スターデルタ起動の仕組み:始動電流・始動トルクが直入れの1/3になる理由

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移動式クレーンの電動機(モーター)の制御には、直入れ(全電圧)起動・スターデルタ起動・インバータ制御など複数の方式があります。試験では「スターデルタ起動で始動電流はどう変わるか」「直入れ起動との違い」が問われます。

直入れ(全電圧)起動

直入れ起動は電動機に定格電圧をそのまま加えて起動する方式です。構造がシンプルですが、起動時に定格電流の5〜7倍の大きな始動電流が流れるため、電源設備への負荷が大きくなります。容量の小さい電動機か、電源容量に余裕がある場合に使われます。

スターデルタ起動の仕組み

スターデルタ(Y-Δ)起動は、起動時はスター(Y)結線で巻き線に加わる電圧を1/√3(約58%)に下げ、加速後にデルタ(Δ)結線に切り換えて全電圧を加える方式です。

スター結線では各巻き線にかかる電圧が定格の1/√3になるため:

項目 直入れ起動との比較
始動電流 直入れの1/3に低減
始動トルク 直入れの1/3に低減

始動電流と始動トルクがともに1/3になる点が重要です。始動トルクも小さくなるため、重い荷を積んだ状態での起動には向かない場合があります。

スターデルタ起動の用途

スターデルタ起動は電源容量に制限がある環境や、大容量の三相誘導電動機を使う場合に多く採用されます。クレーンでは補助的な電動機(油圧ポンプモーター等)で使われることがあります。

リアクトル(コンドル)起動との違い

リアクトル起動は起動時にリアクトル(誘導コイル)を直列に挿入して電流を制限する方式です。スターデルタ起動と異なり、結線の切り換えがなく連続的な起動が可能です。ただし構造はスターデルタより複雑になります。

各起動方式の特徴まとめ

起動方式 始動電流 始動トルク 特徴
直入れ起動 定格の5〜7倍 大きい 構造シンプル・電源負荷大
スターデルタ起動 直入れの1/3 直入れの1/3 電源負荷小・始動トルクも小
インバータ制御 定格程度に制御可能 任意に制御可能 無段階速度制御・省エネ

試験でよく問われるポイントまとめ

  • スターデルタ起動:始動電流・始動トルクともに直入れの1/3
  • スター(Y)結線では各巻き線の電圧が1/√3(約58%)に低下する
  • 始動トルクが小さいため重負荷時の起動には向かない
  • 直入れ起動の始動電流は定格電流の5〜7倍

スターデルタ起動の動作手順

  1. スター(星形)接続で起動:電動機コイルを星形に接続。各コイルにかかる電圧が線間電圧の1/√3になるため、起動電流・起動トルクが1/3に抑えられる
  2. 速度が上がったらデルタ(三角)に切り替え:切り替えのタイミングはタイマー等で制御される
  3. デルタ(三角)接続で定常運転:各コイルに線間電圧がフルにかかり、定格トルクで運転する

スターデルタ起動の利点と欠点

項目 内容
利点 起動電流をじか入れの1/3に抑えられる。電源設備への影響が小さい
欠点 起動トルクも1/3になるため、重い負荷がかかった状態では起動できない場合がある
欠点 スター→デルタの切り替え瞬間に電流が瞬間的に大きくなる(突入電流)

インバータ起動との比較

スターデルタ起動は「スター(低電圧)→デルタ(定格電圧)」という2段階切り替えです。インバータ起動は「周波数を徐々に上げる」連続的な制御です。現代のクレーンではインバータ制御が増えてきており、スターデルタより緩やかな起動が可能です。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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