消防設備士4類の試験では、P型受信機の「1級」と「2級」の違いがよく問われる。機能の差・回路数の上限・設置できる建物規模の3点がポイントになる。この3点を混同すると選択問題での失点に直結するため、早い段階で整理しておく必要がある。
この記事では、P型1級とP型2級の機能差を一次資料(規格省令・施行規則)の条番号を示しながら整理し、試験に出る出題パターンを4つ取り上げる。
P型受信機とは何か
P型受信機は、感知器や発信機からの信号を受信して火災を知らせる機器のうち、「共通信号方式」で動作するものを指す。共通信号方式とは、どの回路から信号が来ても同じ電気信号(電圧変化)で伝わる方式で、回路ごとに信号の内容を区別しない。
受信機の種類は「自動火災報知設備の受信機に係る技術上の規格を定める省令」(昭和56年自治省令第19号。以下「規格省令」)の第2条で定義されている。P型受信機はその第2条第2号に規定され、1級・2級・3級の区分がある。3級は住宅用で、消防設備士4類の試験範囲ではほとんど問われない。試験で問われるのは主に1級と2級の違いである。
P型受信機が「共通信号方式」であることは、R型受信機(固有信号方式)と区別する上でも重要である。P型では配線を回路ごとに分けることで発報した区域を特定する。R型では各機器がアドレスを持ち、1本の幹線で発報元を特定する。P型とR型の仕組みの違いは試験でも問われるが、本記事はP型の1級と2級の違いに焦点を当てる。
P型1級とP型2級の機能対比
規格省令第4条(1級の技術基準)と第5条(2級の技術基準)を比較すると、2級には1級から省略が認められた機能が複数ある。次の表に主な機能の有無をまとめた。
| 機能・要件 | P型1級 | P型2級 | 根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 火災灯(火災発生の表示) | 必要 | 必要 | 規格省令第4条・第5条 |
| 主音響装置 | 必要 | 必要 | 規格省令第4条・第5条 |
| 地区表示装置(発報回路の特定) | 必要 | 不要 | 規格省令第4条第1号・第5条 |
| 確認灯(発信機応答確認用) | 必要 | 不要 | 規格省令第4条・第5条 |
| 発信機との応答確認装置 | 必要 | 不要 | 規格省令第4条・第5条 |
| 回線選択スイッチ | 必要 | 不要 | 規格省令第4条・第5条 |
| 接続回路数の上限 | 制限なし | 5回路以下 | 規格省令第5条 |
2級で省略が認められているのは「地区表示装置」「確認灯」「発信機との応答確認装置」「回線選択スイッチ」の4項目。このうち試験で特に問われるのは「地区表示装置の有無」と「回路数の上限5回路」の2点である。
地区表示装置がないとどうなるか
P型1級には「どの回路で火災が発生したか」を示す地区表示装置が規格省令第4条第1号で義務付けられている。一方、P型2級ではこの装置の設置が不要とされている(規格省令第5条)。
地区表示装置がない場合、受信機は「火災が起きた」という事実は伝えるが、「どの区域で起きたか」は示せない。P型2級が5回路以下の小規模建物にしか設置できないのは、この制約と対応している。規模が小さければ建物全体を目視確認するのに時間がかからず、発報回路の特定がなくても初動対応が可能という考え方に基づく。
試験では「P型2級受信機に地区表示装置はあるか」という形で問われることがある。答えは「不要(省略可)」である。「ない」と断定するのではなく「省略できる」という点が正確な表現になる。実際の製品では2級でも地区表示を搭載しているものがあるが、規格省令上は「不要」であることを押さえる必要がある。
確認灯と発信機との応答確認装置の役割
確認灯は、発信機のボタンが押されたときに受信機側で点灯し、「発信機からの信号を受信した」ことを示す表示灯である。受信機を操作する防火管理者・警備員が「どの発信機が押されたか」を確認するための設備である。
発信機との応答確認装置は、受信機が発信機に向けて確認信号を送り返す回路機能を指す。発信機側の確認灯(緑色の応答灯)を点灯させることで、現場で発信機を押した人が「受信機に信号が届いた」と確認できる仕組みになっている。
P型1級では規格省令第4条でこれらが義務付けられている。P型2級では省略が認められており(規格省令第5条)、発信機の応答確認ができない場合がある。小規模建物では発信機の設置数も少なく、受信機から目視で発信機の状態を確認しやすいためとされている。
回路数の上限5回路の根拠と意味
P型2級受信機に接続できる回路数は5以下に制限されている。この制限は規格省令第5条および消防法施行規則第24条第1号イ(2)に基づく。
回路数5以下という数字は、建物の感知区域数に対応する。施行規則第23条第5項に基づいて区切られた感知区域の数が6以上の場合、P型2級を使用することはできない。
一つの感知区域に対して一つの回路を設ける必要があるため、建物が大きく感知区域数が増えるほど多くの回路が必要になる。延べ面積500m²未満の小規模建物では感知区域数も5以下に収まることが多く、P型2級で対応できる。500m²を超える建物では感知区域数が増えるため、P型1級以上が必要になる。
設置規模と設置条件の整理
P型1級・2級の設置条件をまとめると次のとおりになる。
| 項目 | P型1級 | P型2級 |
|---|---|---|
| 設置可能な延べ面積 | 制限なし | 500m²未満 |
| 接続できる回路数の上限 | 制限なし | 5回路以下 |
| 地区表示装置 | 必要 | 不要 |
| 確認灯 | 必要 | 不要 |
| 設置条件の根拠 | 施行規則第24条第1号イ(1) | 施行規則第24条第1号イ(2) |
| 主な用途例 | 大規模商業施設・病院・ホテル・工場など | 小規模店舗・事務所・共同住宅の一部など |
施行規則第24条第1号イ(2)が定める「延べ面積500m²未満」は、P型2級が設置できる上限であることに注意する。500m²ちょうどは「未満」に含まれないため、P型2級を使用することはできない。この境界値の扱いは試験で問われることがある。
試験に出る出題パターン4つ
過去の出題傾向から、P型1級・2級の区別に関する問いは次の4パターンに整理できる。
パターン1:機能の有無を問う
「P型2級受信機に地区表示装置はあるか」「P型2級に確認灯は必要か」という形式。答えはいずれも「不要(省略可)」。「ない」と断言せず「規格省令上は不要とされている」が正確な表現。
パターン2:回路数の上限を問う
「P型2級は何回路まで接続できるか」という形式。答えは「5回路以下」。1回路・3回路・5回路・10回路という選択肢の中から5回路を選ぶ問いが典型例。この数字は規格省令第5条に規定されている。
パターン3:設置可能な建物規模を問う
「延べ面積600m²の建物にP型2級受信機を設置できるか」という形式。500m²未満の条件を超えているため「できない」が正解。施行規則第24条第1号イ(2)が根拠。
パターン4:1級と2級の選び方を問う
「次の建物に設置すべき受信機はどれか」という形式で、建物の延べ面積・感知区域数(回路数)が与えられる。延べ面積500m²以上または感知区域数(回路数)が6以上の場合はP型1級以上(またはR型)を選ぶ。500m²未満で5回路以下ならP型2級でも設置可能。
P型2級を設置できない場合の対応
延べ面積が500m²以上、または回路数が6以上になる場合、P型2級は使用できない。この場合の選択肢はP型1級またはR型受信機になる。
P型1級を選ぶ場合は、配線本数が増える点を考慮する。P型では感知区域ごとに専用の配線が必要なため、区域数が増えると受信機への配線本数が増加する。共通線の本数は施行規則第24条第1号ヘ・トで「7回路以下ごとに1本」と定められており、8回路目以降は共通線を追加しなければならない。
R型を選ぶ場合は幹線方式で配線を集約できるため、大規模建物での工事費用が抑えられることがある。ただしR型の設備コストはP型1級より高い傾向がある。どちらを選ぶかは設計段階での費用・メンテナンス性・建物の将来的な改修計画も含めて判断する事項であり、試験では「選択の優劣」ではなく「それぞれの設置要件を満たすか否か」が問われる。
P型3級との区別(補足)
P型3級は住宅用の受信機で、接続できる感知器は1回路のみ(規格省令第6条)。消防設備士の工事・整備の対象となる自動火災報知設備(消防法施行令第21条)ではなく、住宅用火災警報器(法第9条の2)の区分に入るため、消防設備士4類の試験では詳しく問われない。
1級・2級・3級の区分で混乱しないよう「3級=住宅用・1回路・試験範囲外」として記憶しておく。
まとめ
P型1級とP型2級の違いは次の3点に集約される。
- 地区表示装置:1級は必要・2級は省略可(規格省令第4条・第5条)
- 回路数の上限:1級は制限なし・2級は5回路以下(規格省令第5条)
- 設置可能な建物規模:1級は制限なし・2級は延べ面積500m²未満(施行規則第24条第1号イ(2))
試験の選択問題では「2級=地区表示なし・5回路・500m²未満」の3点セットを押さえておけば対応できる。確認灯・応答確認装置・回線選択スイッチも2級では省略可という点を合わせて覚えておく。
P型受信機の設置条件や製図問題に対応するための演習は、消防設備士4類 AI問題集(https://fufumumu-design.com/shobo-4rui/)で行うことができる。確認済み問題126問と毎日3問のAI生成問題を組み合わせて使えるようになっている。
甲4・乙4の試験概要や受験の流れは案内ページ(https://fufumumu-design.com/shobo-4/)にまとめてある。合わせて参照してほしい。
出典
- 自動火災報知設備の受信機に係る技術上の規格を定める省令(昭和56年自治省令第19号)第2条・第4条・第5条・第6条
- 消防法施行規則第23条第5項・第24条第1号
※この記事は消防設備士4類の試験対策を目的とした解説です。実際の工事・点検にあたっては一次資料(消防法・規格省令)および所轄消防署の指示に従ってください。


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