就労継続支援B型の個人情報保護研修、工賃記録と受託先情報の取り扱いがB型固有の論点。

就労継続支援B型の個人情報保護研修、工賃記録と受託先情報の取り扱いがB型固有の論点。 福祉事業の開業と運営





就労継続支援B型の個人情報保護研修、工賃記録と受託先情報の取り扱いがB型固有の論点。


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就労継続支援B型の職員には、業務上知り得た利用者・家族の秘密を漏らしてはならない秘密保持義務があります(指定基準第36条)。B型特有の論点は、工賃の支払い記録・作業実績・受託先企業の情報という、他の障害福祉サービスにはない情報が日常的に扱われる点です。

この記事では、就労継続支援B型の個人情報保護研修の根拠と、B型の生産活動に固有の情報漏洩リスクを整理します。

秘密保持義務の根拠

就労継続支援B型の個人情報保護は、指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第36条に定められています。

義務の内容 条文の要旨
業務上の秘密保持 職員は、正当な理由なく、業務上知り得た利用者または家族の秘密を漏らしてはならない
退職後の秘密保持 事業者は、退職した職員も秘密を漏らさないよう雇用時等に取り決めるなど必要な措置を講じなければならない
関係機関への情報提供 関係機関に情報を提供する際は、あらかじめ文書で利用者・家族の同意を得なければならない

(出典:指定基準 第36条。就労継続支援B型は第202条で準用。)

退職後も義務が続くという点は、多くの職員が意識していません。退職時に秘密保持誓約書を取り交わすことが、事業者側に求められる「必要な措置」の代表例です。

B型固有の個人情報:工賃と受託先情報

工賃の支払い記録

就労継続支援B型は、利用者ごとに月額の工賃を支払います。工賃台帳・作業実績記録・支払い明細は、利用者の労働状況・能力・体調に関わる情報を含みます。「◯◯さんの作業量がこの月は少なかった」という情報は、障害の状態・体調・欠席理由と関連する個人情報です。

工賃の内部情報(他の利用者がいくらもらっているか)は、利用者間のトラブルの原因になることもあります。職員が雑談で個別の工賃額を話すことは、秘密保持義務の違反になりえます。

受託先企業の情報

B型の生産活動では、企業から受託した作業を行う場合があります。受託先企業の名称・発注内容・単価などは、企業側の営業情報・内部情報に当たる場合があります。職員が外部でこの情報を話すことで、受託先企業との信頼関係を損なうリスクがあります。

個別支援計画・アセスメント情報

就労継続支援B型では、利用者ごとに個別支援計画を作成します。計画書には、障害の状態・生活課題・将来の目標・家族の状況などが含まれます。他機関(相談支援専門員・ハローワークなど)に情報を提供する際は、利用者本人の同意が必要です。

B型で起こりやすい情報漏洩の場面

場面 具体的なリスク
送迎中の会話 送迎担当職員が車内で他の利用者の話をする、または送迎先(自宅前)で家族に余計な情報を伝える
作業場での会話 利用者が聞いている場所で、別の利用者の支援内容・工賃・欠席理由を話す
SNS・スマートフォン 作業場の写真に利用者が写り込む、工賃明細の画面を撮影して投稿する
退職後の情報漏洩 元職員が元同僚・知人に「あの人はあそこに通っていた」と話す

研修で確認する主な内容

  • 秘密保持義務は退職後も続く(雇用時に誓約書を取り交わすこと)
  • 工賃情報・作業実績を第三者(利用者の間でも)に明かさない
  • 他機関に情報を提供する場合は文書による同意が必要
  • スマートフォンの写真・SNS投稿のルール(作業場での撮影禁止の基準を明確にする)
  • 個人情報保護法上の利用目的の範囲を超えた利用の禁止

運営指導での確認事項

運営指導では、個人情報保護に関して次の書類が確認されます。

  • 利用開始時の個人情報使用同意書(利用者・家族の署名があるか)
  • 研修の記録(年に1回程度の実施記録・参加者の確認サイン)
  • 職員の雇用時の秘密保持に関する取り決めの書類(誓約書等)
  • 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)の掲示または周知

まとめ

就労継続支援B型の個人情報保護研修では、指定基準第36条の3つの義務(業務上・退職後・同意)を確認するとともに、B型固有の工賃記録・受託先情報・個別支援計画の取り扱いを具体的に整理します。送迎・作業場・SNSという日常の場面でのリスクを職員が意識できるよう、事例を使って研修を行うことが効果的です。

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出典:指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第36条・個人情報の保護に関する法律。研修の頻度・同意書の様式は指定権者の案内を確認してください。


この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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