就労定着支援の令和6年報酬改定。何が変わったか。

就労定着支援の令和6年報酬改定。何が変わったか。 福祉事業の開業と運営

令和6年4月に障害福祉サービス等の報酬改定が行われ、就労定着支援の基本報酬・加算にも変更がありました。「何が変わったか」を把握しておくことは、収支計画の見直しと、既存利用者の支援内容の確認に直結します。この記事では令和6年改定告示(厚生労働省告示第159号)の内容をもとに整理します。

令和6年改定の主な変更点

令和6年4月の改定で就労定着支援に関する主な変更は以下の3点です。

  • 基本報酬(就労定着率区分ごとの単位数)の見直し
  • 処遇改善加算の再編(福祉・介護職員等処遇改善加算の一本化)
  • 身体拘束廃止・虐待防止の取り組みに関する減算の新設

基本報酬:就労定着率区分の見直し

令和6年4月改定後の就労定着支援サービス費(基本報酬)の区分と単位数は以下のとおりです。

就労定着支援サービス費(令和6年4月〜)
区分 就労定着率 月額単位数
1 9割5分以上 3,512単位
2 9割以上9割5分未満 3,348単位
3 8割以上9割未満 2,768単位
4 7割以上8割未満 2,234単位
5 5割以上7割未満 1,690単位
6 3割以上5割未満 1,433単位
7 3割未満(新規1〜2年目含む) 1,074単位

出典:障害福祉サービス等報酬告示(令和6年厚生労働省告示第159号)

令和3年改定からの変化を見ると、区分1〜3は単位数が若干引き上げられ、区分7(最低区分)も単位数が維持されています。報酬全体として、就労定着率の高い事業所を優遇する方向性が継続されています。

処遇改善加算の一本化:令和6年6月施行

令和6年改定の大きな変化の一つが、処遇改善に関する加算の一本化です。令和6年6月1日施行で、従来の3種類の処遇改善加算(福祉・介護職員処遇改善加算、福祉・介護職員等特定処遇改善加算、福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算)が「福祉・介護職員等処遇改善加算」(区分Ⅰ〜Ⅳ)に統合されました。

就労定着支援の令和6年6月以降の処遇改善加算は以下のとおりです。

処遇改善加算(令和6年6月〜)
区分 加算率 概要
Ⅰ(旧3加算を最大限算定した水準) 11.5% 高い賃金改善要件を満たす場合
Ⅱ(一部要件を満たす場合) — Ⅰより要件が緩和
Ⅲ(基本要件を満たす場合) 9.8% 計画届け出・賃金改善の実施が必須
Ⅳ(最低限の要件) 8.1% —

なお、令和8年6月以降はさらにⅠが「Ⅰイ(11.5%)」「Ⅰロ(11.9%)」に細分化されており(別記事「就労定着支援の加算」参照)、本記事の表は令和6年6月〜令和8年5月の時期の内容です。

身体拘束廃止・虐待防止の減算(令和6年4月〜)

令和6年4月改定で、身体拘束の廃止に向けた取り組みが不十分な場合や、虐待防止の委員会設置・研修・担当者配置を行っていない場合に減算が設けられました。

就労定着支援にも適用される主な減算は以下のとおりです。

令和6年4月以降の主な減算(就労定着支援に関係するもの)
減算の名称 内容 減算率
身体拘束廃止未実施減算 身体拘束等の適正化のための措置を講じていない場合 所定単位数の5/100を減算
虐待防止措置未実施減算 虐待防止委員会・研修・担当者配置を行っていない場合 所定単位数の1/100を減算
業務継続計画未策定減算 BCP(業務継続計画)を策定していない場合 所定単位数の1/100を減算

これらの減算は、要件を満たした時点で解除されます。新規開業の場合も、開業直後から義務が発生するため、開設前に整備しておくことが必要です。

令和3年改定との比較(参考)

令和3年3月改定から令和6年3月改定の間に、就労定着支援の区分7(最低区分)の単位数は若干変化しています。新規事業所が最低区分からスタートする構造は変わっていませんが、区分1〜3の単価引き上げにより、定着率の高い事業所の収益改善が図られました。

収支計画への影響

令和6年改定の変更点のうち、収支計画に最も影響するのは処遇改善加算の一本化です。従来の3加算をすべて算定していた事業所は、新たな区分Ⅰに移行することで加算率が変わる場合があります。また、虐待防止・BCP未整備による減算は、すべての事業所が避けなければならない経費の増加要因です。

令和6年改定後の収支試算については、就労定着支援 収支シミュレーターで確認できます。

参考・出典

  • 障害福祉サービス等報酬告示(令和6年厚生労働省告示第159号)
  • 「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」(厚生労働省・令和6年3月)
  • 福祉・介護職員等処遇改善加算等に関するQ&A(令和6年6月)

この記事は2026年11月時点の告示・通知に基づいています。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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