消防設備士の定期講習。受けるタイミング・内容・受けないとどうなるか。

消防設備士の定期講習。受けるタイミング・内容・受けないとどうなるか。 資格

消防設備士の免状を取得した後に義務となるのが「定期講習」です。試験に合格して免状が交付された時点で、この講習を受ける義務が発生します。「いつ受ければよいのか」「受けなかったらどうなるのか」という点は試験にも出題されるため、免状を持つ予定の方も知っておく必要があります。

この記事では、消防設備士の定期講習について、根拠となる法令・受講タイミング・講習の内容・未受講の場合の罰則・申し込み方法を順番に整理します。

消防設備士の定期講習とは何か

消防設備士の定期講習は、消防法第17条の10に定められた法定義務です。消防設備の技術や法令は改正が行われるため、免状保有者が最新の知識を維持することを目的として設けられています。

消防法第17条の10の条文の趣旨は次のとおりです。消防設備士は、総務省令で定める期間内に、消防庁長官が指定する機関が行う工事整備対象設備等の工事、整備その他の業務に関する講習を受けなければならない、というものです。

この「指定する機関」とは、一般財団法人消防試験研究センター(各都道府県の支部)のことを指します。定期講習はここで実施されます。

定期講習を受けるタイミング

受講のタイミングには「最初の講習」と「2回目以降の講習」で異なる規定があります。混同しやすい部分なので、分けて整理します。

最初の講習:免状交付後の最初の4月1日から2年以内

免状を取得して初めて受ける講習は、「免状の交付を受けた日以後における最初の4月1日から2年以内」に受講しなければなりません。

たとえば、2024年9月に免状が交付された場合、「最初の4月1日」は2025年4月1日です。そこから2年以内、つまり2027年3月31日までに最初の定期講習を受ければよいことになります。

試験では「免状交付から2年以内」と出題されることがありますが、厳密には「最初の4月1日から2年以内」です。免状取得が3月末の場合、翌月の4月1日がスタートになるため、実質2年ちょうどに近い猶予となりますが、取得が4月2日以降になると、次の4月1日まで約1年を経過してから2年のカウントが始まります。規定の正確な表現を確認しておくことが重要です。

2回目以降:前回の講習から5年以内ごと

最初の講習を受けた後は、5年以内ごとに繰り返し受講する義務があります。初回講習の受講日から5年以内が次回の期限です。

講習の区分 受講期限
最初の定期講習 免状交付後の最初の4月1日から2年以内
2回目以降 前回の定期講習の受講日から5年以内ごと

「2年以内」と「5年以内」という2種類の数字が出てきますが、それぞれ「最初の受講か否か」で異なるものです。試験では数字の取り違えが問われるため、対応関係をしっかり把握しておきましょう。

定期講習の内容

定期講習では、消防設備に関する最新の法令・設備の知識・技術の動向などが扱われます。おもな講習内容は次のとおりです。

  • 消防関係法令の改正点
  • 自動火災報知設備・誘導灯・消火設備等の最新の規格・基準
  • 工事・整備・点検の実務上の留意点
  • 最近の火災事例や教訓

講習時間は概ね半日から1日程度です。科目や地域によって多少の差があります。修了時には修了証が発行されます。

なお、定期講習は免状の類別ごとではなく、「消防設備士」全般に共通して設けられています。甲4・乙4の保有者であれば、甲4用・乙4用と別々に受ける必要はなく、1回の受講で義務を果たすことができます(複数の類の免状を持っている場合も、1回の受講でよいとされています)。

定期講習を受けなかったらどうなるか

定期講習を受けなかった場合の罰則は、消防法第17条の13に定められています。消防長または消防署長は、免状の返納を命じることができます。

「命令できる」という規定なので、必ずしも即時返納になるわけではありませんが、法的には免状返納の対象になり得るという重大な義務であることは変わりません。

試験でよく問われるのは次の2点です。

  • 返納命令を下すことができる主体が「消防長または消防署長」であること(消防庁長官ではない)
  • 根拠条文が「消防法第17条の13」であること

消防庁長官と消防長・消防署長の違いは混同しやすいポイントです。定期講習の義務(第17条の10)と免状返納命令(第17条の13)を合わせて、条文番号ごとセットで覚えておくと得点につながります。

定期講習違反と他の違反の比較

消防設備士に関連する義務違反には複数の種類があります。定期講習の違反と比較しながら整理すると覚えやすくなります。

違反の種類 根拠条文 措置
定期講習の未受講 第17条の13 消防長または消防署長による免状返納命令
不正行為による免状取得 第17条の12 消防庁長官による免状取消し・返納命令
業務上の違反行為 第17条の12 消防庁長官による免状取消し・返納命令

命令主体が条文によって異なる点に注意してください。定期講習違反は「消防長または消防署長」、不正取得・業務違反は「消防庁長官」が権限を持ちます。

定期講習の申し込み方法

定期講習の申し込みは、一般財団法人消防試験研究センターの各都道府県支部が窓口となっています。

申し込みの流れは概ね次のとおりです。

  1. 消防試験研究センターの公式サイトで、居住地または勤務地の都道府県支部を確認する
  2. 各支部のページで講習日程・申込期間を確認する
  3. 所定の申込書に記入し、郵送または窓口で申し込む
  4. 受講料を納付する
  5. 当日、免状を持参して講習を受講する

講習の日程は都道府県によって異なり、年に数回程度開催されます。期限の直前にしか開催されない地域もあるため、余裕を持って確認することが重要です。特に最初の講習については「最初の4月1日から2年以内」という期限を逃さないよう、早めに日程を調べておくことをすすめます。

受講料は法令で定められた範囲内で各支部が設定します。受講当日は免状の持参が必要です。忘れた場合は受講できないため、持ち物の確認を忘れないようにしてください。

試験での出題パターン

定期講習に関する設問は、法令(共通)または法令(類別)の科目で出題されます。出題のパターンは大きく3つに分かれます。

受講タイミングを問うパターン

「最初の講習はいつまでに受けなければならないか」という設問です。「最初の4月1日から2年以内」が正解です。「免状交付から2年以内」という表現は厳密には誤りで、出題側が誤答の選択肢として使うことがあります。

2回目以降は「前回の受講から5年以内ごと」です。「3年ごと」や「10年ごと」のような誤った選択肢と合わせて出題されます。

返納命令の主体を問うパターン

「定期講習を受けなかった場合、免状返納を命じるのは誰か」という設問です。「消防長または消防署長」が正解です。「消防庁長官」は不正取得・業務違反の返納命令主体なので注意してください。

消防長・消防署長・消防庁長官・消防本部の長など、類似の名称が多く出てくるため、どの権限がどの条文に対応するかを整理しておくことが大切です。

根拠条文を問うパターン

「定期講習の義務の根拠条文は何か」または「免状返納命令の根拠条文は何か」という形で出題されます。定期講習の義務は第17条の10、返納命令は第17条の13です。両方を正しく対応させて覚えておきましょう。

まとめ

消防設備士の定期講習に関する要点を整理します。

  • 根拠:消防法第17条の10
  • 最初の講習:免状交付後の最初の4月1日から2年以内
  • 2回目以降:前回の受講から5年以内ごと
  • 内容:法令改正・設備の最新知識・実務の留意点など(半日〜1日程度)
  • 未受講の場合:消防法第17条の13に基づき、消防長または消防署長が免状返納を命じることができる
  • 申し込み:消防試験研究センターの各都道府県支部

「2年以内」「5年以内」「消防長または消防署長」「第17条の10・第17条の13」という数字と主体の組み合わせは、試験本番でも確実に得点できる部分です。類似の表現に惑わされないよう、根拠条文と対応する内容をセットで覚えておくことをすすめます。


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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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