マグネシウム(Mg)は第2類危険物(可燃性固体)に分類されます(指定数量500kg・危険等級III)。禁水性物質であり、水・酸との接触で水素ガスを発生します。燃焼すると白色の酸化マグネシウム(MgO)が生成され、強い白光を発します。消火には乾燥砂・膨張ひる石・膨張真珠岩を使い、水・泡・二酸化炭素・ハロゲン化物消火剤は使用禁止です。乙2試験では禁水性・消火方法・水との反応式が頻出です。
マグネシウムの基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 分類 | 第2類危険物(可燃性固体) |
| 指定数量 | 500kg |
| 危険等級 | III |
| 外観 | 銀白色・金属光沢 |
| 融点 | 650℃ |
| 沸点 | 1,090℃ |
| 比重 | 1.74(水より重い) |
| 禁水性 | あり(水・酸と反応してH₂発生) |
| 消火方法 | 乾燥砂・膨張ひる石・膨張真珠岩 |
出典:消防法施行令別表第一(第二類)。
マグネシウムの法令上の除外規定
消防法上「マグネシウム」として規制を受けるのは、粉末状または一定サイズ以下のものです。次の形態のマグネシウムは危険物から除外されます。
- 目開き2mmの網ふるいを通過しないもの(粗粒)は第2類危険物から除外される。
- 完全に合金化したもの(マグネシウム合金の塊等)も一般には規制が緩和される。
試験では「粉末状でないマグネシウムの取り扱いはどうか」という問いが出ることがあります。粉末状(細かい粒子・粉末)が最も危険で規制対象になります。
マグネシウムと水・酸の反応
マグネシウムは水・酸と反応して水素ガス(H₂)を発生します。H₂は可燃性・爆発性があるため、水での消火は厳禁です。
- 水との反応:Mg + 2H₂O → Mg(OH)₂ + H₂↑(水酸化マグネシウムと水素ガス)
- 酸との反応:Mg + 2HCl → MgCl₂ + H₂↑(例:塩酸との反応)
- 高温では:Mg + H₂O(蒸気) → MgO + H₂↑(高温の蒸気との反応でも水素が発生)
「水との反応でH₂が発生する」という性質は、鉄粉・金属粉(アルミニウム粉)とも共通です。これらを「禁水性第2類」と整理すると覚えやすくなります。
マグネシウムの燃焼と白光
マグネシウムが燃焼すると白色の酸化マグネシウム(MgO)が生成され、強烈な白光(3,000K以上)を発します。この光は紫外線を多く含み、裸眼で直視すると失明の危険があります。
燃焼反応式:2Mg + O₂ → 2MgO
- 白光の用途:かつてはフラッシュバルブ・照明弾・花火の光源として使われていた。
- 燃焼温度:約3,100℃(非常に高温)。
- CO₂消火が禁止の理由:Mg + CO₂ → MgO + C(マグネシウムはCO₂の酸素を奪って燃焼を継続する)。
- ハロゲン化物消火が禁止の理由:マグネシウムはCl等ハロゲンとも激しく反応する。
マグネシウムの消火方法(乾燥砂のみ)
マグネシウム火災には乾燥砂・膨張ひる石・膨張真珠岩(パーライト)を使用します。窒息消火が基本です。以下は禁止消火剤の一覧です。
| 消火剤 | 可否 | 理由 |
|---|---|---|
| 乾燥砂 | 可 | 窒息効果・水分含まない |
| 膨張ひる石・膨張真珠岩 | 可 | 窒息効果・吸着効果 |
| 水 | 禁止 | 水素ガス発生→爆発危険 |
| 泡消火剤 | 禁止 | 水分含むため水と同様 |
| 二酸化炭素(CO₂) | 禁止 | MgがCO₂の酸素を奪って燃焼継続 |
| ハロゲン化物 | 禁止 | マグネシウムがハロゲンと激しく反応 |
マグネシウムの保管方法
マグネシウムは水・湿気・酸との接触を完全に避けた保管が必要です。
- 密閉容器に乾燥した状態で保管する。
- 水・酸・強アルカリ・酸化性物質から遠ざける。
- 金属粉と同様に、切削加工や研磨作業で発生した粉じんは粉じん爆発の危険がある。
- 第1類(酸化性固体)との接触は厳禁(激しく反応して発火の危険)。
マグネシウムの産業用途
| 分野 | 用途 |
|---|---|
| 航空・自動車 | 軽量合金材料(マグネシウム合金)。アルミより軽い。 |
| 電子機器 | ノートPCのボディ・スマートフォンフレーム(軽量・強度) |
| 花火・照明弾 | 燃焼時の白光を利用 |
| 化学工業 | 金属マグネシウムは還元剤として使用(チタン製造等) |
| 医薬・食品 | 酸化マグネシウムは制酸剤・下剤として使用 |
金属粉・マグネシウム・鉄粉の比較(禁水性第2類)
禁水性を持つ第2類危険物をまとめて比較します。
| 物質 | 指定数量 | 危険等級 | 水との反応 | 消火 |
|---|---|---|---|---|
| 硫化りん | 100kg | II | H₂S発生 | 乾燥砂 |
| 鉄粉 | 500kg | III | H₂発生 | 乾燥砂 |
| 金属粉(アルミ等) | 500kg | III | H₂発生 | 乾燥砂 |
| マグネシウム | 500kg | III | H₂発生 | 乾燥砂 |
乙2試験でのマグネシウムの出題パターン
| 問われる内容 | 答え |
|---|---|
| マグネシウムの消火方法 | 乾燥砂・膨張ひる石(水・CO₂・ハロゲン禁止) |
| マグネシウムと水の反応生成物 | Mg(OH)₂とH₂(水素ガス) |
| マグネシウムの燃焼生成物 | MgO(白色・白光を発する) |
| CO₂消火剤が使えない理由 | MgがCO₂の酸素を奪って燃焼を継続するため |
| マグネシウムの指定数量 | 500kg(危険等級III) |
| 法令上除外されるマグネシウムとは | 目開き2mmの網ふるいを通過しないもの |
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