飲食店の厨房設備は新品・中古・リースのどれを選ぶか。公庫の記入例450万円と月次コストの比較。

飲食店の厨房設備は新品・中古・リースのどれを選ぶか。公庫の記入例450万円と月次コストの比較。 飲食店の開業

公庫の創業計画書の記入例(洋風居酒屋)では、設備資金970万円のうち厨房設備が450万円(46.4%)を占めています。厨房設備は新品・中古・リースの3つの調達方法があり、初期費用と月次コストのバランスをどう取るかが開業計画の重要な判断点です。中古品を活用すると新品の50〜70%程度の費用で揃えられる場合があります。リース契約では初期費用を抑えられますが、総支払い額は購入より高くなるのが一般的です。

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公庫の記入例で厨房設備は450万円・設備資金の46%

公庫の記入例(洋風居酒屋・2025年4月版)の設備資金970万円の内訳では、厨房設備が450万円と最大の費目です。内外装400万円を上回る金額です。厨房設備は飲食店の生産設備であるため、業態に合わせた機器構成が必要で、調達方法の選択が開業コストに大きく影響します。

居酒屋・ダイニング系(25席程度)の厨房設備の主要機器を整理すると以下のようになります。

機器 新品の目安価格 中古の目安価格 リース(月額目安)
業務用コンロ(6口・都市ガス) 20〜50万円 5〜20万円 5,000〜15,000円
業務用冷蔵庫(2ドア・縦型) 30〜80万円 8〜30万円 8,000〜25,000円
業務用冷凍庫(縦型) 25〜70万円 8〜25万円 7,000〜20,000円
食器洗浄機(業務用アンダーカウンター型) 50〜150万円 15〜50万円 15,000〜40,000円
換気扇・排気ダクト一式 50〜200万円 —(設備工事のため) —
シンク(二槽・三槽) 8〜30万円 3〜10万円 —
作業台・棚 15〜50万円 5〜20万円 —

※価格は参考目安です。メーカー・サイズ・機能によって大きく変動します。

新品・中古・リースの3つの調達方法の比較

厨房機器の調達方法は新品購入・中古購入・リース契約の3つがあり、初期費用・月次コスト・リスクの面でそれぞれ特徴があります。

調達方法 初期費用 月次コスト メリット デメリット
新品購入 高(450万円水準) なし(元金返済のみ) メーカー保証あり・最新機能・長期使用可能 初期費用が最大。開業前の資金負担が重い
中古購入 中(150〜270万円程度・新品の30〜60%) なし 初期費用を抑えられる。購入後はコスト不要 保証なし・故障リスク。動作確認が必須
リース契約 低(頭金0〜50万円程度) あり(月額2〜10万円程度・機器構成による) 初期費用を抑えられる。メンテナンス込みの契約もある 総支払い額が購入より高い。途中解約に違約金

リース契約の総支払い額の目安を確認します。厨房設備一式をリースで月額8万円・契約期間7年とした場合、総支払い額は96万円×7=672万円です。同じ設備を新品で450万円購入した場合より222万円多く払う計算になります(金利・メンテナンス費用を除く)。

中古厨房機器を選ぶ際の確認事項

中古厨房機器は初期費用を削減できますが、購入前に確認すべき点がいくつかあります。

第1は、動作確認です。冷蔵庫・冷凍庫は実際に冷えるか確認します。コンロはすべてのバーナーが点火するか、火力が均一かを確認します。食洗機は実際に稼働させてすすぎ性能を確認することが重要です。

第2は、部品供給の確認です。機器が古すぎると修理に必要な部品がメーカーから取り寄せられない場合があります。製造から10年以上経過した機器は部品供給終了のリスクがあります。

第3は、設置工事の対応です。ガス機器はガス業者、電気機器は電気工事業者が設置工事を行います。中古品でも設置・接続は業者に依頼する必要があります。

第4は、保健所の基準との整合です。シンク・冷蔵庫の台数や配置は保健所の基準を満たす必要があります。中古品で構成しても基準を満たさない場合は追加設備が必要です。

記入例の厨房設備450万円をどう読むか

公庫の記入例の厨房設備450万円は25席の居酒屋として標準的な水準といえます。ただし業態によって必要な機器が異なるため、自分の業態に合わせて見積もりを取ることが重要です。

業態 厨房設備費の目安(20〜30席規模) 主な特徴
居酒屋・ダイニング系 300〜600万円 コンロ・フライヤー・冷蔵・保温設備が多い
ラーメン・麺類 200〜400万円 大型スープ釜・冷却設備が必要
カフェ・スイーツ系 150〜300万円 エスプレッソマシン・ショーケースが高額になる場合がある
焼肉・鉄板焼き 400〜800万円 テーブル一体型の焼き台・強力な排気設備が必要

初期費用と月次の元金返済を試算する

厨房設備の調達方法が変わると、月次の元金返済額が変わります。設備資金を公庫から借り入れる場合、以下のように試算できます。

厨房設備の調達費用 設備資金合計(内外装400万円と合算) 月次元金返済(7年返済・利率1.6%)
新品 450万円(記入例) 970万円(記入例) 約11.9万円
中古 250万円 770万円(200万円削減) 約9.5万円
リース 0円(全機器) 520万円+リース月額8万円 約6.4万円(元金)+8万円(リース)=約14.4万円

厨房設備を全リースにすると初期の借入は減りますが、月次のリース費用が固定費として加わります。損益分岐点が上がるため、売上が計画どおりに立ち上がらない場合のリスクが増えます。開業直後の資金繰りの安定を最優先にするなら、一部の機器を中古で購入してリースを最小限に抑える方法が現実的なケースが多いです。

設備資金・借入額・月次損益の試算は飲食店の開業 収支シミュレーターで確認できます。

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本記事の機器価格・リース月額は複数の厨房機器販売業者・リース会社の公開情報をもとにした参考値であり、実際の費用はメーカー・機種・購入時期によって異なります。厨房設備の調達前に複数の業者から見積もりを取り、保健所の基準との整合を事前に確認してください。本ツールは当方が作成した民間のシミュレーターであり、日本政策金融公庫が作成・提供するものではありません。むむ(fufumumu_design)作成・2026年11月確認。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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