷行為や他利用者への危険行動がある利用者への対応で、こうした行為が起きることは実際にある。だからこそ、省令は事前の研修と委員会の設置を義務として求めている。

「うちでは身体拘束はしていない」という事業所であっても、研修と委員会を実施しなければ減算の対象になる。あくまで「実施していない」という事実が減算の要件であり、身体拘束が発生しているかどうかとは別の話だ。

研修では何を学ぶか。

身体拘束の研修の中心は、「身体拘束の定義」「やむを得ない場合の3要件」「記録の方法」の3点だ。

やむを得ない場合の3要件は、解釈通知が「切迫性・非代替性・一時性」と定めている。

  • 切迫性:利用者本人や他の利用者の生命・身体に危険が及ぶ切迫した状態であること
  • 非代替性:身体拘束以外の方法では対応できないこと
  • 一時性:身体拘束が一時的なものであること

この3要件をすべて満たす場合にのみ、やむを得ない身体拘束が許容される。それ以外の身体拘束は、基準省令に違反する行為だ。

研修では、こうした基本知識を職員全員が共有することを目的とする。記録については、やむを得ず身体拘束を行った場合に、態様・時間・利用者の心身の状況・緊急やむを得ない理由を必ず記録に残す義務が省令に明記されている。

年間計画に組み込む方法。

就労継続支援B型の研修義務を整理すると次のとおりだ。

テーマ 年間回数(研修) 訓練 委員会
虐待防止 年1回以上 なし 年1回以上
身体拘束の適正化 年1回以上 なし 年1回以上
感染症 年2回以上 年1回以上 なし
BCP 年1回以上 年1回以上 なし

身体拘束の研修は年1回以上で、毎月1テーマずつ回す年間計画の中に1回入れる形が無理なく続けやすい。委員会は研修とは別に年1回の開催が必要なため、研修実施の後に続けて開催する事業所が多い。

感染症だけは年2回以上の研修と年1回以上の訓練があるため、感染症を年間計画の2ヶ月に割り当てると、12ヶ月で12テーマを回せる計算になる。

研修記録の保管と、運営指導での確認。

身体拘束の研修記録として残すべき内容は次のとおりだ。

  • 実施日
  • 参加した職員の名前と署名(または確認印)
  • 研修のテーマと使用した資料
  • 確認テストを実施した場合は、その結果

委員会については、開催日・出席者・議題・協議内容・結論を記録に残す。委員会記録は運営指導で提出を求められることが多い。

研修記録と委員会記録がいずれも欠けている場合、運営指導で身体拘束廃止未実施減算の対象と判断される可能性がある。記録の様式は自由だが、最低限の情報を書きやすい形を用意しておくと継続しやすい。

就労継続支援B型の法定研修を、ツールで進める。

就労継続支援B型向けの法定研修・訓練キットを公開している。身体拘束の適正化を含む12テーマの研修資料・確認テスト・受講記録・委員会の議題案・年間計画を、1つのツールで作成できる。

研修資料は省令・解釈通知・厚生労働省の手引きを直接引用した内容で構成している。身体拘束については、3要件の解説・行為の例示・記録の方法が含まれている。確認テストは職員のスマートフォンから受講でき、結果コードで管理者が受講を確認できる。

無料版では虐待防止の1テーマをすべての機能で試すことができる。

▶ 法定研修・訓練キット(就労継続支援B型版)

あわせて読みたい:障害福祉サービスの法定研修、8種類のサービス別に義務テーマと年間回数を整理する。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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