すぐにご利用されたい方は、こちらからどうぞ。
▶ 福祉事業所の経営診断ツール(無料で試せます)
厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)によると、放課後等デイサービス(放デイ)の人件費率は平均64.4%です。障害福祉7サービスの中ではGH包括型(61.7%)に次いで低い水準で、これが収支差率9.1%を支えている要因のひとつです。
人件費率64.4%が意味すること
人件費率とは「年間収入に対する年間人件費の割合」です。放デイ(平均)の数字は次のとおりです。
| 項目 | 金額(千円) |
|---|---|
| 年間収入(平均) | 31,025千円(約3,103万円) |
| 年間人件費(平均) | 19,983千円(約1,998万円) |
| 人件費率 | 64.4% |
| 収支差額(平均) | 2,831千円(約283万円) |
| 収支差率 | 9.1% |
年間収入3,103万円のうち1,998万円が人件費です。残りの収入(35.6%・約1,105万円)で人件費以外の費用(家賃・光熱費・消耗品・減価償却費等)をまかなった上で、283万円が収支差額(利益相当)として残っています。
障害福祉7サービスの人件費率比較
| サービス | 人件費率 | 収支差率(平均) |
|---|---|---|
| GH包括型 | 61.7% | 6.9% |
| 放デイ | 64.4% | 9.1% |
| 就労移行支援 | 64.2% | 6.0% |
| GH日中型 | 66.1% | 5.1% |
| 児発 | 68.0% | 7.8% |
| 生活介護 | 69.1% | 6.3% |
| 短期入所 | 69.2% | 2.3% |
就労移行支援も人件費率は64.2%で放デイとほぼ同水準ですが、収支差率は6.0%と放デイより3ポイント低くなっています。人件費率だけが収支差率を決めるわけではなく、収入水準(稼働率・加算の有無)も大きく影響します。
放デイの人件費率が低い理由
支援員の雇用形態と稼働時間:放デイは放課後・土日祝を中心とした支援のため、非常勤・パートタイム職員を比較的多く活用しやすいサービスです。常時開所・夜間支援が必要なGHや生活介護と比べると、人件費の比率を抑えやすい構造があります。
配置基準の特徴:放デイの人員配置基準は「従業者10人(利用者数+2)に対して1人以上(管理者)・指導員又は保育士等2人以上(うち1名常勤)」が基本です。入所系・日中常時支援系サービスと比べると、必要最低限の常勤職員数が少ない傾向にあります。
比較的短い支援時間:1日の支援時間は放課後〜夕方(平日)や日中(土日祝)が中心で、生活介護(終日)・GH(24時間)と比べると1利用者当たりの支援時間が短く、職員の延べ労働時間が少なく済むことがあります。
自事業所の人件費率の確認方法
自事業所の人件費率を計算するには、次の計算式を使います。
人件費率 = 年間人件費 ÷ 年間収入 × 100
自事業所の人件費率と全国平均64.4%を比較したとき、次のように解釈できます。
- 64.4%より低い場合:人件費コントロールができている。ただし人員配置基準を下回っていないか・職員の処遇が適切かを合わせて確認する
- 64.4%より高い(68〜70%以上)場合:人件費が収支を圧迫している可能性がある。常勤・非常勤の配置比率や残業時間・採用状況を確認する
- 74〜75%を超える場合:収支差率が5%を下回るリスクが高まる。人件費と収入のどちらに問題があるか確認が必要
放デイで人件費率を適正範囲に保つポイント
全国平均64.4%前後に人件費率を保つための取り組みとして、次のポイントが挙げられます。
- 非常勤・パートの比率を最適化する:放課後・土日祝に特化した非常勤職員を活用することで、開所時間外のコストを抑えられます。ただし、専門的支援実施加算等の取得要件(有資格者の常勤配置等)との整合を確認します
- 定員充足率を上げる:人件費は利用者数にかかわらず一定額発生します。定員充足率が80%と90%では、利用者1人当たりの人件費負担が大きく変わります。稼働率を上げることで、同じ人件費から生まれる収入が増え、人件費率が下がります
- 加算収入を増やす:専門的支援実施加算(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理指導担当職員の配置で算定可)等の取得で収入を増やすと、人件費額は変わらなくても人件費率は低下します
放デイの収支差率9.1%(平均)は障害福祉7サービスで最高水準です。人件費率を64%前後に保ちながら稼働率と加算収入を最大化することが、この水準を維持・改善する基本的な方向性です。
法人形態別の人件費率の違い
放デイの収支差率は法人形態によって大きく異なります(社会法人▲2.0%・NPO4.3%・営利12.6%)。この差の背景には人件費率の違いがあると考えられます。
営利法人(収支差率12.6%):営利法人の放デイは非常勤・パートの活用が積極的な傾向があり、人件費率が60〜62%程度に抑えられているケースがあります。専門的支援実施加算の算定要件(有資格者の常勤配置)を満たしつつ、それ以外の職員を非常勤で賄うことで人件費率を下げています。
NPO法人(収支差率4.3%):NPO法人は専門職(理学療法士・作業療法士等)の採用コストが高くなりやすい傾向があります。また、非常勤比率の最適化が組合員・会員との関係で難しいケースもあり、人件費率が高くなりやすい面があります。
社会法人(収支差率▲2.0%):社会法人は常勤職員の比率が高く退職金・法定福利費の負担も大きい傾向があります。人件費率が68〜72%程度に上昇している事業所が多いと考えられ、これが収支差率を下押ししている要因のひとつです。
法人形態を変えることはできませんが、法人形態ごとの人件費率の傾向を理解することで、自事業所の人件費率が「法人形態として適正な水準か」「改善余地があるか」を判断する材料になります。
収支差率9.1%を実現している事業所の人件費管理
放デイの中央値収支差率は2.7%で、平均9.1%との差が大きいことに注意が必要です。平均が高い理由は、収支差率が20〜30%以上の高収益事業所が平均を引き上げているためです。
中央値2.7%前後の多くの事業所では、人件費率がすでに65〜70%近くにある可能性があります。人件費率を64.4%以下に抑えながら収支差率9%を実現するには、稼働率87.8%(WAM参考値)以上を維持し、取得できる加算を確実に算定していることが前提条件になります。
すぐにご利用されたい方は、こちらからどうぞ。
▶ 福祉事業所の経営診断ツール(無料で試せます)
出典:厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)。人員配置基準の詳細は厚生労働省の指定基準通知をご確認ください。

コメント