放課後等デイサービスは、就学している障害のある子ども(6〜18歳)が、学校の授業終了後や長期休暇中に通う福祉サービスだ。「放デイ」と略されることが多い。根拠となる法律は児童福祉法第6条の2の2第3項で、「学校教育法第1条に規定する学校(幼稚園及び大学を除く)に就学している障害児」が対象と定められている。
全国の事業所数は22,748か所(令和5年度・厚生労働省「令和5年度障害福祉サービス等経営実態調査」)で、前年比6.8%増と今も増え続けている。利用者数は毎年増加傾向にあり、障害のある子どもの放課後の居場所として広く定着している。
この記事では、放課後等デイサービスがどのようなサービスか、誰が利用できるか、どのような活動が行われているか、費用はいくらかかるか、利用するまでの手続きはどうか、を順に説明する。
放課後等デイサービスは、障害のある就学児の「放課後の居場所」
放課後等デイサービスは、障害のある小学生・中学生・高校生を対象とした「放課後の通所支援」だ。学校が終わった後の時間や、土曜日・夏休みなどの長期休暇中に、専門スタッフのいる事業所に通う。
サービスの目的は大きく2つに分けられる。
- 自立した生活に向けた発達支援:生活習慣・コミュニケーション・感情の調整など、日常生活に必要な力を育てる
- 放課後等の居場所の確保:障害のある子どもが安全に過ごせる場を提供し、保護者が就労等の活動をしやすくする
学校は勉強を教える場であるのに対し、放デイは学校の外で子どもの生活全体を支える場として機能する。「放課後等デイサービスガイドライン」(厚生労働省・平成27年4月)では、学校・家庭・事業所の3者が連携して支援を行うことが理想として示されている。
就学前(未就学・0〜6歳)の障害のある子どもに対応するのは「児童発達支援」だ。放デイは小学校入学後から高校3年生まで(場合によっては20歳まで)を対象とする。対象年齢が異なるだけで、根拠法(児童福祉法)・利用の仕組み・受給者証は共通している。
利用できる子どもの障害の種類と要件
放課後等デイサービスは特定の診断名がなくても利用できる場合がある。市区町村が利用の可否を判断するため、必要な書類は自治体によって異なるが、一般的には以下のような状況の子どもが対象になる。
| 障害・状況 | 説明 |
|---|---|
| 知的障害 | 療育手帳(都道府県により「愛の手帳」等の呼称あり)を持っている場合が多い |
| 発達障害(自閉スペクトラム症・ADHD・LD等) | 医師の診断書があれば療育手帳がなくても利用できる場合がある |
| 身体障害 | 身体障害者手帳を持っている場合 |
| 精神障害 | 精神障害者保健福祉手帳を持っている、または医師の意見書がある場合 |
| 難病 | 障害者総合支援法の対象疾患に該当する場合 |
手帳の有無よりも「継続的な支援が必要かどうか」が判断の基準になる。医師の診断書や意見書で申請できる自治体も多い。発達障害の診断は出ていなくても「グレーゾーン」として利用を認めている自治体もある。詳細は必ず居住地の市区町村窓口に確認することが必要だ。
年齢は原則として6歳(小学校就学後)から18歳(高校3年生)までだ。20歳まで延長できる場合があり、高校を卒業した後も引き続き支援が必要と認められれば利用が継続できる(児童福祉法第6条の2の2第3項の規定による年齢の特例)。
利用に必要なのは「障害児通所受給者証」
放課後等デイサービスを利用するには、市区町村が発行する「障害児通所受給者証」が必要だ。障害者手帳とは別の書類で、サービスを利用するための受給資格を証明するものだ。
受給者証には利用可能な事業所の種類・月の利用可能日数(支給量)・負担上限月額が記載される。
| ステップ | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| ①相談・申請 | 市区町村の障害福祉担当窓口または相談支援専門員へ相談。申請書・必要書類を提出 | 1〜2週間 |
| ②調査・審査 | 市区町村が申請内容を審査。医師意見書・診断書・アセスメント等を確認 | 2〜4週間 |
| ③受給者証の発行 | 支給量(利用日数)・負担上限月額が決定され、受給者証が交付される | — |
| ④事業所と契約 | 利用したい事業所と通所給付決定に基づく契約を締結し、利用開始 | — |
申請から受給者証の取得まで1〜2か月かかる場合がある。早めに動き始めることが大切だ。受給者証が取得できたら、利用したい事業所を見学・選定し、事業所と契約を結んで利用を開始する。
相談支援専門員(計画相談支援事業所)に依頼すると、サービス利用の調整や「サービス等利用計画」の作成を支援してもらえる。利用する事業所が決まっている場合でも、相談支援専門員に計画の作成を依頼することが推奨されている。
費用の目安(利用者負担は原則1割)
放課後等デイサービスの費用は、原則として利用料の1割を保護者が負担する。ただし所得に応じた上限月額が設定されており、それを超えては請求されない。
| 世帯の状況 | 上限月額 |
|---|---|
| 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
| 市町村民税課税世帯(概ね年収890万円未満) | 4,600円 |
| 上記以外の課税世帯 | 37,200円 |
出典:厚生労働省「障害者の利用者負担」(障害児通所支援の場合)
多くの家庭では課税世帯(年収890万円未満)に該当し、月4,600円が上限になる。週5日通っても、この金額以上は請求されない。
ただし上限月額は「利用者負担の上限」であり、昼食代・おやつ代・活動費などの実費は別途かかる場合がある。事業所ごとに実費の設定が異なるため、事前に確認することが必要だ。
月の利用可能日数と支給量の考え方
月の利用可能日数(支給量)は受給者証に記載された範囲で使える。支給量は子どもの障害の状況・保護者の就労状況・家族の状況などを考慮して市区町村が決める。
一般的には月20〜23日程度が上限として設定されることが多いが、週3〜5日程度の利用が認められる場合が多い。週何日利用するかは保護者と事業所で相談して決める。
平日は学校終了後に通うことが多く、土曜日・夏休み・冬休みなどの長期休暇は朝から夕方まで通う形になる。長期休暇中は平日より長い時間過ごすことになるため、事業所の1日のプログラムを事前に確認しておくと良い。
放課後等デイサービスでどんな支援が行われるか
事業所によって支援の内容は大きく異なる。「放課後等デイサービスガイドライン」(厚生労働省・平成27年4月)では、支援の方向性として「発達支援」「家族支援」「地域支援・地域連携」の3つが示されている。
実際の活動内容の例として、次のようなものがある。
- 生活習慣の習得:宿題・着替え・食事・片付けなどの日常生活スキル
- コミュニケーション支援:友達との会話・順番待ち・気持ちの表現
- 感覚統合・運動:身体の使い方・感覚過敏への対応・粗大運動・微細運動の訓練
- 創作活動・余暇:工作・音楽・スポーツ・料理など
- 学習支援:宿題の見守り・読み書き・計算の補助(学習特化型の事業所も増えている)
- ソーシャルスキルトレーニング(SST):場面に応じた振る舞い・友人との関わり方を学ぶ
事業所のタイプによって支援の中身は大きく異なる
放課後等デイサービスには「療育特化型」「学習支援特化型」「運動特化型」「創作・芸術型」など、コンセプトを絞った事業所が増えている。同じ放デイでも事業所によって1日の過ごし方は大きく異なる。
| タイプ | 主な対象・特徴 | こんな子に合う |
|---|---|---|
| 療育特化型 | 言語療法士・作業療法士等が在籍・個別・小集団での発達支援 | 感覚過敏・コミュニケーションに課題のある子 |
| 学習支援特化型 | 宿題・学習補助・読み書き・計算の指導を中心に行う | 学習困難・読み書きが苦手な子 |
| 運動特化型 | 運動・体幹トレーニング・リズム運動が中心 | 身体機能の向上・感覚統合を目指す子 |
| 生活習慣支援型 | 料理・掃除・金銭管理など将来の自立に向けたスキル習得 | 日常生活の自立を目指す年齢が高めの子 |
| 総合型 | 発達支援・学習・余暇活動をバランス良く提供 | 特定のニーズより「安心して過ごせる場」を求める子 |
子どもの特性や保護者のニーズに合ったタイプを選ぶことが大切だ。複数の事業所を見学して比較することをすすめる。
個別支援計画と半年ごとのモニタリング
放課後等デイサービスを利用する際は、事業所が「個別支援計画」を作成する。個別支援計画には子どもの目標・支援の内容・評価の基準が記載される。
「指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(指定基準省令)では、計画の作成・見直しについて規定されている。事業所の児童発達支援管理責任者(児発管)が中心となり、保護者・子ども本人・関係機関と連携しながら計画を策定する。
計画の見直しは少なくとも6か月に1回(モニタリング)行われる。子どもの成長に合わせて目標や支援内容が更新される仕組みだ。保護者は計画の内容について説明を受け、同意する機会がある。
事業所を選ぶ際には、個別支援計画がきちんと作成・見直されているかを確認することも重要なポイントだ。
送迎サービスについて
多くの放課後等デイサービスの事業所では、学校から事業所、事業所から自宅までの送迎を行っている(送迎がない事業所もある)。
送迎加算は、事業所が送迎を行った場合に介護給付費として算定できる加算だ。保護者にとって送迎の有無は大きな利便性の差になる。送迎の対応範囲(学校の種類・エリア)や時間帯は事業所によって異なるため、見学時に確認することをすすめる。
放課後等デイサービスを選ぶときに確認したい5つのポイント
事業所の数が多い地域では複数の候補から選ぶことになる。見学や体験を通じて以下のポイントを確認することをすすめる。
- 子どもとの相性:スタッフとの関わり方・同年代の仲間がいるか・雰囲気が合うか
- 支援の内容・コンセプト:学習支援・運動・療育など、どこに力を入れているか
- 個別支援計画の作成状況:子ども一人ひとりに合わせた支援計画が作られているか
- スタッフの配置と資格:児童指導員・保育士・児童発達支援管理責任者が適切に配置されているか
- 送迎の有無と範囲:学校からの送迎がある場合、対象校と時間帯を確認する
地域の相談支援事業所(相談支援専門員)や市区町村の窓口に、地域の放デイ事業所の一覧を案内してもらうこともできる。
未就学児は「児童発達支援」、成人後は就労支援サービスへ
放課後等デイサービスは「就学児」が対象だ。就学前(0〜6歳・未就学)の障害のある子どもは「児童発達支援」を利用する。
高校を卒業して18歳(または20歳)を超えると、放デイの利用はできなくなる。その後は就労移行支援・就労継続支援(A型・B型)・生活介護・グループホームなど、成人向けの障害福祉サービスへ移行することになる。
| 年齢 | 主な対象サービス |
|---|---|
| 0〜6歳(未就学) | 児童発達支援 |
| 6〜18歳(就学中) | 放課後等デイサービス(このページ) |
| 18歳以上(成人) | 就労移行支援・就労継続支援(A型・B型)・生活介護・グループホームなど |
この「連続性」を理解しておくと、放デイを利用しながら卒業後の支援先を早めに探し始めることができる。卒業後の進路については、放デイの児童発達支援管理責任者や相談支援専門員に相談しながら準備を進めていくことが多い。
放課後等デイサービスの事業所数・市場規模
放課後等デイサービスの事業所数は令和5年度時点で22,748か所(前年比6.8%増)。全国平均の年間収入は約3,161万円(収支差率5.8%・令和5年度・厚生労働省「令和5年度障害福祉サービス等経営実態調査」)。
需要の増加背景には、発達障害の診断数の増加・共働き世帯の増加・支援ニーズの多様化がある。一方で事業所の急増により、質のばらつきも課題として指摘されており、令和3〜6年度の報酬改定では専門性・質の向上に向けた要件が強化されている。
放課後等デイサービスは、障害のある子どもが学校と家庭の外で自分らしく過ごし、将来の自立に向けて力を育てる場だ。利用を検討している場合は、まず居住地の市区町村の障害福祉担当窓口か相談支援事業所に問い合わせるのが最初の一歩になる。
このサイトでは放課後等デイサービスの開業・運営に関する情報も提供している。


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