感知器の機能試験の種類と手順。加熱試験・加煙試験・感度試験の使い方と判定基準を整理する。

感知器の機能試験の種類と手順。加熱試験・加煙試験・感度試験の使い方と判定基準を整理する。 資格
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消防設備士4類の実技試験(鑑別)では、感知器の点検に使う試験器の種類と使い方が繰り返し出題されます。試験器の名前だけ覚えていても、「どの感知器に使うか」「手順はどうか」「判定基準は何か」がわかっていないと本番で迷います。この記事では、加熱試験・加煙試験・感度試験の3種類を体系的に整理し、試験でよく問われるポイントを具体的に解説します。

感知器の機能試験とは何か

感知器の機能試験とは、定期点検の際に感知器が正常に作動するかどうかを確認する試験です。消防法施行規則第31条の6に基づく点検義務の一環として実施し、総務省告示「消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に関する細目」に定められた方法で行います。

感知器の種類によって使う試験器が異なります。大きく分けると次の3種類です。

試験の種類 対象感知器 使う器具
加熱試験 差動式スポット型・定温式スポット型・熱複合式スポット型 加熱試験器(ヒートガン型または電熱式)
加煙試験 光電式スポット型・光電式分離型(一部)・煙複合式スポット型 加煙試験器(発煙管を内蔵したカップ型)
感度試験 光電式スポット型(煙感知器) 感度試験器(減光フィルター方式)

差動式分布型(空気管式・検知器)は個別のスポット型試験器では試験できないため、専用の試験方法(空気注入試験)が別に定められています。イオン化式スポット型は放射性物質(アメリシウム241)を含むため、分解・改造を禁止されており、試験器での機能確認方法も他の感知器と異なる扱いになります。

加熱試験の手順と判定基準

加熱試験は、熱感知器(差動式・定温式・熱複合式)が熱に対して正常に反応するかを確認する試験です。試験器は電熱式またはガスを熱源とするヒートガン型が使われます。

加熱試験の手順

  1. 受信機側で試験スイッチを入れ、地区音響を停止させる(誤報扱いにならないようにする)
  2. 加熱試験器の電源を入れ、所定の温度に達するまで待つ
  3. 試験器を感知器の直下30cm程度に近づけ、熱を感知器に当てる
  4. 感知器が作動して受信機の表示灯が点灯することを確認する
  5. 作動を確認したら試験器を取り除き、感知器を復旧させる
  6. 受信機側の表示が消えることを確認する

差動式スポット型の判定基準

差動式スポット型の場合、急激な温度上昇(一定時間内の温度上昇が所定値以上)で作動することを確認します。加熱試験器を使って急速に加熱したとき、規定の時間内に作動すれば合格です。逆に、ゆっくり加熱する「緩慢加熱試験」を行ったときに作動しなければ正常です(差動式は急激な温度変化を検知する仕組みのため)。

定温式スポット型の判定基準

定温式スポット型は、感知器に表示された「公称作動温度」(60度・70度・80度・120度・150度など)の範囲内で作動することを確認します。公称作動温度の1.3倍以下の温度で作動することが規格省令に定められています。

公称作動温度 最高作動温度(1.3倍以下)
60度 78度以下
70度 91度以下
80度 104度以下
120度 156度以下

加煙試験の手順と判定基準

加煙試験は、煙感知器(光電式スポット型・煙複合式スポット型)が煙に対して正常に反応するかを確認する試験です。加煙試験器は感知器にかぶせるカップ型の器具で、内部に発煙剤(線香状の発煙材など)を入れて煙を発生させます。

加煙試験の手順

  1. 受信機側で試験スイッチを入れ、地区音響を停止させる
  2. 加煙試験器に発煙剤をセットする
  3. 感知器に試験器をかぶせる(感知器全体を覆う)
  4. 発煙剤に着火して煙を発生させる
  5. 感知器が作動して受信機の表示灯が点灯することを確認する
  6. 試験器を取り外し、感知器内部の煙を排出して復旧させる

判定基準

光電式スポット型の場合、発煙を開始してから規定の時間内に作動することを確認します。作動後に発煙を止めてから、感知器が規定の時間内に復旧することも確認します。感知器が作動しない場合、または復旧しない場合は不合格です。

なお、光電式分離型感知器(送光部と受光部に分かれているタイプ)はカップ型の加煙試験器が使えないため、専用の試験方法(減光フィルターによる試験)が使われます。

感度試験の内容と判定基準

感度試験は、煙感知器(主に光電式スポット型)が規定の煙濃度で正確に作動するかどうかを測定する試験です。点検時に全数実施するわけではなく、感度が低下している疑いがある場合や、設置から一定年数が経過した場合などに実施します。

感度試験器の仕組み

感度試験器は、減光フィルターを使って一定の煙濃度(遮光率)を作り出す器具です。感知器をこの試験器に取り付けて、規定の濃度で作動するかどうかを確認します。

公称感知濃度と判定基準

光電式スポット型感知器には「公称感知濃度(%/m)」が設定されています。感度試験では、この公称感知濃度の範囲内で正常に作動することを確認します。

種別 公称感知濃度の範囲 試験での確認内容
1種 5%/m未満 規定の濃度範囲内で作動・不作動を確認
2種 5%/m以上10%/m未満 規定の濃度範囲内で作動・不作動を確認
3種 10%/m以上15%/m未満 規定の濃度範囲内で作動・不作動を確認

感度が低下して規定の濃度で作動しなくなった場合、または逆に感度が高すぎて非火災報を起こしやすくなっている場合は、感知器の交換が必要です。

イオン化式感知器の特別な取扱い

イオン化式スポット型感知器は、放射性物質(アメリシウム241)を内蔵しているため、取扱いに特別な注意が必要です。

分解・改造の禁止

イオン化式感知器は、放射性同位元素等の規制に関する法律に基づき、分解・改造が禁止されています。整備の際も感知器を分解することはできません。外部の清掃(エアブロー等)は可能ですが、内部構造に手を加えることは認められていません。

廃棄の手順

イオン化式感知器を廃棄する場合は、製造メーカーへの返却が義務付けられています。一般廃棄物として処分することはできません。試験でも「廃棄方法はどれか」という形で出題されることがあります。

加煙試験との違い

イオン化式感知器は、煙による電離電流の変化を検知する仕組みです。加煙試験器を使った機能確認は、光電式と同様に煙を当てる方法で行いますが、分解禁止のため内部の点検は実施できません。点検の際は外観確認と機能確認(煙による作動確認)が中心となります。

試験での出題パターン

消防設備士4類の鑑別問題では、試験器の写真や図を見て「何に使う試験器か」「どの感知器に使うか」を答える形式が多く出題されます。さらに甲4の製図・鑑別では「試験の手順」「判定基準」まで踏み込んだ問題も出ます。

よく出る出題パターン5つ

  1. 試験器の種類と対象感知器の対応:「図の試験器(加熱試験器)は、次のどの感知器に使うか」
  2. 加煙試験器を使わない感知器:「加煙試験器を使った機能試験ができない感知器はどれか」(差動式・定温式・イオン化式の差別化)
  3. イオン化式感知器の禁止事項:「イオン化式感知器に関する記述で誤っているのはどれか」(分解禁止・廃棄方法)
  4. 定温式の公称作動温度と最高作動温度:「公称作動温度60度の定温式感知器が合格とされる最高の作動温度は何度か」
  5. 差動式と定温式の試験方法の違い:「差動式に対して緩慢加熱試験を行う目的はどれか」(急激な加熱にのみ反応することの確認)

混同しやすいポイント

混同しやすい内容 正しい理解
イオン化式も光電式も「煙感知器」だから同じ試験でよい 仕組みが違う。光電式は光の遮断を検知、イオン化式は電離電流の変化を検知。試験方法の制限も異なる
差動式は加熱試験でいつも作動するはず 差動式はゆっくり加熱する「緩慢加熱試験」では作動しないのが正常。急激な温度上昇にのみ反応する
感度試験は定期点検で毎回全数実施する 感度試験は全数毎回ではなく、感度低下の疑いがある場合などに実施する

整備との違いを整理する

試験でよく問われる「機能試験」と「整備」の違いも整理しておきます。

  • 機能試験(点検):試験器を使って感知器が正常に作動するかどうかを確認する。感知器本体を分解しない
  • 整備:感知器の外部清掃・接続端子の確認・ヒューズの交換など。分解を伴うものはイオン化式は禁止

整備の詳細(整備ステップ・禁止事項)は感知器・受信機の整備手順の記事で扱っています。試験器の名称・外見識別(写真問題)は試験器・工具の外見識別の記事を参照してください。

まとめ

感知器の機能試験は、加熱(熱感知器)・加煙(光電式)・感度(煙感知器)の3種類です。試験ごとに対象感知器と手順が異なり、イオン化式感知器は放射性物質を含むため分解禁止という特別な制約があります。鑑別問題では「どの感知器にどの試験器を使うか」「差動式の緩慢加熱試験の目的」「イオン化式の禁止事項」が頻出です。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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