移動式クレーン試験の三相誘導電動機:同期速度の計算とスターデルタ起動

移動式クレーン運転士の過去問・AI問題演習はこちら
公表問題2回分80問が無料。AI生成問題(¥980・買い切り)で初見問題に慣れておくと安心です。
→ 移動式クレーン運転士 過去問・AI問題演習を使う

移動式クレーン運転士の試験科目「原動機及び電気に関する知識」では、三相誘導電動機の構造・動作原理・同期速度の計算が出題されます。電気の専門知識に馴染みがない方にとっては難しく感じる部分ですが、出題パターンは決まっており、公式と仕組みを理解すれば確実に得点できます。

三相誘導電動機とはどんなモータか

三相誘導電動機は、工場や建設現場で最もよく使われる電動機(モータ)の一種です。クレーンの巻上装置・旋回装置などにも使用されています。「三相」は電源の種類(三相交流)を、「誘導」は磁気誘導によって回転するしくみを指します。

構造:固定子と回転子

三相誘導電動機の構造は大きく「固定子(ステータ)」と「回転子(ロータ)」の2つに分けられます。

部位名 役割
固定子(ステータ) 三相交流電流が流れるコイルを持つ外側の固定部分。回転磁界を作る
回転子(ロータ) 固定子の作った回転磁界に誘導されて回転する内側の部分

固定子に三相交流を流すと「回転磁界」が発生します。この回転磁界が回転子に電流(誘導電流)を発生させ、その電流と磁界の相互作用によって回転子が回転します。これが「誘導」電動機という名前の由来です。

同期速度の計算式

三相誘導電動機の回転磁界の速度を「同期速度(Ns)」といいます。同期速度は以下の公式で求めます。

Ns(rpm)= 120 × f ÷ P

記号 意味
Ns 同期速度(rpm:1分間あたりの回転数)
f 電源の周波数(Hz):日本では50Hzまたは60Hz
P 電動機の極数(2・4・6・8等の偶数)

例:f = 50Hz、P = 4極の場合 → Ns = 120 × 50 ÷ 4 = 1500 rpm

例:f = 60Hz、P = 4極の場合 → Ns = 120 × 60 ÷ 4 = 1800 rpm

公表問題ではこの計算式に数値を代入して同期速度を求める問題が出題されています。公式を確実に覚えておくことが必要です。

すべり(スリップ)とは何か

三相誘導電動機では、回転子の実際の回転速度は同期速度より少し遅くなります。この差を「すべり(スリップ)」と呼びます。

すべりが発生する理由:回転子が同期速度と同じ速さで回ってしまうと、固定子の回転磁界と回転子の相対的な運動がなくなり、誘導電流が発生しなくなります。誘導電流がなくなるとトルク(回転力)が発生しないため、回転子は同期速度より少し遅く回り続けます。

スターデルタ起動とインバータ制御

三相誘導電動機を起動する際、直接電源を入れると(直入れ起動)大きな始動電流が流れます。これを抑えるための方法が「スターデルタ起動」や「インバータ制御」です。

起動方法 特徴
直入れ起動 始動電流が定格電流の5〜7倍になる。小型電動機向き
スターデルタ起動 始動時にスター結線(Y結線)で起動し、加速後にデルタ結線(△結線)に切り替える。始動電流・始動トルクともに直入れの1/3になる
インバータ制御 電源の周波数を変えることで回転速度を無段階に調整できる。始動電流を抑えながら滑らかに加速できる

「スターデルタ起動の始動電流は直入れの1/3」は試験で頻出の数値です。始動トルクも1/3になる点もセットで覚えてください。

電磁ブレーキの仕組み

クレーンの巻上装置には電磁ブレーキが使われています。「無励磁作動型(スプリングセット型)」が安全上の基本です。

無励磁作動型の動作原理:電源が入っている(励磁状態)→スプリングがブレーキを解放して回転を許す。電源が切れる(無励磁状態)→スプリングがブレーキをかける。

「停電時にブレーキがかかる(荷が落ちない)」という設計になっているため、万一の電源喪失時の安全性が確保されます。試験では「無励磁作動型は電気が切れるとブレーキがかかる」という特性が問われます。

試験でよく問われるポイントまとめ

  • 同期速度の公式:Ns = 120f ÷ P(f:周波数、P:極数)
  • 固定子(回転磁界を作る)と回転子(誘導で回転する)の2要素
  • スターデルタ起動:始動電流・始動トルクともに直入れの1/3
  • インバータ制御:周波数を変えて速度を無段階調整
  • 無励磁作動型電磁ブレーキ:電気が切れるとブレーキがかかる

試験頻出の電気計算問題

三相誘導電動機以外にも、移動式クレーン試験の電気問題では以下の計算が出題されます。

オームの法則:V(電圧)= I(電流)× R(抵抗)

例:12Vの電源に4Ωの抵抗をつないだ場合の電流 = 12 ÷ 4 = 3A

電力の計算:P(電力)= V × I(単相交流の場合)

三相交流の場合:P = √3 × V(線間電圧)× I × cosφ(力率)

直列・並列回路の合成抵抗

接続方法 合成抵抗の式
直列接続 R合成 = R1 + R2 + R3…(足し算)
並列接続(2つの場合) R合成 = (R1 × R2) ÷ (R1 + R2)

インバータ制御の特徴

インバータ(周波数変換器)を使った制御では、電源の周波数を変えることで三相誘導電動機の同期速度を自在に変えられます。

Ns = 120f ÷ P の式から、fを変えるとNsが比例して変わります。

周波数を下げる → 同期速度が下がる → モータが遅くなる

周波数を上げる → 同期速度が上がる → モータが速くなる

インバータ制御はスターデルタ起動より始動電流を抑えやすく、速度を無段階で調整できるため、現代の移動式クレーンに広く採用されています。

移動式クレーン運転士の過去問・AI問題演習はこちら
公表問題2回分80問が無料。AI生成問題(¥980・買い切り)で初見問題に慣れておくと安心です。
→ 移動式クレーン運転士 過去問・AI問題演習を使う
この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

ご質問はメールで。電話・面談はしていません。

fufumumu_designをフォローする
Uncategorized
fufumumu_designをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました