飲食店の物件契約では、賃貸借契約書に書かれた「原状回復の範囲」と「保証金・敷金の返還条件」を事前に確認することが重要です。内装・厨房設備に手を入れる飲食店は、一般的な事務所や住居より原状回復費用が高くなりやすく、退去時に保証金から大きく差し引かれるケースがあります。契約前に「スケルトン戻し義務の有無」「保証金の返還時期」「借主負担の原状回復の範囲」を確認してから契約します。
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飲食店の賃貸借契約で確認する5つのポイント
飲食店の物件を借りる際、契約書で確認すべき項目を整理します。
| 確認ポイント | 確認すべき内容 | 影響が出るタイミング |
|---|---|---|
| 原状回復の範囲 | 「スケルトン戻し」か「現状渡し時の状態に戻す」か。造作物はどこまで撤去が必要か | 退去時 |
| 保証金・敷金の額と返還時期 | 月額賃料の何か月分か。返還まで何か月かかるか | 契約時・退去後 |
| 保証金から差し引かれる条件 | どのような場合に保証金から修繕費が差し引かれるか | 退去時 |
| 転貸・譲渡の可否 | 事業を譲渡する場合に造作を含めて譲渡できるか | 事業譲渡時 |
| 更新料・更新時の条件変更 | 賃料の増額条件・更新料の有無 | 契約更新時 |
スケルトン戻し義務とは何か
スケルトン戻しとは、借りた状態(スケルトン=内装がない骨格状態)に戻して返却する義務のことです。飲食店では開業時に自分で内装・厨房設備を施工するため、退去時にすべて撤去してスケルトン状態に戻すことを求められる契約が多くあります。
スケルトン戻しの費用は坪あたり5〜15万円程度が目安とされており、30坪の店舗なら150〜450万円の撤去費用が発生します。この費用は保証金を上回る場合もあり、退去時の追加費用として残ることがあります。
| 店舗面積 | スケルトン戻し費用の目安(坪10万円の場合) | 保証金(月賃料20万円・10か月)との差 |
|---|---|---|
| 10坪 | 100万円 | 保証金200万円→差し引き後100万円手元に残る |
| 20坪 | 200万円 | 保証金200万円→ほぼゼロ |
| 30坪 | 300万円 | 保証金200万円→100万円の追加出費 |
スケルトン戻し義務がある場合は、開業時の資金計画に「退去時費用の積み立て」として見込んでおくことが重要です。
保証金・敷金の仕組みと返還まで
飲食店の物件では「保証金」「敷金」「礼金」の呼び方が混在しますが、いずれも契約時に預ける金額で、退去後に(条件に応じて)返還されます。
| 用語 | 意味 | 返還の有無 |
|---|---|---|
| 保証金 | 主に商業物件で使われる。月額賃料の6〜12か月分が多い | 契約終了後、原状回復費等を差し引いて返還。返還まで6か月〜1年かかる場合がある |
| 敷金 | 主に住居・一般オフィスで使われる。月額賃料の1〜2か月分が多い | 退去後、原状回復費を差し引いて返還 |
| 礼金 | 貸主への謝礼。慣習的な費用 | 返還なし |
飲食店の物件では、保証金を「償却(しょうきゃく)」する条項が含まれることがあります。償却とは「入居後一定期間が経過した時点で保証金の一部が返還されなくなる」条件で、たとえば「入居後6年で保証金の50%を償却」と定めた場合、6年後に退去しても保証金の半額しか戻りません。
居抜き物件の賃貸借契約の注意点
居抜き物件(前のテナントの内装・設備が残っている物件)を借りる場合、新たな内装工事費を抑えられる反面、賃貸借契約と「造作譲渡契約」の2契約が絡みます。
| 確認事項 | 内容 | トラブルが起きやすい場面 |
|---|---|---|
| 造作の所有権 | 前テナントの造作(内装・設備)は誰の所有物か。前テナントから購入したものか、オーナーから貸与されるものか | 退去時に「誰が撤去・原状回復を負担するか」の争い |
| 造作の状態・保証 | 厨房設備の動作確認・電気容量・排水の状態を事前に確認する | 入居後に設備不具合が発覚しても自己負担になる場合がある |
| 退去時の原状回復の起点 | 「入居時の居抜き状態」に戻すのか、「スケルトン」に戻すのかを明記する | 「入居時と同じ状態」と「スケルトン」は大きく違う |
賃貸借契約の交渉で確認できるポイント
賃貸借契約の内容は、一部交渉できる場合があります。特に以下の点は事前に確認・交渉を試みる価値があります。
第1は「フリーレント(無償貸与期間)の確保」です。工事期間中は売上が立たないため、工事期間分(1〜3か月)の賃料を無償にしてもらう交渉が可能な場合があります。賃料20万円であればフリーレント2か月で40万円の資金を温存できます。
第2は「スケルトン戻し義務の緩和」です。退去時の費用負担を軽減するため、「現状(入居時の状態)に戻す」条件に変更できないか確認します。ただし、物件オーナーの方針によって交渉が難しい場合もあります。
第3は「保証金の月数の引き下げ」です。初期費用を抑えるため、保証金を月賃料の6か月分から4か月分に引き下げる交渉を試みる場合があります。
賃料・保証金の開業費用への影響
公庫の記入例(洋風居酒屋)では月額賃料20万円・保証金200万円(10か月分)が設備資金の一部として計上されています。物件取得費用(保証金・礼金・仲介手数料)の合計は、家賃の2〜4か月分の仲介手数料等を加えると350〜400万円規模になる場合があります。
立地選びの費用計算については立地選びで確認する5つの数字で詳しく説明しています。開業前の資金計画は飲食店の開業 収支シミュレーターで試算できます。
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本記事の保証金・原状回復に関する内容は一般的な商業賃貸借の実務をもとにしており、個別の物件・契約によって内容が異なります。賃貸借契約書の内容確認は、弁護士または宅地建物取引士に相談することを推奨します。本ツールは当方が作成した民間のシミュレーターであり、日本政策金融公庫が作成・提供するものではありません。むむ(fufumumu_design)作成・2026年11月確認。


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