就労継続支援B型の急変時対応研修、AEDの使い方と救急車への連絡手順。

就労継続支援B型の急変時対応研修、AEDの使い方と救急車への連絡手順。 福祉事業の開業と運営





就労継続支援B型の急変時対応研修、AEDの使い方と救急車への連絡手順。


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就労継続支援B型では、通所中に利用者が体調不良・意識消失・てんかん発作・心肺停止状態になった場合に、職員が適切に対応できることが求められています。急変時対応の研修では、119番への連絡・AEDの操作・家族への連絡・協力医療機関への連絡の手順を全職員で確認します。

この記事では、指定基準が求める急変時対応の義務内容、B型でよく起きる急変の場面、対応手順、AEDの操作の要点、研修で確認する事項を整理します。

急変時対応の義務は、指定基準第40条・第28条(第202条で準用)に根拠がある

急変時の対応に関する主な根拠は、指定基準第40条(事故発生の防止及び発生時の対応)と第28条(協力医療機関等)です。どちらも第202条でB型に準用されます。

第40条では、急変が生じた場合に速やかに主治医・協力医療機関等への連絡や、その他必要な措置を講じることが求められています。第28条では、B型が協力医療機関をあらかじめ定め、緊急時に円滑に対応できる体制を整えることを義務づけています。

研修では、法令の義務内容を確認した上で、実際の対応手順を練習します。

B型の通所中に起きやすい急変の場面

B型で急変が起きやすい場面を把握しておくと、研修のシナリオ作成と日常のリスク管理に役立ちます。

場面 起きやすい症状・出来事
作業中 てんかん発作(転倒・受傷を伴う場合あり)、過呼吸、突然の意識消失
休憩中・昼食時 誤嚥・窒息、低血糖(服薬中の糖尿病の利用者)、意識不明
屋外作業・農作業時 熱中症(重症時は意識障害)、転倒・骨折、虫刺されによるアナフィラキシー
送迎中 乗降時の転倒・骨折、車内での体調急変、てんかん発作
トイレ・更衣室 一人での転倒、意識消失、発見が遅れた場合の状態悪化

利用者の中には、てんかんの既往がある方、服薬管理が必要な方、食物アレルギーのある方が含まれている場合があります。個別の注意事項を記録し、職員全員が把握しておくことが急変予防の基本です。

急変時対応の基本手順

急変が起きた場合の基本手順は次のとおりです。

  1. 安全の確保:倒れている場合は周囲の状況を確認し、さらなる受傷がないよう環境を整える(機械・刃物・段差から遠ざける)
  2. 意識・呼吸の確認:声をかけて反応を確認。肩を軽くたたいて反応がなければ大声で周囲に助けを呼ぶ
  3. 119番への連絡:呼吸がない・または正常でない場合は即座に119番通報。通話しながら指示を受ける
  4. AEDの手配:別の職員に「AEDを持ってきてください」と具体的に指示する
  5. 胸骨圧迫の開始:反応なし・呼吸なしが確認できたら、AEDが届くまで胸骨圧迫を続ける(救急の指示に従う)
  6. AEDの使用:AEDが届いたら電源を入れ、音声の指示に従って操作する
  7. 救急隊員への引き継ぎ:到着した救急隊員に、発見時の状況・実施した対応・利用者の既往歴・服薬情報を伝える
  8. 家族・管理者・協力医療機関への連絡:救急搬送が決まったら速やかに連絡する

119番の通報は「意識がない・呼吸がない」状態では迷わず行います。「様子をみる」は重篤な状況では取り返しのつかない遅れにつながります。

AED操作の要点

AEDは音声の指示に従って操作するため、複雑な手順を覚える必要はありませんが、研修では実際に機器に触れて操作の流れを体で覚えることが重要です。

  • 電源を入れる:フタを開けると自動で電源が入るタイプと、電源ボタンを押すタイプがある
  • パッドを貼る:パッドの絵に示された位置(右鎖骨の下・左脇腹)に貼る。胸が濡れている場合はふきとってから貼る
  • 解析中は離れる:「体から離れてください」の指示に従い、誰も触れない状態にする
  • ショックボタンを押す:「ショックが必要です」と案内されたときだけボタンを押す。その際も全員が体から離れていることを確認する
  • ショック不要の場合:「ショックは必要ありません」の場合はすぐに胸骨圧迫を再開する(AEDは引き続き装着しておく)

AEDは施設内の設置場所を全職員が知っている必要があります。定期点検の状況も確認します。

てんかん発作の対応と、救急車を呼ぶ目安

B型では、てんかんの既往がある利用者が通所しているケースがあります。てんかん発作の対応は急変時対応の中でも特にB型で確認しておくべき場面です。

  • 発作中:体を強く押さえない。周囲の危険物を遠ざける。体の向きは横向き(横向きにできる状態であれば)
  • 口の中に何かを入れない:「舌を噛む」は誤解。指や道具を入れると受傷の原因になる
  • 時間を計る:発作が始まった時刻をメモする

次のいずれかに当てはまる場合は救急車を呼びます。

  • 発作が5分以上続く
  • 発作がおさまらないうちに次の発作が始まる
  • 発作後10分以上たっても意識が戻らない
  • 怪我をした・水中で発作が起きた
  • 初めての発作(本人または家族が「初めて」と言う場合を含む)

利用者ごとの「主治医から指示されている対応手順」は個別ファイルに保管し、関係する職員が事前に確認しておきます。

救急搬送後の記録と報告

利用者が救急搬送された場合は、事故報告書を作成して市区町村等に報告します(指定基準第40条第3項)。記録には次を含めます。

  • 発生日時・場所・状況
  • 関係者(利用者・対応した職員)
  • 対応内容(AEDの使用・119番通報・家族への連絡の時刻)
  • 搬送先の医療機関と搬送時刻
  • 家族・管理者への連絡状況
  • 再発防止策

AEDを使用した場合は、使用記録(多くのAEDは内部ログに記録)も保管します。

研修で確認する3つのこと

急変時対応の研修では、次の3点を確認します。

  1. 手順を声に出して確認する:「まず安全確認、次に意識の確認、反応がなければ大声で呼ぶ」と全員で読み合わせる
  2. AEDの設置場所を確認する:実際に設置場所を確認し、電源を入れるところまで操作してみる(パッドは貼らなくてよい)
  3. 利用者ごとの注意事項を確認する:てんかんの既往がある利用者・アレルギーのある利用者・服薬管理が必要な利用者の情報を共有する

年に1回以上の研修に加えて、新しい利用者が来た際や、AEDを設置替えした際にも確認の機会を設けます。

まとめ

就労継続支援B型の急変時対応研修では、指定基準第40条・第28条(第202条で準用)の義務に基づいて、119番連絡・AED操作・家族への連絡の手順を全職員で確認します。作業中・休憩中・送迎中で起きやすい急変の場面と、てんかん発作への対応はB型固有の確認事項です。研修では手順の読み合わせとAED設置場所の確認を行い、搬送後は事故報告書を作成して行政に報告します。

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出典:指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第28条・第40条・第202条。解釈通知(厚生労働省障発第1206001号)。作成日:2026年10月。


この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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