第2石油類は、引火点が21℃以上70℃未満の引火性液体です(危険物令別表第3)。灯油・軽油が代表物質で、ガソリン(第1石油類)よりも引火点が高く常温では引火しにくい物質です。ただし、加熱や高温環境では引火の危険があります。指定数量は非水溶性1,000L・水溶性2,000Lで、ガソリンの200Lに比べて大きい点も試験で問われます。
第2石油類の定義と指定数量
第2石油類は、1気圧・温度20℃において引火点が21℃以上70℃未満の引火性液体です。指定数量は非水溶性が1,000L・水溶性が2,000Lです。
「引火点が21℃以上70℃未満」という区分は第2石油類だけです。試験では「第2石油類の引火点は20℃以上70℃未満」という誤りが出ます。正しくは21℃以上です。
主な代表物質と引火点・性質
| 物質名 | 引火点 | 水溶性 | 特記事項 |
|---|---|---|---|
| 灯油 | 40℃以上 | 非水溶性 | 無色〜淡黄色・石油臭・指定数量1,000L |
| 軽油 | 45℃以上 | 非水溶性 | 無色〜淡黄色・指定数量1,000L |
| キシレン | 27〜32℃ | 非水溶性 | 塗料溶剤・特有の芳香 |
| クロロベンゼン | 28℃ | 非水溶性 | 無色透明・芳香・溶剤に使用 |
| 酢酸(氷酢酸) | 39℃ | 水溶性 | 刺激臭・酸味・指定数量2,000L |
| アクリル酸 | 46℃ | 水溶性 | 重合危険・水溶性・指定数量2,000L |
灯油と軽油はいずれも非水溶性・指定数量1,000Lで、引火点は軽油(45℃以上)が灯油(40℃以上)より高いです。常温(20℃前後)では引火の危険は低いですが、加熱や霧状に分散した場合は引火する可能性があります。
灯油・軽油の性質の詳細
灯油は石油を精製して得られる中間留分で、特有の石油臭があります。ストーブ・ボイラー・農機具の燃料として日常的に使われます。
軽油はディーゼルエンジン燃料で、灯油より精製度が高いです。引火点は45℃以上で、灯油の40℃以上より高く安全性は高いです。ただし、蒸気が燃焼範囲(1.0〜7.0vol%前後)に達すると引火します。
両者の共通点は次のとおりです。
- 水より軽く(比重0.8〜0.85前後)、水に浮く
- 蒸気は空気より重い(蒸気比重:灯油約4〜5・軽油約4〜5)
- 非水溶性なので注水消火は油火災の拡大を招く可能性がある
- 泡・粉末・CO2消火剤が有効
第2石油類の消火方法
非水溶性の第2石油類(灯油・軽油等)には、泡消火剤(水成膜泡・フッ素系泡)・粉末消火剤・二酸化炭素(CO2)消火剤が有効です。棒状注水は油火災を拡散させるため厳禁です。水溶性の物質(酢酸等)には耐アルコール型(AR型)泡消火剤を使います。
「灯油の火災に棒状注水で消火する」は誤りです。棒状注水は油を飛散させてかえって火災を拡大させます。
第2石油類の蒸気と引火の仕組み
第2石油類の液体そのものは燃えません。燃えるのは液面から蒸発した蒸気(可燃性ガス)です。蒸気が一定の濃度(燃焼範囲)に達したときに火源があると引火します。
灯油の燃焼範囲は約1.1〜6.0vol%です。この範囲を外れると引火しません。引火点の40℃以上という条件は「液面から蒸気が燃焼範囲の下限濃度に達する温度」を意味します。常温(20℃前後)では蒸発量が少なく燃焼範囲に達しないため引火しにくいです。
蒸気比重は空気より重く(灯油約4〜5・軽油約4〜5)、低所や閉鎖空間に滞留します。漏洩した灯油や軽油の蒸気が地表付近に広がった状態で火源(電気スパーク・静電気等)があると着火する危険があります。
灯油・軽油の安全な取り扱い
灯油や軽油を取り扱う際の安全管理のポイントは次のとおりです。
- 容器は密閉して保管し、蒸気の放散を防ぐ
- 火気・加熱源から遠ざける
- 静電気の発生に注意する(タンクへの注入時はアース(接地)を取る)
- 漏洩した場合は換気し、蒸気が滞留しないようにする
- 廃灯油・廃軽油は適切に処分し、下水道や土壌への流出を防ぐ
「灯油は常温で引火しないので換気は不要」は誤りです。温度が上がった状態(ストーブ付近等)では蒸発が進み引火する可能性があります。また、加熱されたタンクでは液体温度が引火点を超えることがあります。
第2石油類の数値まとめ
| 数値・区分 | 内容 |
|---|---|
| 引火点の範囲 | 21℃以上70℃未満 |
| 指定数量(非水溶性) | 1,000L |
| 指定数量(水溶性) | 2,000L |
| 灯油の引火点 | 40℃以上 |
| 軽油の引火点 | 45℃以上 |
| 比重 | 0.8〜0.85前後(水より軽い) |
| 蒸気比重 | 空気より重い(4〜5前後) |
第1石油類との比較
| 項目 | 第1石油類 | 第2石油類 |
|---|---|---|
| 引火点の範囲 | 21℃未満 | 21℃以上70℃未満 |
| 指定数量(非水溶性) | 200L | 1,000L |
| 代表物質 | ガソリン・ベンゼン・トルエン | 灯油・軽油・キシレン |
| 常温での引火リスク | 高い | 比較的低い |
よくある誤りのパターン
| 誤りの例 | 正しい内容 |
|---|---|
| 第2石油類の引火点は20℃以上 | 21℃以上70℃未満が正しい区分 |
| 灯油の指定数量は200L | 非水溶性なので1,000L。200Lはガソリン(第1石油類) |
| 軽油は水に溶ける | 軽油は非水溶性。水と混合しない |
| 軽油の引火点はガソリンより低い | 軽油45℃以上 > ガソリン−40℃未満。軽油の方がはるかに高い |
キシレン・クロロベンゼンの特徴
キシレン(o-・m-・p-キシレン)は芳香族化合物で塗料・インク・薬品の溶剤として広く使われます。引火点は27〜32℃で第2石油類の下限に近いです。蒸気比重は約3.7で空気より重く低所に滞留します。3種の異性体がありますが、試験では「キシレンは第2石油類」という分類が問われます。
クロロベンゼンは引火点28℃の無色透明液体で、農薬・溶剤・染料中間体に使われます。水より重い(比重約1.1)という点が他の第2石油類(水より軽い)と異なる特徴です。試験では「クロロベンゼンは水より重い」という正しい記述が選択肢に出ることがあります。
水溶性第2石油類の特徴
水溶性の第2石油類(酢酸・アクリル酸等)は指定数量が2,000Lと非水溶性(1,000L)の2倍です。消火の際は通常の泡消火剤では泡が溶解してしまうため、耐アルコール型(AR型・水成膜泡)を使います。これは水溶性危険物の火災における重要な知識です。
酢酸(氷酢酸)は17℃以下で固化する「氷酢酸」とも呼ばれ、特有の刺激臭(酢のにおい)を持ちます。皮膚や粘膜を刺激するため取り扱いに注意が必要です。引火点39℃・水溶性・指定数量2,000Lという組み合わせを覚えます。
第2石油類の貯蔵の注意点
第2石油類を貯蔵する際の注意点は次のとおりです。
- 常温では引火しにくいが、夏季や高温環境では温度管理が必要
- 蒸気は空気より重いため、タンクや地下ピットに滞留しやすい。換気を確保する
- 静電気対策:タンクへの注入時はアース(接地)を設け、流速を管理する
- 混合危険:第1類(酸化性固体)・第6類(酸化性液体)との接触を避ける
- こぼれた液体はすぐに回収し、土壌汚染・排水への混入を防ぐ
試験対策のポイント
第2石油類の問題では3点を軸に押さえます。
第1に引火点の区分(21℃以上70℃未満)です。第1石油類(21℃未満)・第3石油類(70℃以上200℃未満)との境界数値を正確に覚えます。「20℃以上」「70℃以下」という誤りが選択肢に出ます。
第2に指定数量です。非水溶性1,000L・水溶性2,000Lです。ガソリン(200L)やアルコール類(400L)と比較して指定数量が大きいため、同じ量を貯蔵しても倍数が小さくなります。
第3に灯油と軽油の区別です。灯油40℃以上・軽油45℃以上という引火点の違い、どちらも非水溶性・指定数量1,000L、水より軽いという共通点を整理します。消火には泡・粉末・CO2が有効で棒状注水は厳禁です。
発火点と引火点の違い(第2石油類の例で確認)
引火点と発火点は異なる概念です。引火点は「外部からの着火源(火花・炎等)があるときに引火する最低温度」です。発火点は「外部からの着火源がなくても自ら発火する最低温度(自然発火温度)」です。
灯油の引火点は40℃以上ですが、発火点はおよそ220℃前後です。発火点の方が引火点よりもはるかに高いです。これは「引火の方が発火より起きやすい」ことを意味します。試験では「引火点は発火点より高い」という誤りが選択肢に出ます。正しくは「引火点は発火点より低い(引火の方が起きやすい)」です。
第2石油類の取り扱い場面での実務知識
乙4の資格が活かされる職場の多くで第2石油類を扱います。ガソリンスタンド(灯油・軽油の販売)・工場(溶剤としてのキシレン・クロロベンゼン)・農業(農機具用の灯油・軽油)等が代表的な職場です。
ガソリンスタンドで灯油を販売する場合、顧客の持ち込み容器に詰め替えることがあります。このとき使用できる容器は金属製の容器に限られます(消防法・危険物令)。ガソリン(第1石油類)とは異なり、灯油はポリエチレン製容器(灯油用と明記されたもの)への詰め替えが認められています。試験では「灯油はポリエチレン容器への詰め替えが一切禁止」は誤りです。
職場での日常管理において、第2石油類の容器には必ず「第2石油類」「火気厳禁」「水溶性」または「非水溶性」の表示が必要です。標識の義務は安全管理と消防法上の義務の両方を果たします。
乙4保有者として灯油・軽油を扱う場合、定期的な保安教育と点検を通じて常に最新の安全基準を把握しておくことが求められます。消防法は一度覚えれば終わりではなく、政令・規則の改正があれば内容が変わります。保安監督者として選任された場合は特に法改正への対応が重要です。試験では現行の法令に基づく数値と基準が出題されます。受験時点の最新の政令・規則を確認してから試験に臨むことが大切です。
出典:危険物の規制に関する政令 別表第3(総務省)、消防法第2条(消防庁)


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