マネジメント系は19問(令和8年度IPA)で、3分野の中では出題数が最も少ない分野です。合格基準の300点以上を達成するには、19問中6問程度の正解が目安になります。プロジェクトマネジメントとサービスマネジメントの2つの柱を中心に対策すると効率よく得点できます。この記事では分野別の攻略ポイントと優先して覚える用語を整理します。
マネジメント系の出題数と合格基準
ITパスポートは「テクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系」の3分野から出題されます(IPA公式)。令和8年度の出題数は次のとおりです。
| 分野 | 出題数 | 全体に占める割合 |
|---|---|---|
| テクノロジ系 | 46問 | 46% |
| ストラテジ系 | 35問 | 35% |
| マネジメント系 | 19問 | 19% |
合格基準は「総合評価点600点以上、かつ分野別各300点以上(1,000点満点)」です(IPA公式)。マネジメント系は19問と最も出題数が少ないため、1問あたりの重みが相対的に大きくなります。正解数が少なくても300点を下回ると足切りになるため、捨て分野にはできません。
マネジメント系の300点到達の目安として、19問中おおむね6問以上の正解が必要です。テクノロジ系やストラテジ系で得点が見込める場合でも、マネジメント系の足切りに引っかかると不合格になります。
ITパスポート全体の合格率は令和7年度48.6%・令和8年度4〜8月49.3%です(IPA統計情報)。詳しい難易度の全体像はITパスポートの難易度でまとめています。
マネジメント系の4分野の構成
マネジメント系はIPAシラバスVer.6.5で次の4つの分野に分かれています。
| 分野 | 主な内容 | IT未経験者の難易度 |
|---|---|---|
| プロジェクトマネジメント | WBS・スコープ・コスト・リスク・スケジュール管理 | やや難(計算問題あり) |
| サービスマネジメント | SLA・インシデント管理・変更管理・ITILの概念 | 中程度(用語の暗記が中心) |
| システム開発技術 | 開発プロセス・ウォーターフォール・アジャイル・テスト手法 | 中程度(手法の違いを整理する) |
| システム監査 | システム監査・内部統制・ITガバナンス | やや易(概念の暗記) |
4分野の中で出題数が多いのはプロジェクトマネジメントとサービスマネジメントです。この2つを先に固めると効率よく得点できます。
プロジェクトマネジメントの攻略ポイント
プロジェクトマネジメントはマネジメント系の中で最も出題数が多い分野です。「WBS・クリティカルパス・ファンクションポイント法」など計算や図解が絡む問題が出やすく、IT未経験者がつまずきやすい部分でもあります。
WBSとスコープ管理
WBS(Work Breakdown Structure)は、プロジェクトの作業を階層的に分解した図です。「どの作業が含まれるか・含まれないか」を明確にすることがスコープ管理の目的です。試験では「WBSの目的は何か」「スコープクリープとは何か」という問われ方をします。
- WBS:プロジェクトの作業を細分化して一覧にしたもの。最小単位をワークパッケージという
- スコープ:プロジェクトで行う作業の範囲。スコープクリープは承認なく作業範囲が広がること
- スコープ管理:変更を正式な手続き(変更管理)を通じてのみ認めること
スケジュール管理(ガントチャート・クリティカルパス)
スケジュール管理の問題では「ガントチャート」と「クリティカルパス」がよく出ます。
| 手法 | 説明 | 試験での出題ポイント |
|---|---|---|
| ガントチャート | 作業の開始・終了をバーで表示した横棒グラフ | 進捗状況の把握・担当者の割り当てに使う |
| アローダイアグラム(PERT図) | 作業の順序と依存関係を矢印で表した図 | 最早開始日・最遅開始日・クリティカルパスを求める |
| クリティカルパス | プロジェクト全体の最長経路。遅延が直接完成の遅れにつながる | どの作業を遅らせると完成が遅れるかを判断する |
クリティカルパスの計算問題は、アローダイアグラムを読んで最長経路を求めます。試験では単純な3〜5ノードの図で出題されることが多く、パターンを練習しておくと対応できます。
コスト管理(ファンクションポイント法)
コスト見積もりの手法として「ファンクションポイント法」が出題されます。ソフトウェアの機能数を数えてコストを見積もる方法で、「行数で見積もるのがLOC法、機能数で見積もるのがファンクションポイント法」という区別を押さえます。
サービスマネジメントの攻略ポイント
サービスマネジメントはITIL(IT Infrastructure Library)の概念を中心に出題されます。ITサービスの提供と運用管理に関する用語を整理します。
SLAとサービスレベル管理
SLA(Service Level Agreement:サービスレベル合意書)は、ITサービスの品質水準をサービス提供者と利用者の間で合意した文書です。「稼働率99.9%」「問い合わせ対応時間は平日9〜18時」のような数値で記載されます。
- SLM(サービスレベル管理):SLAで合意した内容を達成するための管理活動
- SLA:合意書そのもの。達成できない場合のペナルティ条項を含むこともある
- SLO(サービスレベル目標):SLA内で設定する個別の目標値
インシデント管理と問題管理の違い
試験でよく問われる「インシデント管理と問題管理の違い」を整理します。
| 管理の種類 | 目的 | 対応の対象 |
|---|---|---|
| インシデント管理 | サービスを早急に回復させる(原因追究より復旧優先) | 発生した障害や問い合わせ |
| 問題管理 | インシデントの根本原因を特定して再発を防ぐ | インシデントの根本原因 |
| 変更管理 | システム変更を正式な手続きで審査・承認してリスクを下げる | 変更要求(RFC) |
| 構成管理 | IT機器・ソフトウェアの構成情報を記録・管理する | CI(構成アイテム) |
「インシデント管理は回復・問題管理は原因究明」という役割の違いが問われます。インシデント管理では根本原因の特定まで求めないことがポイントです。
ファシリティマネジメント
ITシステムを動かす設備(サーバー室・電源・空調)の管理もサービスマネジメントの範囲です。「無停電電源装置(UPS)」「フロアーベア(二重床)」「耐震・防火・温湿度管理」などがキーワードになります。
システム開発技術の攻略ポイント
システム開発技術では、開発プロセスのモデル(ウォーターフォール・アジャイル・スパイラル・プロトタイプ)とテスト手法の区別が中心です。
開発プロセスのモデル
| モデル | 特徴 | メリット・デメリット |
|---|---|---|
| ウォーターフォールモデル | 要件定義→設計→実装→テストを順番に進める | 計画が立てやすい・手戻りが発生するとコストが大きい |
| アジャイル開発 | 短いイテレーション(スプリント)を繰り返しながら開発する | 変更への対応がしやすい・大規模プロジェクトには向かない |
| スパイラルモデル | 設計・試作・評価を繰り返しながら段階的に完成させる | リスクを早期に発見しやすい |
| プロトタイプモデル | 試作品(プロトタイプ)を作って確認しながら要件を固める | ユーザーの要件を確認しやすい・試作の費用がかかる |
テスト手法の種類
「ブラックボックステスト・ホワイトボックステスト・単体テスト・統合テスト」の区別が問われます。
- ブラックボックステスト:内部の構造を見ずに、入力と出力だけで動作を確認する
- ホワイトボックステスト:内部のプログラム構造(コード)を見ながらテストする
- 単体テスト:モジュール(部品)を単独でテストする
- 統合テスト(結合テスト):複数のモジュールを組み合わせてインターフェースをテストする
- システムテスト:システム全体として要件を満たすかを確認する
システム監査の攻略ポイント
システム監査は4分野の中でITの技術的な知識が問われる割合が低く、概念の理解が中心です。
システム監査と内部統制
- システム監査:情報システムが信頼性・安全性・効率性の観点で適切に運用されているかを第三者(監査人)が点検すること
- 内部統制:組織が業務を適切に運営するための仕組み。財務報告の信頼性・業務の有効性・法令遵守・資産の保全の4目的
- ITガバナンス:経営者がIT戦略を統制・管理する仕組み
「システム監査人は被監査部門から独立していなければならない」という独立性の原則は頻出ポイントです。
IT未経験者がつまずきやすいポイント
マネジメント系でつまずきやすいポイントを整理します。
| つまずきポイント | 対策 |
|---|---|
| インシデント管理と問題管理の混同 | 「インシデント=回復優先・問題=原因究明」という役割の違いを表で整理する |
| クリティカルパスの計算 | アローダイアグラムの図を見て最長経路を足し合わせる練習を3〜5問こなす |
| 開発モデルの名称と特徴の混同 | ウォーターフォール(順次)・アジャイル(反復)・スパイラル(繰り返し評価)を図で記憶する |
| SLAとSLMの区別 | SLA=書類・SLM=管理活動、という役割の違いを覚える |
| ブラックボックス・ホワイトボックスの区別 | 「内部を見る(ホワイト)・見ない(ブラック)」という一語で覚える |
マネジメント系の勉強の優先順位
マネジメント系は19問と出題数が少ないため、全分野を深掘りするより「頻出テーマから確実に取る」戦略が有効です。
- 最優先:プロジェクトマネジメント(WBS・クリティカルパス・ガントチャート)とサービスマネジメント(インシデント管理・問題管理・SLA)
- 次優先:システム開発技術(開発モデルの違い・テスト手法の種類)
- 余裕があれば:システム監査(概念を押さえる程度でよい)
マネジメント系のみで学習時間を多くかけるのではなく、出題数が多いテクノロジ系(46問)と並行して対策するのが効率的です。テクノロジ系の対策はテクノロジ系攻略法で、ストラテジ系の対策はストラテジ系攻略法でまとめています。
よくある疑問
マネジメント系の300点は何問正解が目安ですか。
19問中おおむね6問程度の正解が足切りの目安になります。ただしIRTによるスコア換算があるため、正解数と得点は一対一では対応しません。7〜8問の正解を目指すと安定します。
クリティカルパスの計算は必ず出ますか。
IPAの公開問題では毎年度クリティカルパスや作業日数に関する計算問題が出題されています(IPA公開問題参照)。公開問題を2〜3年分解いてパターンに慣れておくと対応しやすくなります。
アジャイルとウォーターフォールの違いはどう覚えればよいですか。
「ウォーターフォール=一方通行の流れ(計画→設計→実装→テスト)・アジャイル=繰り返しの開発(短い周期で動くものを作って改善)」という対比で覚えるのが分かりやすいです。変更への対応がしやすいのはアジャイル、計画が固めやすいのはウォーターフォールです。
ITILとは何ですか。
ITIL(IT Infrastructure Library)はITサービス管理のベストプラクティスをまとめた手引きです。試験で「ITILの考え方に基づく」と記述される選択肢が出るため、「ITサービスの運用管理の標準的な考え方」という理解で十分です。具体的な定義より「何のためのフレームワークか」を押さえます。
まとめ
ITパスポートのマネジメント系(19問)は、3分野の中で出題数が最も少ない分野です。足切りの回避が主目標であり、全分野の深掘りより頻出テーマを確実に取る対策が有効です。
- 出題数19問・足切りは各分野300点以上(IPA公式)
- 最優先はプロジェクトマネジメント(WBS・クリティカルパス)とサービスマネジメント(インシデント管理・SLA)
- クリティカルパスの計算は公開問題で3〜5問練習する
- インシデント管理(回復優先)と問題管理(原因究明)の役割の違いを整理する
- 開発モデルはウォーターフォール・アジャイル・スパイラル・プロトタイプの特徴を表で比較する
試験全体の対策の進め方はITパスポート試験の全体ガイドでまとめています。


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