短期入所の国保連請求。サービス提供月から2か月後に入金される仕組み。
短期入所の収支を試算できます。
▶ 短期入所 開業収支シミュレーター
短期入所の介護給付費は、事業者が国保連(国民健康保険団体連合会)に請求し、サービス提供月から2か月後(翌々月)に入金されます。この2か月のタイムラグは資金繰りに直接影響し、開業直後の2か月間は介護給付費の収入がゼロのまま人件費・家賃などの支出が発生します。この記事では、国保連請求の仕組みと、開業時に必要な準備を整理します。
介護給付費の支払いの根拠(障害者総合支援法第29条)
障害者総合支援法第29条は、指定障害福祉サービスの費用(介護給付費)の支払い方法を定めています。制度の仕組みは次のとおりです。
- 障害者が指定事業者からサービスを受けたとき、費用は原則として市町村が事業者に支払う
- 実務上は、市町村が国保連に審査支払業務を委託しており、事業者は国保連に請求書類を提出する
- 利用者は費用の1割(所得に応じた上限あり)を事業者に直接支払う
- 事業者は9割分を国保連経由で受け取り、残り1割を利用者から直接受け取る
請求から入金までの流れ
月次の請求スケジュール
国保連請求の月次スケジュールを例で整理します。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| サービス提供月(例:4月) | 短期入所のサービスを提供する。利用者から1割分の利用者負担を受け取る |
| 翌月(5月)1〜10日 | 4月分のサービス提供実績をまとめ、国保連に請求書類を電子請求システムで提出する |
| 翌月(5月)中旬〜下旬 | 国保連が請求内容を審査する(エラーがある場合は返戻・修正が必要) |
| 翌々月(6月)10日前後 | 国保連から事業者の口座に介護給付費の9割分が振り込まれる |
上記の例では、4月のサービス提供分の入金が6月になります。提供月から入金まで約2か月のタイムラグが生じます。
利用者負担(1割)の受け取りタイミング
利用者負担(1割)は、国保連への請求とは別に、利用者・家族から直接受け取ります。受け取りのタイミングはサービス提供後(月ごと・退所時等)に事業者が設定します。重要事項説明書で「利用者負担の支払い方法」を明記し、口座振替・現金払いのいずれかを利用者と取り決めておきます。
電子請求に必要な準備
国保連への請求は、電子請求受付システムを使って行います。開業前に次の準備が必要です。
事業所番号の取得
指定通知書(指定権者から交付)に記載される事業所番号が必要です。国保連への請求には事業所番号が必要なため、指定通知書を受け取るまでは請求業務を行えません。開業に向けた準備として、指定申請と並行して国保連の登録手続きの流れを確認しておきます。
国保連の電子請求受付システムへの登録
都道府県の国保連(国民健康保険団体連合会)に事業所の登録を行い、電子請求に使用するシステムのアカウントを取得します。登録の手続きや書類は各都道府県の国保連によって異なります。指定権者への申請後、早めに国保連への登録手続きも開始することを推奨します。
請求ソフトの準備
請求書類の作成には、障害福祉サービスの請求に対応したソフトウェアが必要です。主に次の2つの方法があります。
- 国保連が提供する無償ソフト:都道府県の国保連が提供する場合がある。利用には申請が必要
- 市販の請求管理ソフト:利用者台帳・個別支援計画と連動して管理できる機能を持つ有償ソフト(年間数万〜数十万円程度)
事業所の規模・利用者数に応じて選択してください。月次の請求業務に加え、利用者ごとのサービス提供記録の管理も一元化できるソフトが運営効率の向上につながります。
開業初期の資金繰りへの影響
国保連への請求から入金まで2か月かかるため、開業直後の資金繰りには特に注意が必要です。
最初の入金が来るまでのスケジュール
仮に開業月を「1月」とした場合のスケジュールは次のとおりです。
| 月 | 収支の状況 |
|---|---|
| 1月(開業月) | 人件費・家賃等の支出が発生。介護給付費の収入はゼロ(まだ請求していない) |
| 2月 | 1月分を国保連に請求。介護給付費の入金はまだない。2月分の支出も発生 |
| 3月 | 1月分の介護給付費(9割)が国保連から入金。2月分も請求済み |
| 4月以降 | 毎月1か月遅れで入金が続く(安定的なキャッシュフローへ) |
開業1月目・2月目は介護給付費の入金がなく、固定費のみが出ていきます。この期間を乗り切るための運転資金として、最低でも2〜3か月分の固定費相当額を開業前に確保しておくことが重要です。
返戻(へんれい)への対応
国保連は請求書類を審査し、内容にエラーがある場合は請求書類を事業者に差し戻します(返戻)。返戻された場合は内容を修正して再請求しますが、再請求の入金は翌々月になります。返戻が発生すると入金が1か月遅れることになります。
返戻の主な原因は次のとおりです。
- 利用者の受給者証番号・支給量の入力誤り
- サービスコードの誤り(種類・加算の選択ミス)
- 提供日数・延べ利用人数の集計誤り
- 上限管理に関する記載の不備
請求前にサービス提供記録と照合し、入力ミスがないか確認する習慣をつけることで返戻を減らせます。
請求業務の年間スケジュール
請求業務は毎月繰り返しますが、年間を通じて次のタイミングにも注意が必要です。
- 年度切り替え(3月末〜4月):利用者の受給者証・支給量の更新が集中する時期。更新後の情報を速やかに請求ソフトに反映する
- 報酬改定(3年ごとの4月):サービスコード・単位数が変わる場合がある。改定前に請求ソフトの更新・確認が必要
- 処遇改善加算の申請(4月):翌年度の処遇改善加算の算定要件・計画書を3月末までに指定権者に提出する
短期入所の収支を試算できます。
▶ 短期入所 開業収支シミュレーター
あわせて読みたい
出典:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)第29条・第30条。当ページは法令の解説を目的としており、法的助言ではありません。最新の内容は指定権者(都道府県・市町村)または都道府県国保連にご確認ください。作成:2026年11月。


コメント