短期入所の開業スケジュール。指定申請から利用開始まで何ヶ月かかるか。
短期入所の収支を試算できます。
▶ 短期入所 開業収支シミュレーター
短期入所(指定障害福祉サービス)の開業には、法人設立から指定申請・審査・指定通知を経て利用開始まで、最短でも12〜18か月程度かかるのが一般的です。特に法人格の取得・物件の確保・設備工事・人員確保はそれぞれ数か月を要し、同時並行で進める必要があります。この記事では、月次のスケジュールと各段階での主な作業を整理します。
開業までの全体スケジュール(目安)
| 時期(開業を0か月とした逆算) | 主な作業 |
|---|---|
| 開業18〜12か月前 | 事業計画の策定・法人形態の選定・法人設立手続き |
| 開業12〜8か月前 | 物件探し・指定権者への事前相談・設備設計・資金調達の申し込み |
| 開業8〜5か月前 | 物件契約・内装工事・設備設置・人員の採用活動開始 |
| 開業5〜3か月前 | 人員の採用・雇用契約・研修・指定申請書類の作成・運営規程の策定 |
| 開業3か月前(申請月) | 指定申請書類の提出 |
| 申請後〜開業1か月前(審査期間) | 審査対応(指定権者からの補正依頼への対応)・国保連請求の準備 |
| 開業月(指定月) | 指定通知の受領・事業所番号の取得・利用開始 |
上記はあくまで目安です。指定権者(都道府県・政令市・中核市)によって申請の受け付け時期・審査期間・申請書類の内容が異なります。準備を始める前に必ず指定権者の窓口に問い合わせてスケジュールを確認してください。
フェーズ1:法人設立(開業18〜12か月前)
障害福祉サービス事業の指定を受けるには、法人格が必要です(個人事業者は指定を受けられません)。法人形態の主な選択肢は次のとおりです。
- 社会福祉法人:設立には一定の財産基準・社員要件があり、設立認可には1年以上かかる場合がある。非課税メリットがある
- NPO法人:設立申請から認証まで都道府県で4〜6か月程度。設立費用は低い
- 株式会社・合同会社(LLC):設立手続きは1〜2か月で完了する。最も早く設立できる形態
短期入所を開業する法人の多くは株式会社・合同会社・NPO法人です。法人形態の選び方については別記事で解説しています。
法人設立と同時に、日本政策金融公庫への創業融資申し込みを行うことを推奨します。開業資金の確保が遅れると後続の物件探し・設備投資が停滞するため、法人設立後すぐに融資申込の準備を始めてください。
フェーズ2:物件の確保と設備工事(開業12〜5か月前)
物件の選定条件
短期入所の物件は省令171号 第117条の設備基準を満たす必要があります。単独型の場合、居室は次の基準を満たす必要があります。
- 1室4人以下
- 地階に設けない
- 利用者1人当たりの床面積は8m²以上
- 寝台またはこれに代わる設備(ベッドなど)
- ブザーまたはこれに代わる設備(ナースコールなど)
- 浴室・洗面所・便所・食堂の設置義務
定員10名(4人室2室・2人室1室など)の場合、居室面積は最低80m²以上が必要です。これに廊下・浴室・食堂・事務室などの共用部分を加えると、建物全体で150〜200m²程度の広さが一般的です。
指定権者への事前相談
物件を確定する前に、指定権者(都道府県・政令市・中核市)に事前相談を行うことを強く推奨します。建物の図面・平面図を持参して「この物件・設計で指定申請が通るか」を確認しておくことで、後から設計変更・工事追加になるリスクを減らせます。
内装工事のスケジュール
内装工事は物件の状態によって2〜4か月かかることがあります。工事期間中に申請書類の作成・人員採用を並行して進めることで、全体の開業スケジュールを短縮できます。
フェーズ3:人員の確保(開業5〜3か月前)
採用すべき職種と配置の根拠
省令171号 第115条第3項に基づき、単独型(第3号)の場合は次の配置が必要です。
- 利用者6人以下:生活支援員等を1人以上配置
- 利用者7人以上:6人を超えた6またはその端数ごとに+1人
- 管理者(第116条により第51条準用:専ら従事・管理上支障なければ兼務可)
- サービス管理責任者(省令で基準が定められている)
開業前から採用活動を始め、指定申請の時点で配置予定の職員が確定していることが必要です(実際に雇用していること、または雇用内定)。
看護師等の配置で常勤看護職員等配置加算を算定できる
常勤換算1以上の看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士を配置すると、常勤看護職員等配置加算を算定できます(定員10名の場合:8単位)。開業時から看護師等を採用するかどうかを事業計画の段階で検討しておきましょう。
フェーズ4:指定申請(開業3か月前)
指定申請の受け付けは指定権者によって「毎月受け付け」「年2〜4回受け付け」など異なります。申請期限を逃すと開業が1〜3か月遅れることがあるため、早めに申請受け付けのスケジュールを確認してください。
指定申請に必要な主な書類
- 指定申請書
- 付表(人員・設備の概要)
- 事業所の平面図
- 運営規程(省令171号 第123条の10項目を満たすもの)
- 従業者の一覧・資格証の写し・雇用に関する書類
- 法人の定款・登記事項証明書
- 建物の賃貸借契約書の写し(自己所有の場合は登記事項証明書)
- 損害賠償保険の加入証明書
書類の作成は指定権者が用意する様式を使います。詳細な書類一覧は指定権者の窓口またはウェブサイトで確認してください。
フェーズ5:審査期間(申請後〜開業1か月前)
指定申請書類が受け付けられてから指定通知が届くまでの審査期間は、一般的に1〜2か月です。指定権者によっては書類の補正(不備の訂正)が求められることがあるため、補正依頼には速やかに対応してください。
審査期間中には次の準備を進めます。
- 国保連(国民健康保険団体連合会)への障害福祉サービス費の請求に必要な手続き(電子請求の設定・事業所番号の取得)
- 利用者・家族への事業所紹介・説明
- 地域の相談支援事業所への挨拶回り
- 重要事項説明書・サービス利用契約書の準備
フェーズ6:利用開始(開業月)
指定通知が届いた月(または指定日以降)からサービスの提供が可能になります。利用開始と同時に次の対応が必要です。
- 利用者との重要事項説明・サービス利用契約の締結(省令171号 第9条準用)
- 個別支援計画の作成(省令171号 第60条準用)
- 入退所記録の作成(省令171号 第119条)
- サービス提供記録の作成(省令171号 第19条準用)
開業スケジュールで特に注意すべき点
短期入所の開業スケジュールで特に注意が必要な点を挙げます。
- 法人設立→物件契約→工事の順番を崩さない:法人格がないと物件の賃貸借契約・工事発注ができない場合があります
- 指定申請の受け付け期限を確認する:月1回しか受け付けない指定権者もあり、期限を逃すと1か月以上の遅延になります
- 設備基準の確認は事前相談で行う:物件が設備基準を満たさない場合、工事後に申請が却下されるリスクがあります
- 人員確保は工事と並行して進める:良い人材の採用には時間がかかります。工事が終わってから採用を始めると開業が遅れます
資金調達のタイミング
開業資金の融資申し込みは、法人設立後できる限り早く行うことを推奨します。日本政策金融公庫の創業融資は審査から融資実行まで1〜2か月かかります。物件探し・工事の発注前に融資が実行されていれば、資金不足による工事遅延を防げます。
事業計画書には、ツールで試算した収支シミュレーションの結果を活用することで、融資審査に必要な数字の根拠を示しやすくなります。
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出典:指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第115条・第116条・第117条・第123条。当ページは法令の解説を目的としており、法的助言ではありません。指定申請のスケジュール・書類は指定権者(都道府県・市町村)によって異なりますので、必ず事前にご確認ください。作成:2026年11月。


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