消防設備士 5類の鑑別。写真・図から器具を識別する問題の対策。

消防設備士 5類の鑑別。写真・図から器具を識別する問題の対策。

消防設備士第5類(乙5・甲5)の実技試験には「鑑別等」という問題があります。避難器具の写真・図を見て器具の名称・種類・部品名を答える問題です。この記事では鑑別問題の出題パターンと識別のポイントを整理します。

鑑別問題とは何か

消防設備士試験の実技試験は「鑑別等」と「製図」の2つに分かれています(甲種のみ製図あり)。鑑別等は消防用設備の写真・図・記号を見て名称・用途・確認事項を答える問題形式です。乙5・甲5ともに実施されます。

問題形式は記述式(穴埋め・短文記述)です。選択肢がないため、器具の名称・部品名を正確に書けるよう準備が必要です。

鑑別問題の出題パターン

第5類の鑑別問題で出題される主なパターンは次のとおりです。

出題パターン 問われる内容の例
器具の名称を答える 「写真の避難器具の名称を答えなさい」→ 緩降機・救助袋(垂直式)など
部品名を答える 「図中の①②③の名称を答えなさい」→ 調速機・ロープ・着用具など
種類を答える 「写真の救助袋は垂直式・斜降式のどちらか答えなさい」
点検・確認事項を答える 「ロープを点検する際の確認事項を2つ答えなさい」
正しい・誤りを答える 「以下のうち誤っているものを1つ選びなさい」→ 器具の基準・設置条件

緩降機の識別ポイント

緩降機は調速機(ガバナー)・ロープ(2本)・着用具(安全帯)で構成されます。写真で確認すべきポイントは次のとおりです。

部品名 見た目・特徴
調速機(ガバナー) 金属製の箱状・円筒形の装置。ロープが通されている。制動機能を持つ核心部品
着用具(安全帯) ベルト・バンド状の帯。バックル・フックが付いている。体に装着して使用する
ロープ 2本1組。金属製または繊維製。調速機に接続されている
収納ケース 箱型または袋型。壁や窓枠に固定されている。平常時はここに格納されている

緩降機の最大の特徴は「調速機(ガバナー)」という機械部品が存在する点です。ロープが通った金属製の装置が写真に写っていれば緩降機と判断できます。

救助袋(垂直式・斜降式)の識別ポイント

救助袋は布製の袋状の形状が特徴です。金属製の緩降機・はしごと区別できます。さらに垂直式と斜降式を見分けるポイントは次のとおりです。

識別ポイント 垂直式 斜降式
袋の向き 建物外壁に沿って垂直方向に吊り下がる 斜め(前方)に向かって角度がある
斜降架の有無 なし(袋が外壁から直接吊り下がる) あり(骨組み状の金具が袋を支える)
地上固定点の有無 なし(着地点は袋の下端のみ) あり(ロープが地上の固定点につながれている)
入口金具 袋の上端・金属リング・フレーム状の開口部 同様(入口金具は共通)

斜降式には「斜降架」という骨組み状の金属製フレームがあります。これが写真に写っていれば斜降式と判断できます。

避難はしごの識別ポイント

避難はしごは金属製のはしご状の器具です。種類(固定はしご・立てかけはしご・吊り下げはしご・ハッチ用はしご)を見分けるポイントは次のとおりです。

識別ポイント 固定はしご 吊り下げはしご ハッチ用はしご
設置状態 外壁に常時固定されている 収納されており、使用時に吊り下げる 床の開口部(ハッチ)に収納されている
手がかり棒 最上部にある(必須) 通常なし なし
壁との関係 壁から一定距離(10cm以上)を保って固定 窓枠・手すりに引っ掛ける 床開口部から下に伸びる

固定はしごの特徴は「手がかり棒が最上部についている」点です。写真に手がかり棒があれば固定はしごと判断できます。

すべり台・避難ロープの識別ポイント

すべり台は斜面状の滑り台のような形状です。金属製またはFRP(繊維強化プラスチック)製のスロープが写真に写ります。高齢者・身体に不自由のある人が利用しやすい器具として設計されています。

避難ロープは単純なロープ状の器具です。ロープのみで構成されており、緩降機のような調速機はありません。設置できる用途・階に制限があり、主に比較的低い階(3階以下が目安)に設置されます。

部品名を問う鑑別問題の対策

部品名を問う問題では、器具ごとに主要部品の名称を正確に覚えておくことが必要です。

器具 主な部品名
緩降機 調速機(ガバナー)・ロープ・着用具(安全帯)・収納ケース・取り付け金具
救助袋(斜降式) 外袋・内袋・入口金具・斜降架・斜降ロープ・連結金具
救助袋(垂直式) 外袋・内袋・入口金具・取り付け金具
避難はしご(固定) 縦桟(側板)・横桟(踏み桟)・手がかり棒・取り付け金具

点検・整備に関する鑑別問題の対策

点検・確認事項を答える問題も出題されます。器具ごとの主な点検確認事項は次のとおりです。

器具・部品 主な確認事項
緩降機のロープ(繊維製) 擦り傷・芯の損傷の確認。端末処理の確認
緩降機のロープ(金属製) 腐食・素線の断線の確認
緩降機の調速機 制動機能の確認・外観の確認
救助袋の外袋 破損・縫製のほつれ・難燃性の劣化・汚損の確認
避難はしごの横桟 腐食・変形・ゆるみの確認
取り付け金具(共通) 腐食・ゆるみ・変形の確認

標識に関する鑑別問題の対策

避難器具の設置場所には「避難器具」と記載した標識を直近に設置する義務があります(消防法施行規則第27条)。標識に関する問題では次のポイントが問われます。

  • 標識には「避難器具」の文字が書かれている
  • 蓄光式または照明付きのものが使用される
  • 設置場所の直近に設ける
  • 標識が消色・破損している場合は交換が必要

乙5と甲5で業務範囲が異なる点

鑑別問題では「この作業は乙種第5類でできるか、甲種第5類でないとできないか」という区分を問う問題も出題されます。

作業の種類 乙5 甲5
点検・整備(消耗品交換・調整) 〇 〇
取り付け金具の取り外し・再取り付け工事 × 〇
斜降架の取り外し・再取り付け工事 × 〇
着工届の提出が必要な工事 × 〇

「整備」と「工事」の違いを区別して理解することが重要です。消耗品の交換・分解・調整は乙5・甲5ともに行えます。取り付け金具の工事は甲5のみです。

緩降機の操作確認手順(点検時の確認項目)

緩降機の機器点検・総合点検で確認する主な手順をまとめます。試験でも「点検で確認すべき事項を答えなさい」という問題が出ます。

  1. 収納状態の確認(格納箱・収納袋の状態・設置場所の標識の有無)
  2. 取り付け金具の確認(腐食・ゆるみ・変形の有無)
  3. ロープの確認(繊維製:擦り傷・芯の損傷。金属製:腐食・断線。端末処理の確認)
  4. 調速機の確認(外観・制動機能の確認)
  5. 着用具(安全帯)の確認(バンドの破損・縫製のほつれ・バックルの不良)
  6. 収納状態に戻す(確認後は正しく格納する)

総合点検では実際にロープを繰り出して調速機の制動を確認します。ロープが調速機をスムーズに通り、降下速度が一定に制御されることを確認します。

救助袋の格納と標識確認(点検時)

救助袋の機器点検で確認する主な手順は次のとおりです。

  1. 格納状態の確認(格納袋・格納箱への収納状態)
  2. 外袋の確認(破損・縫製のほつれ・難燃性劣化・汚損の有無)
  3. 斜降架の確認(斜降式のみ:腐食・変形・動作確認)
  4. 入口金具・連結金具の確認(腐食・変形・作動確認)
  5. 斜降ロープの確認(斜降式のみ:擦り傷・断線の有無)
  6. 設置場所の標識の確認(消色・破損の有無)

避難はしごの設置確認(固定はしごの場合)

固定はしごの点検で確認する手順をまとめます。

  1. 取り付け金具・アンカーボルトの確認(腐食・ゆるみ・変形の有無)
  2. 縦桟(側板)の確認(腐食・亀裂・変形の有無)
  3. 横桟(踏み桟)の確認(腐食・変形・ゆるみの有無)
  4. 防錆処理の確認(塗装の剥がれ・めっきの腐食の有無)
  5. 手がかり棒の確認(腐食・変形・ゆるみの有無)
  6. 壁との距離の確認(横桟と壁の距離が10cm以上あること)

鑑別問題での数値の問われ方

鑑別問題では「○○の基準値を答えなさい」という形式で数値が問われることがあります。第5類の鑑別で出題される主な数値は次のとおりです。

問われる数値 答え 出典の区分
緩降機の降下速度 概ね毎秒1.5m以下 型式試験基準
取り付け金具の強度 最大許容荷重の2倍以上 型式試験基準
固定はしごの横桟間隔 約25cm 型式試験基準
固定はしごの横桟と壁の距離 10cm以上 消防法施行規則第27条
着工届の提出期限 工事開始10日前まで 消防法第17条の14
設置届の提出期限 工事完了後4日以内 消防法第17条の3の2

数値の出典(型式試験基準か施行規則か)を区別して答えることが重要です。施行規則第27条に規定されているのか、消防庁長官が定める型式試験基準に規定されているのかを混同しないよう注意が必要です。

鑑別問題の学習方法

鑑別問題の対策として効果的な学習方法は次のとおりです。

  • 実際の器具・部品の写真を繰り返し確認する(製造メーカーのカタログ・消防設備の教材)
  • 部品名を紙に書いて覚える(穴埋め問題形式で繰り返し練習する)
  • 器具ごとに「特徴的な外見・部品名・点検確認事項」をセットで覚える
  • 乙5と甲5の業務区分(整備・工事)を整理しておく

鑑別問題は選択肢がない記述式のため、正確な名称を書けるかどうかが得点を左右します。見た目の特徴と名称を繰り返し結びつけて覚えることが重要です。

実技試験の合格基準と得点戦略

消防設備士試験の実技試験(鑑別等)の合格基準は「60%以上の得点」です。乙5は鑑別5問、甲5は鑑別5問+製図2問(計7問)です。

鑑別問題の得点戦略として有効なポイントは次のとおりです。

  • 部品名の記述ミス(漢字の誤り・略称)を防ぐため、正式名称を正確に覚える。「着用具」と「安全帯」は同じものを指すが、問われ方に応じて正式名称を答える
  • 「何のための部品か」という機能と名称をセットで覚えることで、問題文のヒントから部品名を導きやすくなる
  • 点検・確認事項の問題では「何を・どのように確認するか」を具体的に記述できるよう、確認手順を整理しておく
  • 業務区分(整備は乙5・甲5・工事は甲5のみ)の問題は確実に得点できる問題のため、区分を覚えて取りこぼさない

すべり台・避難ロープの点検確認事項

すべり台・避難ロープの点検でも確認事項が問われる場合があります。器具ごとの主な確認事項を整理しておくと幅広く対応できます。

器具 主な点検確認事項
すべり台 本体(スロープ)の変形・腐食・破損の有無。滑り面の清潔さ・障害物の有無。取り付け金具のゆるみ・腐食の有無。標識の確認
避難ロープ ロープの劣化・断線・端末処理の確認。取り付け金具のゆるみ・腐食の有無。格納状態の確認。標識の確認

器具の種類を問わず「取り付け金具のゆるみ・腐食の確認」と「標識の確認」は共通の点検項目です。これらは確実に覚えておき、鑑別問題で確認事項を聞かれたときに答えられるように準備しておきます。

法令数値と型式試験基準の区別

鑑別問題の中には「この基準は何に定められているか答えなさい」という出題もあります。施行規則と型式試験基準の区別を整理します。

内容 根拠の区分
設置位置の要件(降下空間・操作面積・取り付け金具の材質等) 消防法施行規則第27条
固定はしごの横桟と壁の距離(10cm以上) 消防法施行規則第27条
緩降機の降下速度(概ね毎秒1.5m以下) 消防庁長官が定める型式試験基準
取り付け金具の強度(最大許容荷重の2倍以上) 消防庁長官が定める型式試験基準
はしごの横桟の間隔(約25cm) 消防庁長官が定める型式試験基準

出典:消防法施行規則第27条(e-Gov法令検索)・消防庁長官が定める型式試験基準

試験対策まとめ

識別対象 最も確実な識別ポイント
緩降機 調速機(ガバナー)という金属製の装置がある
救助袋(斜降式) 斜降架(骨組み状の金属フレーム)がある
救助袋(垂直式) 袋が垂直・斜降架がない
固定はしご 手がかり棒が最上部にある・常設されている
吊り下げはしご 収納されており窓枠・手すりに引っ掛けるタイプ
ハッチ用はしご 床の開口部(ハッチ)から引き下ろす

出典:消防法施行規則第27条(e-Gov法令検索)・消防試験研究センター「消防設備士試験概要」

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作成日:2026年11月5日 作成者:fufumumu_design
出典:消防法施行規則第27条(e-Gov法令検索)・消防試験研究センター試験概要

この記事を書いた人

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