緩降機と救助袋はどちらも消防法施行令第25条で定められた避難器具ですが、設置できる用途・階・必要スペースが異なります。最大の違いは(五)項・(六)項の6階以上で、緩降機は設置不可ですが救助袋は設置できる点です。逆に緩降機は1台あたりの設置スペースが少なく、コンパクトな建物や個室の多い建物に向いています。どちらを設置するかは建物の用途・階数・使用する人の属性によって判断します。
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緩降機と救助袋の基本情報の比較
| 比較項目 | 緩降機 | 救助袋 |
|---|---|---|
| 仕組み | ロープと調速器を使い、自重で降下する | 袋状の器具の内部を通って降下する |
| 種類 | 1種類(調速器付きロープ式) | 垂直式・斜降式の2種類 |
| 使用人数 | 1回1人(往復使用可能) | 1人ずつ順番に使用 |
| 設置できる主な階 | 2〜5階((五)(六)項の6階以上は不可) | 2〜10階以上(6階以上も可) |
| 設置スペース | 比較的コンパクト(窓枠に取り付け可) | 垂直式は直下スペース・斜降式は斜め方向のスペースが必要 |
出典:消防法施行令第25条第2項の表(e-Gov法令検索)
設置できる用途と階の違い
緩降機と救助袋の設置できる用途・階の違いを施行令第25条の表から整理します。
| 防火対象物の用途 | 階 | 緩降機 | 救助袋 |
|---|---|---|---|
| (六)項(病院・福祉施設等) | 2階 | ○ | ○ |
| 3〜5階 | ○ | ○ | |
| 6階以上 | × | ○ | |
| 地階 | × | × | |
| (五)項(ホテル・旅館等) | 2階 | ○ | ○ |
| 3〜5階 | ○ | ○ | |
| 6階以上 | × | ○(一部) | |
| 地階 | × | × | |
| (一)〜(四)項・(七)〜(十一)項 | 2〜5階 | ○ | ○ |
出典:消防法施行令第25条第2項の表
6階以上の病院・福祉施設では救助袋または滑り台・避難橋のいずれかを設置しなければなりません。緩降機を使えない階では、救助袋が最も一般的な選択肢になります。
設置スペースの違い
緩降機と救助袋では、設置に必要なスペースの種類が異なります。
緩降機の設置スペース
緩降機は窓枠や壁面に取付け具(ブラケット)を設置し、ロープを外に垂らす構造です。建物の直下(着地点)に一定のスペースが必要ですが、横方向のスペースは不要です。1台あたりの設置面積はコンパクトで、個室や廊下の窓に設置しやすい点が特徴です。
救助袋の設置スペース
救助袋は垂直式と斜降式で必要なスペースが異なります。
- 垂直式:建物の直下に袋の出口を設置するスペースが必要。横方向のスペースは少ない
- 斜降式:建物から斜め方向に袋を展開するため、外側に向かって一定距離のスペースが必要。大型の施設向き
斜降式の救助袋は複数人が連続して使用しやすく、一度の災害で多くの人を避難させる必要がある大型施設(病院・介護施設等)に向いています。
使用者の属性による選び方
緩降機と救助袋では、使用者に求められる身体能力が異なります。建物の用途と入居者・利用者の属性を考慮して選ぶことが実務上の重要なポイントです。
| 器具 | 使用に必要な身体能力 | 向いている建物の用途 |
|---|---|---|
| 緩降機 | 自分で着用具を装着し、ロープを握りながら降下する体力が必要 | 事務所・工場・ホテル(健常者が主な利用者) |
| 救助袋(垂直式) | 足から袋に入れる体勢が取れること | 学校・商業施設・マンション |
| 救助袋(斜降式) | 比較的少ない体力で使用できる | 病院・介護施設・福祉施設(高齢者・障害者が利用) |
病院や特別養護老人ホームでは、患者・入居者が自力で緩降機を操作することは困難な場合が多いです。斜降式救助袋は操作が比較的簡単で複数人を連続して避難させやすいため、介護施設や病院に設置されるケースが多くなっています。
試験での出題ポイント(緩降機と救助袋の比較)
消防設備士第5類の試験では、緩降機と救助袋の違いが設置基準・構造・整備の各科目で問われます。よく出る比較の問題パターンを整理します。
- 「(六)項の7階に設置できる器具は緩降機か救助袋か」→ 救助袋(緩降機は(六)項の6階以上不可)
- 「緩降機のロープ長の基準と救助袋の袋の長さの基準の違いは何か」→ 緩降機:取付け位置から降着面まで。救助袋:安全な降下速度を保てる長さ
- 「緩降機と救助袋の取付け具の材料規格は同じか」→ 同じ(JIS G3101またはG3444)
- 「地階に設置できるのは緩降機か救助袋か」→ どちらも不可(地階は避難はしご・タラップのみ)
まとめ。6階以上は救助袋・5階以下で使いやすさ重視なら緩降機
緩降機と救助袋の選び方は「何階に設置するか」「誰が使うか」の2点で判断します。(五)(六)項の6階以上は救助袋しか選べません。5階以下であれば、設置スペースのコンパクトさ・設置コスト・使用者の身体能力を考慮して選びます。試験では「(六)項の○階に設置できるのはどの器具か」という形で施行令第25条の表を直接問う問題が出るため、表の縦・横の組み合わせを覚えることが最優先です。

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