小規模多機能型居宅介護の実地指導で何を確認されるか。

小規模多機能型居宅介護の実地指導で何を確認されるか。 介護

小規模多機能型居宅介護の実地指導は、指定権者(市区町村)が定期的または随時に行い、省令(平成18年厚生労働省令第34号)の運営基準・人員基準・設備基準への適合状況を確認します。指摘を受けた場合は改善報告が求められ、重大な違反には勧告・指定取り消しのリスクもあります。実地指導で何を確認されるかを事前に把握しておくことが重要です。

実地指導の目的と根拠

実地指導は介護保険法の規定に基づき、市区町村が指定した地域密着型サービス事業所の運営状況を確認するために実施します。通常の業務改善を促すための「実地指導」と、不正請求等の疑いがある場合の「監査」に区別されますが、実地指導の中で問題が見つかった場合は監査に切り替わることもあります。

実地指導の頻度は市区町村によって異なりますが、おおむね3〜5年に1回程度実施されます。

実地指導で確認される主な項目

実地指導では、以下の区分ごとに書類と現場の状況が確認されます。

実地指導での確認項目(主なもの)
区分 確認される内容
人員基準 管理者・計画作成担当者・介護職員・看護職員の常勤換算人数・資格・勤務実績
設備基準 居間・食堂・宿泊室・浴室・トイレの状況・バリアフリー対応・消防設備
運営規程 定員・費用・緊急時対応の規定内容・変更届の提出状況
サービス計画 計画の作成・更新・同意確認の記録・アセスメントの内容
サービス記録 通い・宿泊・訪問の記録(日付・内容・時間・担当者)の整備状況
請求書類 介護報酬の請求根拠となる記録(加算の算定要件と実績の一致)
処遇改善加算 計画書・実績報告書の提出・配分方法・就業規則への記載
BCP・感染症対策 業務継続計画の作成・訓練・研修の実施記録
虐待防止 委員会の開催記録・研修の実施記録・身体拘束廃止の取り組み
苦情対応 苦情の受付・記録・改善の対応状況

よく指摘される事項

実地指導でよく指摘される事項をあらかじめ把握しておくことで、日常的な運営の中での対応が可能です。

  • サービス記録の不備:訪問支援の記録が日付・時間・内容の記載が不十分・記録が残っていない日がある
  • 加算の算定要件と記録の不一致:認知症加算を算定しているが、日常生活自立度の評価記録が不十分
  • サービス計画の更新漏れ:要介護度が変わったのに計画が更新されていない・同意確認の記録がない
  • 処遇改善加算の計画・実績報告の未提出または遅延:届け出期限を過ぎていた
  • BCP・虐待防止委員会の記録がない:実施したが記録を残していなかった
  • 運営規程と実態の不一致:定員・営業時間が運営規程と異なる・変更届を出していない

実地指導への準備:日常的な記録整備が最大の対策

実地指導への最大の準備は「日常的な記録の整備」です。指導の直前に書類を整えようとすると、記録の日付・内容に不自然な点が出やすく、かえって問題につながります。

日常業務として整備しておくべき書類は以下のとおりです。

日常的に整備しておくべき書類(実地指導に備えて)
書類の種類 保管の目安
通い・宿泊・訪問の記録(日付・時間・内容・担当者) サービス終了後5年間
サービス計画書(アセスメント・計画・同意書) 完結の日から5年間
BCP・訓練・研修の実施記録 実施年度を含め数年分
虐待防止委員会・研修の記録 実施年度を含め数年分
処遇改善加算の計画書・実績報告書 提出年度を含め数年分
苦情受付・対応の記録 完結後5年間
運営規程・変更届の写し 常時確認できる状態で保管

実地指導の流れ

市区町村による実地指導は、一般的に以下の流れで行われます。

  • 事前に市区町村から通知が届く(2週間〜1か月前程度)
  • 指定された日時に市区町村の担当者が事業所を訪問
  • 書類の確認・管理者へのヒアリング・施設の視察(現場確認)
  • 口頭で指導内容の説明
  • 後日「実地指導結果報告書」が届き、改善が求められた事項について改善報告書の提出を求められる

指摘を受けた場合は、指定期日までに改善報告書と改善状況を示す書類(改訂した規程・追加した記録等)を提出します。改善が確認されれば指導が終了します。

加算の不正請求は指導から監査に切り替わるリスク

実地指導で加算の算定要件と実績の間に著しい不一致が発見された場合(例:認知症加算を算定しているが要件を満たしていない)、実地指導から「監査」に切り替わることがあります。監査では指定取り消し・一定期間の報酬返還等の行政処分が行われる場合があります。加算の算定は要件を正確に確認してから届け出を行い、要件を満たせなくなった場合は速やかに取り消しの届け出を行うことが重要です。

小規模多機能型居宅介護の収支計画の試算は、小規模多機能型居宅介護 収支シミュレーターで確認できます。

参考・出典

  • 介護保険法(平成9年法律第123号)第78条の12(報告等)
  • 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)
  • 地域密着型サービス事業の実地指導マニュアル(厚生労働省・各年度版)

この記事は2026年11月時点の法令・通知に基づいています。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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