児童発達支援(以下、児発)の送迎は、未就学児(0〜6歳頃)を対象とするため、放課後等デイサービスの送迎とは異なるリスクへの対応が必要です。乳幼児は自分で安全を守る判断ができず、乗降時の転落・車内への置き去り・送迎中の急変など、施設外での事故リスクが高い場面です。
2022年12月に国土交通省・内閣府等が「通園バス等の置き去り防止を支援する安全装置に係るガイドライン」を策定し、保育所・認定こども園等の送迎用バスを対象とした安全装置設置が2023年4月から義務化されました。児発でも同様の安全管理の考え方が求められています。
送迎安全管理で義務づけられていること
指定通所支援基準の安全管理・事故発生防止の規定と、国の置き去り防止対策の要件を整理します。
| 取り組みの内容 | 根拠・義務の区分 |
|---|---|
| 乗降時の確認手順の文書化と職員への周知 | 指定通所支援基準 安全管理・事故発生防止規定 |
| 送迎用バス等での「乗車確認」「降車後の車内全席確認」の実施 | 国土交通省・内閣府等「通園バス等の置き去り防止を支援する安全装置に係るガイドライン」(2022年12月) |
| 送迎用バス等への置き去り防止安全装置の設置 | 2023年4月義務化。対象は幼稚園・保育所・認定こども園等の送迎用バス(道路運送車両の保安基準改正)。乗用車・小型ミニバンは対象外の場合あり(事業者は使用車両の該当確認が必要) |
| 送迎安全管理に関する職員研修の実施 | 事故発生防止研修の一環として |
(出典:指定通所支援基準・国土交通省「通園バス等の置き去り防止を支援する安全装置に係るガイドライン」2022年12月・道路運送車両の保安基準)
チャイルドシートと障害のある子どもの免除規定
道路交通法では、6歳未満の子どもを乗車させる場合のチャイルドシート使用が義務づけられています(道路交通法第71条の3第3項)。ただし、以下の場合は使用義務の免除規定があります。
- 幼児の身体の大きさに適合したチャイルドシートがない場合
- 身体障害等によりチャイルドシートの使用が適切でない場合(道路交通法施行令第26条の3の2第1項)
知的障害・自閉スペクトラム症等によりチャイルドシートへの着座・固定に強い拒否がある子どもは、免除規定の対象となる可能性があります。ただし、免除の場合でも安全確保のための代替手段(シートベルト・介助職員による身体支持等)を講じることが求められます。免除の適用については保護者・主治医・管轄の警察署等に確認します。
乳幼児の送迎で起きやすいリスク
車内への置き去り:チャイルドシートに固定された乳幼児は自力で脱出できません。夏季の車内温度は短時間で危険域に達します。降車後の車内全席確認・安全装置のセンサー確認を毎回の手順として定めます。
乗降時の転落・転倒:抱っこ・歩行補助が必要な年齢の子どもは、乗降口の段差や車外での転倒リスクが高くなります。乗降補助の手順と職員の配置場所を明確にしておきます。
送迎中の急変(けいれん・窒息等):てんかんや気道の問題を抱える子どもが在籍している場合、走行中に急変が起こる可能性があります。運転担当と添乗担当の役割分担・緊急時の停車場所・119番通報の手順を事前に確認します。
引き渡しミス:いつもと異なる人物が迎えに来た場合の確認不足は、安全上の重大なリスクになります。引き渡し可能な人物の事前登録と、当日の本人確認手順を文書で整備します。家庭内のDV・親権問題等がある場合は、引き渡し可能な人物の制限について保護者・ソーシャルワーカーと事前に共有し、記録に残します。
研修で確認する内容
乗降時の確認フロー:乗車前の人数確認→全員着席・シート固定の確認→出発、降車後の車内全席確認(後部・荷物コーナーを含む)という手順を、実際の車両を使って確認します。「慣れ」による手順省略が置き去り事故の直接原因になっているため、毎回の実施を徹底します。
置き去り防止安全装置の使い方:安全装置が設置されている車両では、降車確認ブザーの作動確認手順・警報が鳴った場合の対応を研修で確認します。装置の使い方を知らなければ義務化の意味をなしません。
チャイルドシートの装着確認:年齢・体重別のシートの種類と正しい装着方法・固定の確認ポイントを職員全員が理解します。障害のある子どもでシートへの固定が困難な場合は、免除規定の確認・代替手段の検討・保護者との合意内容を記録します。
緊急時の対応:走行中の急変・事故が起きた場合の役割分担(運転者は安全停車、添乗者は子どもの状態確認・119番)を確認します。施設の緊急連絡先・子どもごとの医療情報を車内に携帯します。
送迎記録として残すもの
- 乗車確認:人数・全員のシート固定・体調確認の記録
- 降車確認:降車後の車内全席確認の実施記録(担当者名・確認時刻)
- 安全装置の作動確認記録(装置がある場合)
- 研修の実施記録(実施日・内容・参加職員名・受講確認サイン)
- ヒヤリハット記録(乗降時に気になったこと・改善が必要な手順)
- チャイルドシート免除対象者の記録(免除の根拠・代替手段・保護者との合意)
法定研修・訓練のキットを使う
放課後等デイサービス・児童発達支援向けの安全管理・事故発生防止テーマの教材・確認テスト・記録様式を収録した研修キットを公開しています。送迎安全管理の研修教材としても活用できます。
▶ 放課後等デイサービス・児童発達支援 法定研修・訓練キット
出典:指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準・道路交通法(第71条の3第3項・施行令第26条の3の2)・国土交通省「通園バス等の置き去り防止を支援する安全装置に係るガイドライン」(2022年12月)・道路運送車両の保安基準。


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