乙1(第1類危険物)の危険等級別まとめ。I・II・IIIの品目と指定数量一覧。

危険物取扱者 乙種第1類(乙1)の試験で確実に問われるのが「危険等級」と「指定数量」です。第1類(酸化性固体)の9品目は危険等級I・II・IIIの3つに分類されており、それぞれ指定数量が異なります。この記事では、危険等級ごとに品目を整理し、試験で問われやすいポイントをまとめます。

  1. 危険等級とは
  2. 第1類(酸化性固体)の危険等級別一覧
  3. 危険等級 I(指定数量50kg)の5品目の特徴
    1. 塩素酸塩類(代表:塩素酸カリウム KClO₃)
    2. 過塩素酸塩類(代表:過塩素酸カリウム KClO₄)
    3. 無機過酸化物(代表:過酸化ナトリウム Na₂O₂)
    4. 亜塩素酸塩類(代表:亜塩素酸ナトリウム NaClO₂)
    5. 臭素酸塩類(代表:臭素酸カリウム KBrO₃)
  4. 危険等級 II(指定数量300kg)の4品目の特徴
    1. 硝酸塩類(代表:硝酸カリウム KNO₃・硝酸アンモニウム NH₄NO₃)
    2. ヨウ素酸塩類(代表:ヨウ素酸カリウム KIO₃)
    3. 過マンガン酸塩類(代表:過マンガン酸カリウム KMnO₄)
    4. 重クロム酸塩類(代表:重クロム酸カリウム K₂Cr₂O₇)
  5. 危険等級 III(指定数量1,000kg)の「その他」品目
  6. 指定数量の覚え方
  7. 指定数量の倍数計算(法令問題での使い方)
  8. 試験対策:危険等級で問われやすいポイントまとめ
  9. 指定数量の倍数計算(法令の頻出問題)
    1. 問題例1:同じ場所に複数の第1類危険物を貯蔵する場合
    2. 問題例2:倍数が1以上になるか判定する問題
  10. 危険等級と運搬容器の基準
  11. 危険等級 I の品目の特有性質まとめ
  12. 危険等級 II の品目の特有性質まとめ
  13. 混載禁止と危険等級
  14. 指定数量の倍数計算(問題例3)
  15. 危険等級 I の品目が使える貯蔵所・取扱所
  16. 危険等級と試験問題の出題パターン

危険等級とは

危険等級とは、危険物の危険性・有害性を総合的に評価して I・II・III の3段階に分類した区分です。消防法施行令別表第三に規定されており、危険等級 I が最も危険性が高く、III が相対的に低い分類です。

出典:危険物の規制に関する政令第一条の三・別表第三

危険等級は運搬容器の表示や包装基準にも影響します。乙1の試験では「この品目の危険等級はいくつか」「指定数量は何kgか」という形で直接問われます。

第1類(酸化性固体)の危険等級別一覧

危険等級 品名 指定数量 代表物質
I
(最高危険性)
塩素酸塩類 50kg 塩素酸カリウム(KClO₃)
過塩素酸塩類 50kg 過塩素酸カリウム(KClO₄)・過塩素酸アンモニウム
無機過酸化物 50kg 過酸化ナトリウム(Na₂O₂)・過酸化カリウム・過酸化バリウム
亜塩素酸塩類 50kg 亜塩素酸ナトリウム(NaClO₂)
臭素酸塩類 50kg 臭素酸カリウム(KBrO₃)
II 硝酸塩類 300kg 硝酸カリウム(KNO₃)・硝酸アンモニウム(NH₄NO₃)
ヨウ素酸塩類 300kg ヨウ素酸カリウム(KIO₃)
過マンガン酸塩類 300kg 過マンガン酸カリウム(KMnO₄)・暗紫色
重クロム酸塩類 300kg 重クロム酸カリウム(K₂Cr₂O₇)・橙赤色
III その他のもの・政令で定めるもの 1,000kg ジクロロイソシアヌル酸(DCCA)等

出典:消防法別表第一(第一類)・危険物の規制に関する政令別表第一・別表第三

危険等級 I(指定数量50kg)の5品目の特徴

危険等級 I の5品目はすべて指定数量50kgで、第1類の中で最も危険性が高いグループです。

塩素酸塩類(代表:塩素酸カリウム KClO₃)

塩素酸カリウムは硫黄・木炭・有機物との混合で非常に鋭感性が高く、わずかな衝撃・摩擦でも爆発する危険があります。煙火・マッチの原料としても知られています。消火方法は大量の水。

過塩素酸塩類(代表:過塩素酸カリウム KClO₄)

塩素酸塩類より安定しています(鋭感性が低い)。過塩素酸アンモニウムはロケット推進剤の酸化剤として使われます。消火方法は大量の水。

無機過酸化物(代表:過酸化ナトリウム Na₂O₂)

第1類の中で唯一の「水厳禁・二酸化炭素(CO₂)厳禁」品目です。水と激しく反応して酸素を発生し発熱します。消火方法は乾燥砂・膨張ひる石のみ。試験で最も問われやすい例外品目です。

亜塩素酸塩類(代表:亜塩素酸ナトリウム NaClO₂)

酸と反応して二酸化塩素(ClO₂)を発生します。二酸化塩素は有毒・爆発性があります。消火方法は大量の水。

臭素酸塩類(代表:臭素酸カリウム KBrO₃)

有機物・硫黄との混合で発火・爆発の危険があります。消火方法は大量の水。

危険等級 II(指定数量300kg)の4品目の特徴

危険等級 II の4品目は指定数量300kgで、危険等級 I より取り扱いリスクが低い分類です。ただし強力な酸化剤であることは変わりません。

硝酸塩類(代表:硝酸カリウム KNO₃・硝酸アンモニウム NH₄NO₃)

硝酸アンモニウムは大量・密閉空間での加熱で爆発する危険があります(ANFO爆薬の原料)。硝酸カリウムは火薬・肥料の原料です。消火方法は大量の水。

ヨウ素酸塩類(代表:ヨウ素酸カリウム KIO₃)

比較的安定した品目です。ヨウ素強化食塩の原料に使われます。消火方法は大量の水。

過マンガン酸塩類(代表:過マンガン酸カリウム KMnO₄)

暗紫色が特徴。酸・還元剤との接触で危険。水溶液は脱色反応で化学分析にも使われます。消火方法は大量の水。

重クロム酸塩類(代表:重クロム酸カリウム K₂Cr₂O₇)

橙赤色が特徴。六価クロムを含む有毒物質です。有機物との接触・加熱で発火の危険があります。消火方法は大量の水。

危険等級 III(指定数量1,000kg)の「その他」品目

「政令で定めるもの」と「その他のもの」が危険等級 III に相当します。指定数量1,000kgは第1類の中で最も多い量です。ジクロロイソシアヌル酸(DCCA)などがこのグループに含まれます。消火方法は大量の水。

指定数量の覚え方

第1類の指定数量のパターンは「50・300・1,000」の3段階だけです。危険等級 I は50kg・II は300kg・III は1,000kgと、危険等級に対応します。

  • 危険等級 I = 50kg(5品目すべて)
  • 危険等級 II = 300kg(4品目すべて)
  • 危険等級 III = 1,000kg

例外は一切なく、危険等級と指定数量が1対1で対応しているため、危険等級を覚えれば指定数量も自動的に覚えられます。

指定数量の倍数計算(法令問題での使い方)

危険物を複数種類貯蔵・取り扱う場合、各危険物の「倍数」(実際の数量 ÷ 指定数量)の合計が1以上になると各種規制が適用されます。乙1の法令問題では倍数計算がよく問われます。

例:塩素酸カリウム(指定数量50kg)を100kg、過マンガン酸カリウム(指定数量300kg)を150kg貯蔵する場合の倍数の合計は?

100 ÷ 50 + 150 ÷ 300 = 2.0 + 0.5 = 2.5倍

出典:消防法第10条(危険物を貯蔵し、又は取り扱う場合の数量)・危険物の規制に関する政令第1条の11

試験対策:危険等級で問われやすいポイントまとめ

  • 危険等級 I の5品目(塩素酸・過塩素酸・無機過酸化物・亜塩素酸・臭素酸)はすべて指定数量50kg
  • 危険等級 II の4品目(硝酸・ヨウ素酸・過マンガン酸・重クロム酸)はすべて指定数量300kg
  • 無機過酸化物だけが「水厳禁・CO₂厳禁」→ 乾燥砂のみ
  • 過マンガン酸塩類 = 暗紫色、重クロム酸塩類 = 橙赤色
  • 硝酸アンモニウム(NH₄NO₃)= 密閉空間での大量加熱で爆発危険

指定数量の倍数計算(法令の頻出問題)

法令では指定数量の倍数計算が繰り返し出題されます。計算パターンを身につけておきましょう。

問題例1:同じ場所に複数の第1類危険物を貯蔵する場合

塩素酸カリウム(指定数量50kg)を75kg、硝酸アンモニウム(指定数量300kg)を450kg、過マンガン酸カリウム(指定数量300kg)を150kg 貯蔵している。指定数量の倍数はいくらか?

75 ÷ 50 + 450 ÷ 300 + 150 ÷ 300 = 1.5 + 1.5 + 0.5 = 3.5倍

問題例2:倍数が1以上になるか判定する問題

亜塩素酸ナトリウム(指定数量50kg)を20kgと、ヨウ素酸カリウム(指定数量300kg)を240kg 貯蔵している。規制は適用されるか?

20 ÷ 50 + 240 ÷ 300 = 0.4 + 0.8 = 1.2倍 → 1以上なので規制適用(消防法第10条の手続きが必要)

出典:消防法第10条・危険物の規制に関する政令第1条の11

危険等級と運搬容器の基準

危険等級は運搬容器の基準にも影響します。危険等級 I は最も厳しい容器基準が適用され、危険等級 II・III は相対的に緩和された基準が適用されます。試験では「危険等級 I の品目に使える運搬容器の種類」という形でも問われることがあります。

出典:危険物の規制に関する規則第43条(運搬容器の基準)・別表第三

危険等級 I の品目の特有性質まとめ

危険等級 I の5品目は第1類の中で最も危険性が高いグループです。各品目に特有の危険性があります。

品名 特有の危険性 消火
塩素酸塩類 硫黄・木炭との混合で爆発(鋭感性が高い) 大量の水
過塩素酸塩類 塩素酸塩類より安定。ロケット推進剤に使用 大量の水
無機過酸化物 水と反応して酸素発生・発熱。CO₂とも反応 乾燥砂のみ(水厳禁・CO₂厳禁)
亜塩素酸塩類 酸と反応して二酸化塩素(ClO₂)発生 大量の水
臭素酸塩類 有機物・硫黄との接触で発火危険 大量の水

危険等級 II の品目の特有性質まとめ

品名 特有の危険性 消火
硝酸塩類 硝酸アンモニウムは密閉加熱で爆発危険(ANFO爆薬) 大量の水
ヨウ素酸塩類 比較的安定。ヨウ素強化食塩の原料にも使用 大量の水
過マンガン酸塩類 暗紫色。酸・還元剤との反応で危険 大量の水
重クロム酸塩類 橙赤色。六価クロム含有(有毒) 大量の水

混載禁止と危険等級

第1類危険物(危険等級 I・II・III を問わず)は、第2類・第3類・第4類・第5類との混載が禁止されています。第6類(酸化性液体)との混載は可能です。

出典:危険物の規制に関する規則別表第2(混載の基準)

混載の問題では「第1類と第6類は混載できる」が正解になるパターンが頻出です。乙1の法令・性消の両方で問われることがあります。

指定数量の倍数計算(問題例3)

法令の倍数計算問題をもう1問練習します。

過酸化ナトリウム(Na₂O₂、指定数量50kg)を20kg、過マンガン酸カリウム(KMnO₄、指定数量300kg)を600kg 貯蔵する場合、指定数量の倍数はいくらか?

20 ÷ 50 + 600 ÷ 300 = 0.4 + 2.0 = 2.4倍

この問題では過酸化ナトリウムの指定数量が50kgという点がポイントです。過酸化ナトリウムは無機過酸化物であり、危険等級I・指定数量50kgです。倍数計算では品目名から指定数量を素早く引き出せる準備が必要です。

危険等級 I の品目が使える貯蔵所・取扱所

危険等級 I の品目(塩素酸塩類・過塩素酸塩類・無機過酸化物・亜塩素酸塩類・臭素酸塩類)は、第一石油類(乙4)などと並んで指定数量が少なく(50kg)、少量でも規制が適用されやすい品目群です。

製造所・屋内貯蔵所・屋外貯蔵所などの施設を設置する場合は消防法に基づく許可が必要です。試験では「危険等級 I の品目を貯蔵するために必要な施設の基準」という形で問われることがあります。

出典:消防法第10条・危険物の規制に関する政令第10条・第11条(製造所等の設置基準)

危険等級と試験問題の出題パターン

乙1の試験で危険等級に関して問われる典型的なパターンをまとめます。

出題パターン 正解の方向
「次の品目のうち危険等級 I に分類されるものはいくつか」 塩素酸・過塩素酸・無機過酸化物・亜塩素酸・臭素酸の5品目を数える
「指定数量が300kgの品目はどれか」 硝酸塩類・ヨウ素酸塩類・過マンガン酸塩類・重クロム酸塩類のいずれか
「指定数量50kgの品目と300kgの品目を混在貯蔵する場合の倍数を求めよ」 各品目の(実量÷指定数量)を計算して合計する
「第1類で水を使って消火できない品目はどれか」 無機過酸化物(危険等級I・指定数量50kg)のみ

乙1の問題演習は危険物乙1 AI問題集で。性消100問の中に危険等級・指定数量に関する問題が含まれています。

乙4・乙6・甲種の問題集は危険物取扱者の問題集まとめからどうぞ。

この記事を書いた人

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