移動式クレーン カウンタウェイトの役割と試験ポイント

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移動式クレーンのカウンタウェイト(対重)は転倒防止に欠かせない重要な装置です。試験では「カウンタウェイトを増やすと定格荷重はどうなるか」のような問いが出されます。役割・種類・試験ポイントを整理します。

カウンタウェイトとは

カウンタウェイト(Counter Weight)とは、クレーン後部(ジブと反対側)に搭載する重りのことです。ジブで吊り荷を持ち上げると、ジブ側への転倒モーメントが発生します。カウンタウェイトはその逆方向(後方)に安定モーメントをかけることで、クレーンの転倒を防ぎます。

カウンタウェイトの主な役割:

  • 吊り荷による転倒モーメントを相殺し、安定性を確保する
  • 旋回時のバランスを調整する

重量と取り付け方法

カウンタウェイトの重量はクレーンの機種・定格荷重によって大きく異なり、小型クレーンでは数百kg、大型クレーンでは数十tに達することもあります。大型クレーンでは分割して輸送し、現場で組み立てて取り付ける方式(着脱式)が一般的です。

機種の規模 カウンタウェイト重量の目安 取り付け方式
小型(〜25 t吊り) 数百kg〜数t 固定式・一体型
中大型(50〜200 t吊り) 数t〜数十t 着脱式(分割輸送)

定格荷重との関係

カウンタウェイトを増やすと安定モーメントが増大し安定性が向上しますが、定格荷重そのものは変化しません。定格荷重は機種固有の構造強度と荷重特性曲線に基づいており、カウンタウェイト重量の増減によって直接変わるものではないためです。

試験の正解:「カウンタウェイトを増やしても定格荷重は変わらない」

変更届の義務

クレーン等安全規則第62条では、移動式クレーンの主要構造部分を変更する場合は所轄都道府県労働局長に変更届を提出することが定められています。カウンタウェイトの変更はこの対象に該当するため、メーカー指定外のカウンタウェイトへの変更には届出が必要です。

また、カウンタウェイトを取り外したまま作業を行うことは安全規則に違反します。

試験頻出ポイント

  • 「カウンタウェイトの役割は何か」:転倒モーメントを相殺し安定性を確保するため
  • 「カウンタウェイトを増やすと定格荷重はどうなるか」:変わらない
  • 「カウンタウェイトを増やすと安定度はどうなるか」:向上する(安定モーメントが増大するため)
  • 「カウンタウェイトの変更に必要な手続きは」:変更届の提出(クレーン則第62条)

出典:クレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)第62条・第65条・安全衛生技術試験協会 公表試験問題

カウンタウェイトの取り付けと点検

着脱式カウンタウェイトを現場で取り付ける際は、ピンや締結ボルトを確実に固定し、ガタつきがないことを確認します。取り付けが不完全なままクレーンを運転すると、旋回時の慣性力でカウンタウェイトが脱落する危険があります。

定期自主検査では、カウンタウェイトの取り付け状態・固定ピンの摩耗・亀裂などを確認することが求められます。

カウンタウェイトと安定モーメントの計算

カウンタウェイトが安定モーメントに貢献する量は、カウンタウェイトの重量と旋回中心からの距離(腕の長さ)の積で求められます。

カウンタウェイトによる安定モーメント = カウンタウェイト重量(t)× 腕の長さ(m)

例えばカウンタウェイト5 tで腕の長さ3 mなら、安定モーメントへの貢献は15 t・mとなります。実際のクレーンではこれに車体自重による安定モーメントが加わります。

メーカー指定外のカウンタウェイト使用の禁止

クレーンの定格総荷重はメーカーが実施した構造計算と試験に基づいて決定されています。メーカー指定外の重量・形状のカウンタウェイトを使用すると、設計外の応力がクレーン本体にかかり、構造破壊の原因となる可能性があります。

また、カウンタウェイトの変更はクレーン等安全規則第62条に基づく変更届の対象となります。変更を行う場合は所轄の都道府県労働局長に事前に届け出ることが必要です。

試験で問われる知識の整理

カウンタウェイトに関する試験問題では、次のような知識が求められます。

問い 正解
カウンタウェイトの目的は何か 転倒モーメントを相殺して安定性を確保するため
カウンタウェイトを増やすと安定度はどうなるか 向上する(安定モーメントが増大)
カウンタウェイトを増やすと定格荷重はどうなるか 変わらない(定格荷重は構造・荷重特性曲線で決まる)
カウンタウェイト変更に必要な手続きは何か 変更届の提出(クレーン則第62条)
カウンタウェイトを取り外したまま作業できるか 禁止(安全規則違反)

出典:クレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)第62条・第65条・安全衛生技術試験協会 公表試験問題

カウンタウェイトの点検義務

クレーン等安全規則では移動式クレーンの定期自主検査が義務付けられています。カウンタウェイトの取り付け状態・ボルト・ピンの緩みや損傷も点検対象です。月次(月1回)・年次(年1回)の検査記録は3年間保存することが必要です。

日常点検でも作業前にカウンタウェイトの取り付け状況を目視確認する習慣が重要です。特に着脱式のカウンタウェイトは、前日の作業後に取り外した場合に再取り付けを忘れるリスクがあります。

出典:クレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)第62条・第76条・第79条・安全衛生技術試験協会 公表試験問題

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

ご質問はメールで。電話・面談はしていません。

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