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生活介護の稼働率(定員対比の利用率)は、収支差率を左右する重要な指標です。福祉医療機構(WAM)の経営分析参考指標(2023年度決算)から、生活介護の稼働率の参考値と収益への影響を整理しました。
WAMの稼働率参考値は84.2%
福祉医療機構(WAM)の経営分析参考指標(2023年度決算)では、生活介護の稼働率参考値は84.2%です。この数字はWAMから融資を受けた事業所の決算にもとづく参考値であり、全国のすべての事業所の平均ではありません。
| サービス | WAM稼働率参考値 |
|---|---|
| 放課後等デイサービス | 87.8% |
| グループホーム包括型 | 85.7% |
| グループホーム日中型 | 86.0% |
| 生活介護 | 84.2% |
| 児童発達支援 | 80.8% |
| 就労移行支援 | 69.2% |
生活介護の84.2%は、7サービスの中で中程度の水準です。就労移行支援(69.2%)や児童発達支援(80.8%)より高く、放課後等デイサービス(87.8%)やGH(85〜86%)より低い水準です。
稼働率の計算方法
生活介護の稼働率は次の式で計算します。
稼働率(%)= 年間延べ利用者数 ÷(定員 × 年間営業日数)× 100
たとえば定員30人・年間営業日数250日の事業所で、年間延べ利用者数が6,315人日の場合:稼働率=6,315 ÷(30 × 250)=84.2%です。
月次で確認する場合は「月間延べ利用者数 ÷(定員 × その月の営業日数)× 100」で計算できます。
稼働率が収入に与える影響の試算
調査事業所の平均データ(定員28人・年収7,939万円・令和6年度)をもとに、稼働率が変化した場合の収入への影響を試算します。
| 稼働率 | WAM参考値比 | 収入試算(年) | 収支差試算(年)※ |
|---|---|---|---|
| 90% | +5.8pt | 約8,481万円 | 約547万円 |
| 84.2%(WAM参考値) | ±0 | 約7,939万円 | 約502万円(R6実績) |
| 80% | ▲4.2pt | 約7,541万円 | 約104万円 |
| 75% | ▲9.2pt | 約7,067万円 | ▲370万円(赤字) |
※収支差試算は人件費率69.1%・その他費用が固定という前提の簡易計算です。実態は費用の一部も変動するため、参考値です。
稼働率が84.2%から75%に下がると(定員28人なら約2.6人分の減少)、収支が黒字から赤字に転落する計算です。生活介護は収支差率の中央値が7.9%と高めですが、稼働率の低下に対する安全余裕はそれほど大きくないことが分かります。
稼働率が下がりやすいタイミング
生活介護の稼働率が下がりやすいのは、次のような場面です。
- 利用者の体調悪化・入院による長期欠席
- 利用者の転居・施設移転・死亡による定員の空き
- 新規利用者の受け入れが追いつかない時期
利用者の平均年齢が高い事業所や、医療的ケアが必要な利用者が多い事業所では、入院・体調不良による欠席が増えやすく、稼働率の変動が大きくなる傾向があります。
加算の取得で損益分岐稼働率を下げる
損益分岐稼働率を下げる(つまり、低い稼働率でも黒字になる水準に改善する)ためには、1人1日あたりの収入を増やすことが有効です。生活介護には収入を増やせる加算が複数あります。
- 重度障害者支援加算:障害支援区分6の利用者や強度行動障害を有する利用者に対して、専門的な支援を行う場合に取得できます。区分6の利用者に適切な支援を行うことで、基本報酬に加算が上乗せされます
- 医療連携体制加算:看護職員を配置し、医療的ケアが必要な利用者に対応することで取得できます。看護職員の人件費は発生しますが、取得できれば収入が大幅に増えます
- 強度行動障害支援者養成研修修了者配置加算:強度行動障害支援者養成研修(基礎研修・実践研修)を修了した職員を配置することで取得できます
これらの加算を取得することで、同じ稼働率でも収入が増え、損益分岐稼働率を下げることができます。加算の要件は告示・解釈通知で確認し、要件を満たせるかを検討することが重要です。
損益分岐稼働率の求め方
損益分岐稼働率は、固定費の合計と収入単価から計算できます。
手順:
- 年間固定費の合計を算出(人件費+家賃・リース料+減価償却費等)
- 定員1人・1日あたりの収入(基本報酬+加算)を確認
- 損益分岐の年間延べ利用者数 = 固定費 ÷ 1人1日あたり収入
- 損益分岐稼働率 = 損益分岐延べ利用者数 ÷(定員 × 年間営業日数)× 100
現在の稼働率と損益分岐稼働率の差が小さいほど、利用者数が少し減っただけで赤字になるリスクが高い状態です。差が10ポイント以上あれば、ある程度の変動に耐えられる余裕があります。
生活介護の稼働率と収支差率の全国水準のまとめ
生活介護の経営を数字でまとめると次のとおりです。
| 指標 | 全国水準(令和6年度) |
|---|---|
| 稼働率(WAM参考値) | 84.2% |
| 収支差率(中央値) | 7.9% |
| 人件費率 | 69.1% |
| 赤字割合 | 25.3%(7サービス中最低) |
| 平均定員 | 28人 |
| 平均年収入 | 7,939万円 |
生活介護は7サービスの中で赤字割合が最も低いサービスですが、その前提にあるのは稼働率の安定(84%以上)と加算の適切な取得です。稼働率が75%を下回ると収支は赤字に転落する水準のため、定期的な稼働率の確認が重要です。
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出典:厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)、福祉医療機構(WAM)経営分析参考指標 2023年度決算分。試算値は当方が概算計算したもので、各機関が作成したものではありません。

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