特定事業所加算(A)(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の違い。どの区分を目指すべきか。

特定事業所加算(A)(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の違い。どの区分を目指すべきか。 介護

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居宅介護支援の特定事業所加算は、事業所の体制整備を評価する加算です。(A)・(Ⅰ)・(Ⅱ)・(Ⅲ)の4区分があり、取得する区分によって1件あたりの収入が大きく変わります。

この記事では、各区分の要件の違いと、どの区分を目指すことが現実的かを整理します。

特定事業所加算の4区分と単位数

特定事業所加算の区分と1件あたりの単位数は次のとおりです(令和8年6月改定後・告示第125号)。

区分 1件あたりの単位数(月額)
特定事業所加算(A) 114単位/月/利用者
特定事業所加算(Ⅲ) 323単位/月/利用者
特定事業所加算(Ⅱ) 421単位/月/利用者
特定事業所加算(Ⅰ) 519単位/月/利用者

出典:「指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準及び指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成12年老企第36号)別添。単位数は令和8年6月改定後の数値(告示第125号)。

担当件数35件の事業所が加算(A)を取得した場合:35件×114単位×10円=39,900円/月の増収になります。同じ件数で加算(Ⅰ)を取得すると:35件×519単位×10円=181,650円/月になります。加算区分の違いは、月単位で見ると大きな差になります。

各区分の要件:加算(A)は比較的取りやすい

特定事業所加算(A)の要件

加算(A)は、4区分の中で最も取得しやすい区分です。主な要件は次のとおりです。

要件 内容
管理者の要件 管理者が主任介護支援専門員であること
専従配置 常勤の介護支援専門員を1名以上配置すること
研修実施 事業所内での研修・外部研修を適切に実施すること
24時間連絡体制 緊急時等の連絡に対応できる体制であること

出典:厚生労働省「居宅介護支援費の算定に関する留意事項」。

管理者が主任ケアマネであることは指定を受けるための基本要件でもあるため、開業時から満たしている要件です。常勤の介護支援専門員1名の配置も、1人体制の事業所であれば管理者自身が該当します。24時間連絡体制の整備は運営体制の構築が必要ですが、特別な設備投資は不要です。

特定事業所加算(Ⅲ)の要件

加算(Ⅲ)は(A)の要件に加えて、主任介護支援専門員の人員配置に関する追加要件があります。

要件 内容
主任ケアマネの配置 主任介護支援専門員を1名以上配置すること(管理者との兼務可)
ケアプランの定期的な見直し 利用者の状態変化に応じたケアプランの見直しを適切に行うこと
その他体制整備 虐待防止措置・ハラスメント防止措置等

主任ケアマネ1名という要件は、管理者(主任ケアマネ)との兼務が認められているため、1人体制でも基本的に満たせます。

特定事業所加算(Ⅱ)の要件

加算(Ⅱ)は、主任ケアマネを2名以上配置することが主な上乗せ要件です。

要件 内容
主任ケアマネの配置数 主任介護支援専門員を2名以上配置すること
専門的な支援の実施 医療・福祉の専門機関との連携体制を構築していること

主任ケアマネ2名の配置は、1人体制では満たせません。2人目の主任ケアマネを採用または配置転換が必要なため、一定規模の事業所向けの区分です。

特定事業所加算(Ⅰ)の要件

加算(Ⅰ)は最上位区分で、主任ケアマネ3名以上の配置が求められます。

要件 内容
主任ケアマネの配置数 主任介護支援専門員を3名以上配置すること
中重度者の支援実績 要介護3以上の利用者、または認知症利用者が一定割合以上であること

3名以上の主任ケアマネ配置は、規模の大きな事業所に限られます。

開業後の取得ステップ:まず(A)から始める

加算(A)は開業直後から取得要件を満たせる場合がほとんどです。管理者が主任ケアマネであり、常勤ケアマネが1名以上いれば、研修体制と24時間連絡体制の整備で申請できます。

取得ステップの目安を整理すると次のとおりです。

ステップ 内容
開業直後 加算(A)の申請。管理者要件・常勤配置は開業時から満たしている場合が多い
1〜2年後 体制整備を進めながら(Ⅲ)の要件確認。(Ⅲ)は1人体制でも取得できる要件が多い
規模拡大後 主任ケアマネを追加採用して(Ⅱ)を目指す

加算(A)と(Ⅲ)は「1事業所で申請できる区分」であり、小規模な事業所でも取得できます。加算(Ⅱ)(Ⅰ)は主任ケアマネの人数増加が必要なため、スタッフが増えるタイミングで検討します。

加算取得が収益に与える影響:担当件数35件での試算

担当件数35件・地域単価10円で、各加算の月次収入への影響を試算します。

取得区分 加算収入(月)
加算なし 0円
加算(A) 35件×114単位×10円=39,900円
加算(Ⅲ) 35件×323単位×10円=113,050円
加算(Ⅱ) 35件×421単位×10円=147,350円
加算(Ⅰ) 35件×519単位×10円=181,650円

加算(A)でも年間で約48万円、加算(Ⅲ)であれば年間約136万円の増収になります。開業後に収支を安定させるためには、早期に加算(A)を取得しておくことが重要です。

加算申請のタイミングと手続き

特定事業所加算は、都道府県または市町村(指定権者)に体制届を提出することで算定できます。毎月の請求の前月末(または前々月末など)までに届出が必要な場合が多いため、申請先の指定権者に事前に確認することが必要です。

届出の際は、加算要件を満たしていることを証明する書類(研修計画・24時間連絡体制の整備状況等)の提出が求められます。

まとめ

  • 特定事業所加算は(A)・(Ⅲ)・(Ⅱ)・(Ⅰ)の4区分で、単位数は114〜519単位/月/利用者
  • 加算(A)は管理者が主任ケアマネ・常勤ケアマネ1名以上・研修体制・24時間連絡体制で取得できる
  • 加算(Ⅲ)も1人体制で取得できる要件が多く、(A)の次のステップとして現実的
  • 加算(Ⅱ)(Ⅰ)は主任ケアマネ2名以上・3名以上が必要で規模拡大後の目標
  • 担当件数35件で加算(A)を取得すると月約4万円、加算(Ⅲ)で月約11万円の増収

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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