通所介護(デイサービス)の食事介助研修、誤嚥・窒息を防ぐ姿勢と食形態の選択ポイント。

通所介護(デイサービス)の食事介助研修、誤嚥・窒息を防ぐ姿勢と食形態の選択ポイント。 福祉事業の開業と運営





通所介護(デイサービス)の食事介助研修、誤嚥・窒息を防ぐ姿勢と食形態の選択ポイント。

通所介護(デイサービス)の食事介助研修、誤嚥・窒息を防ぐ姿勢と食形態の選択ポイント。

通所介護(デイサービス)では昼食の提供が日常的なサービスの一部です。加齢や疾患によって嚥下(飲み込み)機能が低下した利用者に対する食事介助は、誤嚥性肺炎や窒息のリスクと隣り合わせです。

食事介助研修の目的は、「食事を食べさせる手順を覚える」ことだけではありません。利用者の嚥下状態に合わせた姿勢・食形態・ペースを判断できる観察力を全職員が持つことが求められます。

すぐにご利用されたい方は、こちらからどうぞ。
▶ 法定研修・訓練キット(通所介護版)

誤嚥と窒息の違いを整理する

食事介助の事故対応を正確に理解するには、誤嚥と窒息を区別して把握します。

誤嚥と窒息の違い
種類 起きていること 主なリスク
誤嚥 食べ物・飲み物・唾液が気管に入る 誤嚥性肺炎(時間をかけて発症)・即時のむせ
窒息 食べ物が気道をふさぎ呼吸ができなくなる 数分以内に意識消失・心停止に至る危険がある

誤嚥は気管に入ること、窒息は気道がふさがることです。窒息は数分以内に命に関わる緊急事態であり、誤嚥とは対応の速さが根本的に異なります。研修では両者を混同しないよう整理します。

誤嚥・窒息のリスクが高い利用者を見分ける

すべての利用者が同じリスクを持つわけではありません。次のような状態の利用者は、食事介助の際に特に注意が必要です。

  • 食事中に頻繁にむせる・咳き込む
  • 食後に声がかすれる・「ゴロゴロ」した声になる(湿性嗄声)
  • 食事に時間がかかる・途中で疲れて止まる
  • 口に食べ物を溜め込む・飲み込まないでいる
  • 認知症があり食べ物と認識できない・異食がある
  • 脳卒中後の麻痺・パーキンソン病がある

これらの状態が見られる利用者については、ケアプランや食事記録に「嚥下への注意事項」を明記し、職員全員が知っている状態をつくります。

誤嚥を防ぐ食事姿勢の基本

食事中の姿勢は誤嚥リスクに直結します。正しい姿勢の基本は次のとおりです。

食事介助時の推奨姿勢
姿勢のポイント 理由・注意点
椅子に深く座り、背筋をやや前傾させる 前傾姿勢は誤嚥しにくく、飲み込みやすい角度をつくる
足を床につける 足底が安定すると体幹が安定し、飲み込む力が出やすくなる
顎を軽く引く 顎が上がると気道が開きやすくなり誤嚥しやすくなる。顎を引いた姿勢が安全
仰向けや後ろに傾いた姿勢で食べさせない 気管に食べ物が流れ込みやすくなる

車いす使用者は、フットレストを外して足底を床につけ、テーブルの高さを調整することで、より安全な姿勢を確保できます。

食形態の種類と選び方

食形態は、利用者の嚥下機能に合わせて選択します。形態が合っていない食事は、安全な嚥下を妨げます。

食形態の分類と特徴(介護食の目安)
形態 特徴 対象の目安
常食(普通食) 一般的な食事と同じ形態 噛む力・飲み込む力に問題がない方
軟食(やわらか食) やわらかく煮る・刻む処理をした食事 噛む力が弱い・義歯が合わないなど
ミキサー食・ペースト食 食材をミキサーにかけてペースト状にした食事 噛む力がほとんどない・嚥下機能が低下している方
ゼリー食・とろみ食 ゼリー状に固めた・とろみをつけた食事や飲み物 液体が誤嚥しやすい・嚥下機能が著しく低下している方

「刻んだ食事は安全」という誤解があります。細かく刻んだ食材はまとまりがなく、口の中でばらばらになるため、かえって気道に入りやすいことがあります。嚥下機能が低下している利用者には、ゼリーやとろみで「まとまり」をつけた形態の方が安全な場合があります。

食事介助のペースと声かけ

食事介助は利用者のペースに合わせることが基本です。介助者のペースで一口ずつ食べさせると、前の一口を飲み込み切る前に次が入り、窒息のリスクが上がります。

  • 一口食べたら、飲み込んだことを確認してから次の一口を渡す
  • 飲み込んだ確認は「喉が動いたか(嚥下運動)」を目で見て確認する
  • 「飲み込みましたか」と声かけしながら確認するのも有効
  • 急かさない・「早く食べてください」は言わない
  • 食事中は会話を多くしすぎない(話しながら食べると誤嚥しやすくなる)

窒息が起きた場合の緊急対応

食事中に利用者が突然苦しそうにする・声が出なくなる・顔色が変わるといった状態になった場合は、窒息を疑い即座に対応します。

  1. 「食べ物が詰まりましたか」と聞く:声が出る・咳ができる場合は咳を続けさせる(咳は異物を排出する力がある)
  2. 声が出ない・顔色が悪い場合は窒息と判断:すぐに応援を呼びながら、腹部突き上げ法(ハイムリッヒ法)または背部叩打法を行う
  3. 119番通報:異物除去がうまくいかない・意識がなくなる場合はすぐに119番
  4. 管理者への報告・記録作成:事後にすぐ報告し、対応経緯を記録する

腹部突き上げ法・背部叩打法は、研修で実技を確認しておくことが重要です。手順を頭で知っているだけでは、緊急時に正確に行えないことがあります。

研修の実施と記録

食事介助研修は、指定基準で頻度の明示はありませんが、年1回以上の実施が一般的です。窒息への対応(腹部突き上げ法・背部叩打法)は、可能であれば実技演習を行います。

食事中のヒヤリハット(「むせが多かった」「一口が大きすぎた」など)は収集し、定期的な振り返りに活用します。

研修記録には、実施日・参加者・テーマ・使用資料を残します。

すぐにご利用されたい方は、こちらからどうぞ。
▶ 法定研修・訓練キット(通所介護版)

口腔ケアと誤嚥性肺炎予防の取り組みについては、通所介護(デイサービス)の口腔ケア研修も参照してください。

通所介護の法定研修義務の全体像については、通所介護(デイサービス)の法定研修義務、必須テーマと年間スケジュールも参照してください。

毎年の研修テーマの準備や、研修資料・記録様式をひとまとめにした法定研修・訓練キット(通所介護版)もあります。

(出典:指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号))


この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

ご質問はメールで。電話・面談はしていません。

fufumumu_designをフォローする
福祉事業の開業と運営
fufumumu_designをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました