計画相談支援の収支実態。全国平均と開業後の資金繰り。

計画相談支援の収支は、利用者から直接料金を徴収せず国保連からの報酬請求で成り立ちます。定員がなく担当件数が収入の直接の変数になるため、他の障害福祉サービスとは異なる財務構造をもちます。厚生労働省の経営概況調査(令和7年)と国保連の費用額データをもとに、計画相談支援の収支実態を整理します。

計画相談支援の収入モデル

計画相談支援の収入は、主に次の3種類から構成されます。

収入の種類 概要
サービス利用支援費 新規のサービス等利用計画を作成したときに算定(計画作成報酬)
継続サービス利用支援費 既存利用者のモニタリングを実施したときに算定(月次の継続報酬)
初回加算・特定事業所加算等 初回の計画作成・機能強化型の体制要件等に応じて加算

算定の根拠は厚生労働省告示第125号(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定計画相談支援に要する費用の額の算定に関する基準)です。

報酬の単位数(令和8年6月施行分)

サービス利用支援費と継続サービス利用支援費は、相談支援専門員1人あたりの担当件数(前6か月平均)に応じて単位数が変わります。

区分 単位数 条件
サービス利用支援費(Ⅰ) 1,572単位/件 取扱件数(前6月平均)が40未満の部分
サービス利用支援費(Ⅱ) 732単位/件 取扱件数が40以上の部分
継続サービス利用支援費(Ⅰ) 1,308単位/件 取扱件数が40未満の部分
継続サービス利用支援費(Ⅱ) 606単位/件 取扱件数が40以上の部分

取扱件数 = 前6か月の平均利用者数 ÷ 相談支援専門員の平均員数(0.5人換算)。40件を超えると単位数が約半分に下がる点が特徴的です。

地域区分単価は告示539号に基づき、1単位あたり11.20円(1級地)〜10.00円(その他地域)です。

担当件数と月間収入の試算

相談支援専門員1人・担当35件・月に新規計画3件・モニタリング25件(残り7件は頻度の低いモニタリング対象)のケースで試算します。

項目 件数 単位数/件 月計(単位)
サービス利用支援費(Ⅰ) 3 1,572 4,716
継続サービス利用支援費(Ⅰ) 25 1,308 32,700
初回加算 3 300 900
合計 38,316単位

その他地域(1単位10.00円)では月間収入 約383,160円。1級地(11.20円)では約429,154円です。

この試算は担当35件・月3件新規の場合です。担当件数が少なければ収入は比例して減少します。

全国の1事業所あたり費用額

国保連の「障害福祉サービスの最近の動向」(令和7年1〜3月期)によると、計画相談支援の1事業所あたり費用額は約42.6万円/月です。年換算では約511万円に相当します。

この「費用額」は給付費(サービス提供対価として支払われた金額)を事業所数で割った数値です。事業所の収入規模の参考値として使えますが、相談支援専門員の人数構成や担当件数によって個別の事業所の収入は大きく異なります。

費用の構造:人件費が収支を左右する

計画相談支援事業所の主な費用は、相談支援専門員と管理者の人件費です。設備投資は相談室の確保程度にとどまることが多く、初期費用は他の障害福祉サービスより低めです。

主な費用項目

費用項目 目安
相談支援専門員の給与・法定福利費 事業所費用の主要部分
管理者の給与(兼務の場合は按分) 管理者は専従が原則(省令28号 第4条)
事務所の家賃・水光熱費 相談室として使用できる区画が必要(省令28号 第21条)
交通費(利用者宅・関係機関訪問) モニタリングや担当者会議への訪問

相談支援専門員の標準配置は「利用者35人ごとに1人」(省令28号 第3条)。担当35件で相談支援専門員1人という体制が基本ラインです。担当件数が増えれば増員が必要になりますが、40件超えから単価が下がるため、人員増によるコスト増と単価低下が重なる局面があります。

収支の特徴:月ごとの変動要因

計画相談支援の収入は月によって変動します。主な変動要因は次のとおりです。

  • 新規計画作成件数:新規受付が多い月は1,572単位/件のサービス利用支援費が多く計上される
  • モニタリング件数:同月に継続支援のあと計画作成をした場合、継続は算定しない(告示125 注5)
  • モニタリング頻度の設定:利用者ごとに月1回・3か月に1回・6か月に1回等が設定される(詳細は計画相談支援のモニタリング頻度参照)

月1回モニタリングの利用者が多い月は収入が高く、6か月に1回の利用者が集中している月は収入が低くなる構造です。受け持つ利用者のモニタリング頻度の分布を把握した資金繰り計画が必要です。

開業後の入金タイムラグ

障害福祉サービスの報酬は、サービス提供月の翌々月に国保連から入金されます(2か月のタイムラグ)。開業後1〜2か月は収入がゼロで費用だけが発生するため、運転資金として少なくとも2〜3か月分の人件費を手元に確保しておく必要があります。

入金サイクルの詳細は計画相談支援の報酬、入金はいつになるのか。開業後の資金繰り。で整理しています。

処遇改善加算(令和8年6月〜)

計画相談支援への処遇改善加算は、令和8年6月から初めて適用されることになりました。加算率は1000分の51(5.1%)の1区分のみです(告示第523号)。他の障害福祉サービスと比べると加算率は低いですが、算定することで職員の処遇改善財源を確保できます。届出と計画書の提出が必要です。

収益性を高めるポイント

計画相談支援の収益性を高めるためには、次の点が重要です。

  • 担当件数の安定確保:特定の施設・居宅介護支援事業所との連携で紹介ルートを確立する
  • 取扱件数40件未満の維持:1,572単位の単価を維持するために相談支援専門員の増員タイミングを慎重に判断する
  • 機能強化型の要件充足:24時間対応・専従要件等を満たせば機能強化型(Ⅰ〜Ⅳ)の基本報酬区分が適用され、収入が増加する(詳細は計画相談支援の機能強化型参照)

まとめ

計画相談支援の収支は、担当件数・新規計画作成件数・モニタリング頻度の分布によって決まります。全国の1事業所あたり費用額は約42.6万円/月(国保連 令和7年1〜3月期)で、人件費が主な費用です。

開業後の月次収支・損益分岐・資金繰りを試算したい場合は、計画相談支援 収支シミュレーターをご活用ください。担当件数・新規受付件数・モニタリング頻度の設定に応じた収支見通しを確認できます。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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