就労移行支援の定員と稼働率が月収入に与える影響。稼働率70%と90%ではいくら違うか。

就労移行支援の月収入は「基本報酬(単位数)×単価×実利用者数×稼働日数」で決まります。定員20人・新規(719単位・その他地域)の場合、稼働率70%(14人)では月約201万円、90%(18人)では月約259万円です。差は約58万円。定員と稼働率の組み合わせ別に月収入を試算します。

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月収入の計算式

就労移行支援の月収入(基本報酬分)は次の式で計算します。

月収入 = 基本報酬(単位数/日)× 地域区分単価(円/単位)× 実利用者数(人)× 月稼働日数(日)

このうち「基本報酬」は就労定着者の割合で7段階に変わります。新規事業所は2年間、719単位/日(定員20人以下)が適用されます。「地域区分単価」は事業所の所在地によって10.00〜11.18円の8区分に分かれます。

以下の試算はすべて「新規・その他地域(719単位×10.00円)・月20稼働日・処遇改善加算を含まない」条件です。

定員10人・稼働率別の月収入

定員10人・月20日・719単位・10.00円の場合の月収入です。稼働率は端数切り捨てで実利用者数を出します(例: 10人×80%=8人)。

稼働率 実利用者数 月収入(円)
60% 6人 7,190×6×20 = 862,800
70% 7人 7,190×7×20 = 1,006,600
80% 8人 7,190×8×20 = 1,150,400
90% 9人 7,190×9×20 = 1,294,200

定員15人・稼働率別の月収入

稼働率 実利用者数 月収入(円)
60% 9人 7,190×9×20 = 1,294,200
70% 10人 7,190×10×20 = 1,438,000
80% 12人 7,190×12×20 = 1,725,600
90% 13人 7,190×13×20 = 1,869,400

定員20人・稼働率別の月収入

稼働率 実利用者数 月収入(円)
60% 12人 7,190×12×20 = 1,725,600
70% 14人 7,190×14×20 = 2,013,200
80% 16人 7,190×16×20 = 2,300,800
90% 18人 7,190×18×20 = 2,588,400

稼働率を1%上げると月収入はいくら増えるか

定員20人・719単位・その他地域(10.00円)・月20日で、稼働率が1%(0.2人)上がった場合の収入変化を計算します。

  • 1%は定員20人の場合0.2人
  • 0.2人×7,190円×20日=28,760円/月(約2.9万円)
  • 実際には利用者は1人単位で増えるため、1人増える(5%増)と7,190×20=143,800円/月の増収

1人の利用者が月143,800円(処遇改善前)の収入になる計算です。この数字は「1人を確保し続けることの価値」と同義です。

処遇改善加算を乗せると

処遇改善加算III(11.3%)を乗せた場合、定員20人・稼働率別の月収入は以下のようになります。

稼働率 基本報酬(円) 処遇改善III込み(×1.113)
60%(12人) 1,725,600 ≒1,920,393
70%(14人) 2,013,200 ≒2,240,692
80%(16人) 2,300,800 ≒2,560,790
90%(18人) 2,588,400 ≒2,880,889

処遇改善加算は算定要件(体制届・就業規則・賃金改善計画書等)を満たす必要があります。加算の算定状況によって実収入は変わります。

月収入を増やすために何を動かすか

月収入を構成する要素は「定員・稼働率・単位数・単価」の4つです。それぞれへのアプローチをまとめます。

  • 定員: 開業後に定員変更申請で増やせる。ただし人員基準も増える
  • 稼働率: 利用者の紹介経路(医療機関・相談支援・ハローワーク等)の開拓で向上
  • 単位数: 3年目以降は就労定着者の実績次第。加算(福祉専門職員配置等加算・送迎等)も収入に乗る
  • 単価: 事業所の所在地で決まり変更できないが、開設地選定時の参考になる

実際の収支は費用(人件費・家賃等)との差で決まります。収支シミュレーターで定員・稼働率・費用の条件を入れながら確認することをおすすめします。

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参照した資料
厚生労働省告示第523号(就労移行支援の基本報酬・令和6年6月施行)。厚生労働省告示第539号(地域区分・令和6年4月施行)。試算は新規事業所(719単位)・その他地域(10.00円)・月20稼働日・処遇改善加算を含まない基本報酬のみ。実利用者数は定員×稼働率の端数切り捨て。処遇改善加算IIIの加算率は告示539(11.3%)。実際の収支は費用構造によります。数値は令和8年10月時点。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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