作業環境測定の3つの管理区分とは。第一種衛生管理者が押さえる測定・評価・改善の流れ

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作業環境測定とは

作業環境測定とは、有害物質・騒音・放射線等が発生する作業場の環境を定期的に測定して、労働者のばく露状況を把握するための調査です。一定の有害業務を行う事業場では定期的な実施が義務付けられており(労働安全衛生法第65条)、第一種衛生管理者が担当する職場では重要な管理業務のひとつです。

3つの管理区分(第1〜第3管理区分)

作業環境測定の結果は「第1管理区分」「第2管理区分」「第3管理区分」の3段階に評価されます。

管理区分 意味 必要な対応
第1管理区分 作業環境管理が適切な状態(測定値が管理濃度の平均以下・変動が小さい) 現状維持。継続的な測定を実施する
第2管理区分 改善の余地がある状態(一部の測定値が管理濃度を超えている) 改善に向けた努力義務。継続的な監視と改善措置を実施
第3管理区分 作業環境管理が不適切な状態(測定値が管理濃度を大きく超えている) 直ちに改善が必要。施設・設備の改善または呼吸用保護具の着用義務

第3管理区分になった場合の義務的対応

第3管理区分になった場合は、以下の措置が義務化されています(令和4〜5年改正で強化)。

  • 直ちに施設・設備の改善(局所排気装置の増強・密閉化等)または有効な呼吸用保護具の使用
  • 保護具の使用が長期にわたる場合は「保護具着用管理責任者」の選任
  • 作業環境測定専門家への相談・指導を受ける
  • 措置の効果を確認するための再測定

作業環境測定の実施頻度

有害物質・業務の種類によって測定頻度が定められています。

業務・物質 測定頻度
有機溶剤業務 6か月以内ごとに1回
特定化学物質業務(第1・2類) 6か月以内ごとに1回
鉛業務 6か月以内ごとに1回(鉛管理区分が第1管理区分の場合は1年に1回)
電離放射線業務 1か月以内ごとに1回(通常)
粉じん業務(特定粉じん) 6か月以内ごとに1回
石綿業務 6か月以内ごとに1回

出典:各特定業務に関する省令・規則(有機溶剤中毒予防規則第28条、特定化学物質障害予防規則第36条 等)

測定記録の保存期間

  • 有機溶剤・特化則(一般):3年間
  • 特化則の特別管理物質(クロム酸塩等):30年間
  • 石綿:40年間
  • 電離放射線:5年間(測定結果の記録)

衛生管理者の役割(作業環境測定の管理)

  • 測定の実施時期・業者の手配の管理
  • 測定結果の管理区分の確認と事業者への報告
  • 第3管理区分になった場合の改善措置の調整
  • 産業医・作業環境測定士との連携
  • 記録の保存(期間は物質ごとに異なる)

試験での出題ポイント

  • 管理区分:第1(良好)・第2(要改善努力)・第3(直ちに改善義務)
  • 第3管理区分での義務:施設改善または保護具着用(どちらか一方ではなく改善が優先)
  • 測定頻度:多くの業務で6か月以内ごとに1回

作業環境測定が必要な作業場の種類

安衛法第65条に基づき、作業環境測定を実施しなければならない作業場の主な種類は次のとおりです。

  • 有機溶剤(トルエン・キシレン等)を使用する屋内作業場
  • 特定化学物質(ベンゼン・塩素等)を取り扱う屋内作業場
  • 電離放射線を発生させる作業場
  • 粉じん(岩石・鉱物等の粉じん)が発散する屋内作業場
  • 鉛業務を行う屋内作業場
  • 暑熱・寒冷・多湿の屋内作業場(一部)
  • 著しい騒音を発する屋内作業場

測定の対象・頻度・保存期間は作業の種類ごとに異なります。詳細は安衛則・有機溶剤中毒予防規則・特定化学物質障害予防規則等の各規則で確認してください。

管理区分に応じた具体的な措置

作業環境測定の結果は第1〜第3管理区分に分類され、それぞれ対応が求められます。

管理区分 状態の目安 主な対応措置
第1管理区分 良好な状態(基準値を概ね下回る) 現状維持。定期測定を継続
第2管理区分 要改善(基準値を一部超える) 施設・設備の改善措置を検討する。次回測定で確認
第3管理区分 不良(基準値を超える) 直ちに施設・設備を改善。保護具の使用義務。産業医等への報告

令和4年の改正により、第3管理区分が改善できない場合は外部の「作業環境管理専門家」に意見を聴く義務が追加されました(令和6年4月施行)。

自社実施と外部委託の選択

作業環境測定は、登録作業環境測定機関(外部の専門機関)に委託することが一般的です。自社で行う場合は「作業環境測定士」の資格が必要です。

  • 外部委託が一般的:専用機器・資格者が必要なため、多くの事業場は外部の測定機関を利用
  • 測定機関の選定:測定の種類(有機溶剤・粉じん等)に対応した登録機関を選ぶ
  • 測定記録の保存:測定結果の記録は事業場で一定期間保存する義務がある(種類によって3年・5年等)

衛生管理者が行う記録管理の実務

作業環境測定の結果は「測定記録書」として保存します。衛生管理者が行う管理業務は次のとおりです。

  • 測定結果の受取と保存(種類別・年度別にファイリング)
  • 管理区分の確認と、第2・第3管理区分の場合の改善対応の記録
  • 次回測定スケジュールの管理(年2回など頻度が定められている場合)
  • 衛生委員会への報告(測定結果と改善状況を毎月または四半期ごとに審議する)

令和4年改正で変わった作業環境測定の取り扱い

令和4年(2022年)の安衛則改正により、作業環境測定に関連した実務が変わっています。主な変更点は次のとおりです。

  • 自律的管理への移行:特定の化学物質はリスクアセスメントと管理が事業者の義務に(従来の作業環境測定義務と並行して実施)
  • 第3管理区分への対応強化:改善が困難な場合は「作業環境管理専門家」(令和6年4月施行)への意見聴取が義務化
  • 労働者への周知:測定結果は労働者に周知する義務がある(安衛法第65条の3)

作業環境測定の結果を労働者に周知する方法

安衛法第65条の3により、事業者は作業環境測定の結果を労働者に周知しなければなりません。周知の方法は次のとおりです。

  • 事業場の見やすい場所への掲示・備え付け
  • 電子メール等の電磁的方法による通知
  • 衛生委員会での報告(委員を通じて間接的に周知する方法)

衛生管理者として把握しておく記録の保存期間

作業環境測定記録の保存期間は物質の種類によって異なります。担当作業場の種類と保存年数を事前に確認し、フォルダ管理に組み込んでおくことで、監督署の調査時にも迅速に対応できます。

作業場の種類 保存期間
一般作業場(有機溶剤等) 3年間
特定化学物質(一部)・放射線 5年間
石綿・クロム酸等の特定の第1類物質 30年間

第一種衛生管理者試験での作業環境測定の出題ポイント

作業環境測定は第一種衛生管理者試験の有害業務分野で頻出です。次の点を押さえておくと得点しやすいです。

  • 測定義務がある作業場の種類(有機溶剤・特化物・粉じん・放射線・騒音・暑熱等)と測定頻度
  • 第1〜第3管理区分の定義と、各区分でとるべき措置の違い
  • 第3管理区分の場合の強制的な措置(改善・保護具使用・作業環境管理専門家への相談)
  • 測定記録の保存期間(種類ごとに3年・5年・30年と異なる)

作業環境測定は「やって終わり」ではなく、結果を職場改善に活かすことが目的です。第3管理区分の場合は速やかに改善措置を講じ、次回測定で改善を確認するPDCAサイクルを回すことが求められます。

測定記録の保存期間は種類によって大きく異なるため(3年〜30年)、保管フォルダを分けて管理することで、万一の監督署調査にも迅速に対応できます。

作業環境測定は事業者の義務であるとともに、結果を労働者に周知する義務もあります(安衛法第65条の3)。測定結果を掲示・メール配信等で共有することで、労働者の職場環境への理解が深まり、自発的な改善行動につながります。衛生委員会での報告と合わせて実施することが実務上の一般的な方法です。

作業環境測定の対象となる業務が増えた場合(新しい有害物質の取り扱い開始等)は、速やかに測定機関に連絡して対応を依頼してください。

作業環境測定の結果が第3管理区分になった場合は、迅速な対応が求められます。測定→改善→再測定のサイクルを速やかに回してください。

まとめ

  • 作業環境測定は有害業務のある事業場で定期実施義務(多くは6か月以内ごとに1回)
  • 測定結果は3つの管理区分で評価。第3管理区分では直ちに改善が必要
  • 令和4〜5年改正で第3管理区分への対応が強化(保護具着用管理責任者の選任等)
  • 衛生管理者は測定スケジュール管理・結果確認・改善調整を担う

出典:労働安全衛生法第65条・第65条の2・第65条の3

最新の試験日程・受験申請・公表試験問題は、公益財団法人 安全衛生技術試験協会(www.exam.or.jp)の公式サイトでご確認ください。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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