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厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)によると、短期入所の収支差率は医療法人14.3%・NPO法人12.9%・その他10.4%に対して、社会法人(社協含む)は-1.6%と赤字です。同じ短期入所サービスで15ポイント以上の差が生じている構造的な理由を整理します。
短期入所の法人形態別収支差率
| 法人形態 | 事業所数 | 平均年収入 | 収支差額 | 収支差率 |
|---|---|---|---|---|
| 医療法人 | 8件 | 1,375万円 | 197万円 | 14.3% |
| NPO法人 | 26件 | 502万円 | 65万円 | 12.9% |
| その他 | 56件 | 1,179万円 | 122万円 | 10.4% |
| 社会法人(他含む) | 247件 | 836万円 | -13万円 | -1.6% |
社会法人が最多(247件・全体の73%)ですが、収支差率は唯一の赤字(-1.6%)です。医療法人はn=8と標本数が少ないものの、14.3%と高い収支差率を示しています。
医療法人が高い収支差率を実現できる理由
医療的ケアが必要な高収益利用者の受け入れ:医療法人が運営する短期入所は、医師・看護師の常駐体制(医療法人の母体施設で確保)を活かして医療的ケア(気管切開・胃ろう・経管栄養等)が必要な利用者を受け入れられます。重症心身障害等の医療的ケアが必要な利用者の報酬単価は高く、収入単価が一般の短期入所より高くなります。
既存の医療施設に併設するため固定費が低い:医療法人が運営する短期入所は、既存の病院・診療所・介護老人保健施設等に併設する形で設置されるケースが多く、建物・設備・人員(看護師等)を共用できます。短期入所のみのコストとして計上される固定費が低くなるため、収支差率が高くなります。
夜間支援・医療連携体制加算の算定:医療法人の短期入所は看護職員の配置・医療連携加算・超重症児受入加算等、医療対応を前提とした各種加算の算定が容易です。これらの加算が収入を押し上げます。
社会法人の短期入所が赤字になりやすい構造
入所施設・通所施設への付帯事業として運営:社会法人が運営する短期入所の多くは、生活介護や施設入所支援(入所施設)に「空き部屋」を活用した形で短期入所を提供しています。主たる事業(生活介護等)は収益が出ているため、短期入所の赤字を補填する形で運営継続しているケースがあります。短期入所単体の収支は赤字でも、法人全体では黒字という構造です。
利用率(稼働率)が低い:短期入所のベッド稼働率は、利用者の急な申し込みに対応するため「空きを確保しておく必要がある」という需要特性から、他のサービスより低くなりがちです。特に社会法人が運営する付帯型の短期入所では、常設ベッドを確保した上で稼働率が低い状態が続くため、費用に対して収入が不足します。
小規模で規模の経済が働かない:社会法人の平均年収836万円(医療法人の61%)からも分かるように、社会法人の短期入所は規模が小さい事業所が多く、固定費(人件費等)を薄く分散できません。
短期入所の収支差率全国平均2.3%の解釈
7サービスの中で最低の収支差率(2.3%)である短期入所ですが、法人形態別に見ると実態が異なります。社会法人が全体の73%を占めながら赤字(-1.6%)であることが全体平均を引き下げており、医療法人・NPO・その他は健全な収益を出しています。
自事業所が短期入所を運営している場合、法人形態と運営形態(単独 vs 付帯)を考慮した上で、対応すべき改善点を絞り込むことが有効です。医療的ケアへの対応拡大(看護師配置・加算取得)や、稼働率向上(利用調整の改善・相談支援事業所への周知)が現実的な改善ルートです。
短期入所の社会法人赤字と生活介護の社会法人黒字の比較
短期入所の社会法人は-1.6%(赤字)ですが、生活介護の社会法人は6.1%(黒字)です。同じ社会法人でもサービスによってこれほど大きな差が出る理由を確認します。
稼働率の構造的な差:生活介護は毎日通所するサービスであり、年間240日前後の稼働で定員の約84%が利用します。短期入所は「緊急時の利用・年数回の利用」という需要特性から、ベッドを確保しながら稼働率が低い状態が続きます。社会法人が付帯で運営する短期入所は「主たる事業の空き枠を短期入所として使う」形が多く、独立した稼働率向上が難しい構造です。
単価の差:生活介護の区分6利用者(1人あたり1日5,000〜6,000円相当)に対し、短期入所の収入規模(平均880万円・社会法人836万円)は大幅に小さく、同じ社会法人の運営でも規模と単価の差が収益性の差になっています。
短期入所で黒字を確保するには、医療法人・NPO・その他が実現している10〜14%台の水準を参考に、重度障害者対応加算の取得と定期的な空きベッドの効率的な利用調整(医療型短期入所を強みにする等)が有効な戦略です。
NPO法人が12.9%の高収支差率を実現できる理由
NPO法人(n=26)の収支差率12.9%は、医療法人(14.3%)に次いで高い水準です。NPO法人の短期入所は平均年収502万円と規模が小さく、ベッド数も少ない事業所が多いと考えられます。しかし小規模であることが逆に強みになっているケースがあります。
小規模な短期入所は「定員5〜8床・利用者が顔見知り・緊急時もすぐ対応」という地域密着型の運営ができ、相談支援事業所や家族からの信頼が高くなります。これが稼働率の安定につながり、収支差率の改善に直結します。また、NPO法人は特定の障害種別に特化した短期入所(たとえば医療的ケア児専門、行動障害対応専門等)を運営しているケースがあり、その専門性に対して適切な加算が算定されることで収入単価が高くなっています。
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出典:厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)。医療法人n=8と標本数が少ないため、数値は参考値として扱ってください。

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