消防設備士 第5類(乙5・甲5)ガイド。避難器具の試験対策と合格への道筋。




消防設備士第5類(乙種5類・甲種5類)は、避難器具を扱う資格です。乙5は整備・点検のみ、甲5は工事・設計・整備・点検の全工程を担当できます。試験の科目は筆記と実技に分かれており、筆記は法令・基礎知識・構造整備の3区分、実技は鑑別(甲5は製図も)です。合格するには、各区分で40%以上かつ全体60%以上(実技は60%以上)が必要です。

この記事では、第5類の試験の全体像・乙5と甲5の違い・科目別の攻略ポイントを整理します。

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消防設備士第5類の試験科目と出題数

筆記は「消防関係法令」「基礎的知識」「構造・機能及び工事整備」の3区分で構成されています。実技は「鑑別」(甲5は「製図」も追加)です。乙5と甲5では出題数が異なります。

科目区分 乙5の出題数 甲5の出題数 合格基準
法令共通 6問 6問 各区分40%以上かつ全体60%以上
法令類別(5類) 4問 4問
基礎的知識(機械) 5問 10問
構造・機能及び整備 15問 25問 各区分40%以上かつ全体60%以上
筆記合計 30問 45問
鑑別(実技) 5問 5問 60%以上
製図(実技・甲5のみ) — 2問

出典:消防試験研究センター「試験科目と問題数」

法令共通は全類共通の内容(消防法・施行令・施行規則の基礎)です。法令類別は第5類固有の内容(避難器具の設置基準・設置免除・点検報告)が出ます。基礎的知識は機械の区分で、乙5は5問・甲5は10問と倍になります。甲5で増える10問は「材料の強度・応力・荷重・流体・熱」などの工学的な内容です。

乙5と甲5の違い。業務範囲と受験資格が異なる

乙5(乙種第5類)は整備・点検のみできます。甲5(甲種第5類)は工事・設計・整備・点検のすべてを担当できます。現場での設置工事・改修工事まで手がけたい場合は甲5が必要です。

項目 乙5 甲5
業務範囲 整備・点検 工事・設計・整備・点検
受験資格 誰でも受験可 学歴・実務経験・他の資格等が必要
筆記問題数 30問 45問
実技 鑑別のみ(5問) 鑑別(5問)+製図(2問)
試験時間 1時間45分 3時間15分

甲5の受験資格は、大学・短大・高専の理工系学科卒業・電気工事士・消防設備士(他の類)・実務経験など複数の方法があります。詳しくは下記の関連記事を参照してください。

試験範囲の中心は避難器具。施行令第25条の表を軸にする

第5類の試験で最も出題頻度が高いのは「避難器具の設置基準」(消防法施行令第25条)と「各器具の構造・整備」(消防法施行規則第27条・型式試験基準)です。施行令第25条の表には、防火対象物の用途と階数・収容人員に応じて、設置しなければならない避難器具の種類が定められています。

試験で問われる避難器具の種類は次の8種類です(消防法施行令第25条の表)。

  • すべり台
  • 避難はしご(固定はしご・立てかけはしご・ハッチ型など)
  • 救助袋(垂直式・斜降式)
  • 緩降機
  • 避難橋
  • すべり棒
  • 避難用タラップ
  • 避難ロープ

出典:消防法施行令第25条の表(e-Gov法令検索・消防法施行令)

法令共通の対策。消防設備士全類で共通する9つのテーマ

法令共通(6問)は、第5類だけでなく他の類の試験でも出る内容です。次のテーマが繰り返し出題されます。

  • 消防用設備等の種類と定義(消防法第17条)
  • 設置届・検査・着工届
  • 定期点検と報告義務(1年・3年の区別)
  • 防炎規制・危険物との関係
  • 既存防火対象物への遡及適用(消防法第17条の2の5)
  • 消防設備士の免状・講習・工事整備対象設備等
  • 防火管理者の役割
  • 防火対象物の用途区分(別表第1)
  • 消防同意・検査の手続き

法令共通は他の類との科目免除を使うことで問題数を減らせます。他の類の免状を持っている場合、「消防関係法令の共通部分」を免除申請できます(詳しくは科目免除の記事を参照)。

基礎的知識(機械)の対策。乙5は5問・甲5は10問

乙5の基礎的知識は5問しかないため、各テーマから1問程度の出題です。甲5は10問で幅が広がります。出題テーマは次の通りです。

テーマ 乙5 甲5
力・荷重・応力・ひずみ 出る 出る
材料の強度・硬さ・衝撃値 出る 出る
流体・気体の性質(ボイル・シャルルの法則) 出る 出る
熱・熱膨張 出る 出る
ロープ・滑車の力学 出る 出る
溶接・機械加工 — 出る
電気の基礎(甲5のみ) — 出る

5類で特に重要なのは「ロープと滑車の力学」(緩降機の降下速度・荷重に直結)と「材料の強度」(取付け金具・支持具の強度基準)です。

構造・整備の対策。器具の仕組みと点検手順を器具ごとに覚える

構造・機能及び工事整備(乙5は15問・甲5は25問)は、出題の中心です。避難はしご・救助袋・緩降機・すべり台・すべり棒・避難用タラップの各器具について、次の内容が問われます。

  • 各器具の種類と構造(固定部分・可動部分の役割)
  • 設置位置・降下空間・操作面積の基準(施行規則第27条・型式試験基準)
  • 取付け金具・支持具の基準
  • 動作確認・外観点検・機能点検の手順
  • 甲5は工事(取付け・固定・調整)の手順も追加

数字の出題が多い区分です。施行規則第27条に規定される内容と、型式試験基準(消防庁長官が定める基準)に規定される内容は区別して覚えます。条文で定められた数字は一次資料で確認するのが確実です。

鑑別の対策。写真を見て器具の名称・異常の判断ができるか

鑑別(5問)は、器具・部品の写真や図から名称・機能・異常を答える問題です。次の内容が繰り返し出ます。

  • 各種避難器具の外観・各部の名称
  • 取付け金具・フック・ロープなどの各部品の名称と役割
  • 点検で発見された錆・変形・ロープのほつれなどの異常判断
  • 器具の開封・展張・格納の手順(乙5は操作のみ・甲5は取付けも含む)

実物の写真に触れながら覚えるのが最も効果的です。アプリの鑑別問題(写真・図つき)を使って練習できます。

甲5の製図対策。避難器具の配置図と凡例

甲5の製図(2問)は、避難器具の設置図(平面図・断面図)を読み取る問題・または与えられた条件に従って配置図を描く問題です。次の内容が出ます。

  • JIS Z 8617(消防用設備の図記号)の読み方
  • 設置位置の決め方(降下空間・操作面積の確認)
  • 取付け金具・支持具の位置と種類
  • 設置届・工事設計に必要な図面の内容

科目免除を使うと試験時間と問題数が減る

次の免除が申請できます。

免除の条件 免除される科目
他の類の消防設備士免状を持つ 法令共通(全類共通の6問または4問)
電気工事士免状を持つ(乙5のみ) 基礎的知識(電気・機械の一部)

科目免除を使うと問題数・試験時間が短くなります。ただし、全体の60%以上という合格基準は変わりません。免除を受ける問題数が減るため、1問の重みが大きくなります。

合格までの学習ステップ

次の順序で進めると効率的です。

  1. 法令共通を固める:他の類と共通なので一度覚えれば流用できる
  2. 避難器具の種類と設置基準を覚える:施行令第25条の表が最初のポイント
  3. 各器具の構造・整備を器具ごとに整理:緩降機・救助袋・避難はしごを優先
  4. 数字ドリルで頻出数値を反復:点検周期・収容人員・降下空間の数字
  5. 鑑別の写真練習:実物に近い図・写真で各部の名称を確認
  6. 甲5は製図の手順を別途練習:図記号の一覧と設置条件の組み合わせ

試験日程と受験申請の流れ

消防設備士第5類の試験は、消防試験研究センターが全国で年間複数回実施しています。都道府県によって実施回数・時期が異なります。

申請から受験までの流れは次のとおりです。

  1. 試験日程の確認:消防試験研究センターの公式サイト(https://www.shoubo-shiken.or.jp/)で都道府県ごとの試験日程を確認する
  2. 受験申請書の入手:消防試験研究センターの各都道府県支部・消防本部等で配布されているほか、電子申請も利用できる(都道府県によって対応状況が異なる)
  3. 申請書の提出:試験日の約1ヶ月〜1ヶ月半前が受付期間の目安(都道府県・時期によって異なる)。科目免除を使う場合は科目免除申請書と免状コピーを同時に提出する
  4. 受験票の受領:申請後に郵送される受験票を受け取る
  5. 試験当日:受験票と本人確認書類を持参する
  6. 合格発表:消防試験研究センターの公式サイトまたは郵送で確認できる

出典:消防試験研究センター「受験の流れ」(https://www.shoubo-shiken.or.jp/)

試験会場。全国の都道府県で実施されている

消防設備士試験は全国47都道府県で実施されています。試験会場は都道府県ごとに指定されており、基本的に受験する都道府県内の会場で受験します。居住地とは別の都道府県でも受験申請は可能ですが、申請先の各都道府県支部で手続きが必要です。

都市部(東京・大阪・愛知等)では実施回数が多く、地方では年数回の実施となる場合があります。受験を検討している都道府県の試験日程は、早めに消防試験研究センターの公式サイトで確認してください。

合格後の免状申請手続き

合格後は、消防試験研究センターの各都道府県支部を通じて都道府県知事あてに免状交付申請を行います。試験を受けた都道府県の支部で手続きします。

手続き 内容
申請先 試験を受けた都道府県の消防試験研究センター支部
申請に必要なもの 合格通知書(または合格証明書)・申請書・写真・手数料(詳細は消防試験研究センターで確認)
免状交付後の最初の講習 免状交付日以後の最初の4月1日から2年以内に受講(消防法第17条の10)
2回目以降の講習 前回の講習日以後の最初の4月1日から5年以内(消防法第17条の10)

免状取得後の講習(法定講習)を受けなかった場合、免状の返納を命じられることがあります(消防法第17条の14)。免状を取得したら講習の時期を必ず確認してください。

出典:消防法第17条の10・第17条の14(e-Gov法令検索)

よくある勉強の失敗例と対策

第5類の試験を受ける人がはまりやすい失敗例を整理します。

失敗例 対策
法令共通に時間をかけすぎて、法令類別・構造整備が手薄になる 法令共通は他の類と共通なので早めに仕上げ、第5類固有の範囲(施行令第25条・各器具の構造)に時間を集中させる
避難器具の8種類の名称は覚えたが、各器具の構造・特徴が混乱する 器具ごとに「誰が使うか」「どんな場所に向くか」「何が特徴か」を整理してから数字を覚える
条文の数字と型式試験基準の数字を混同する 「施行規則第27条に書いてある数字」と「型式試験基準に書いてある数字」を区別してメモしておく
鑑別の対策が後回しになり、試験直前に器具の名称が出てこない 各器具の写真・図を使って早めに鑑別練習をする。アプリの鑑別問題が効果的。
甲5で製図の練習が足りず、試験で白紙に近い状態になる 製図は施行令第25条の表を暗記してから、設置位置の判断手順を演習で体に覚え込ませる

第5類の合格に向けた学習時間の目安

必要な学習時間は個人の経験・他の類の取得状況によって異なります。一般的な目安として次の通りです(他の類の消防設備士免状を持っていない場合)。

受験種別 学習時間の目安 主な学習内容
乙5(消防設備士初受験) 60〜100時間程度 法令共通・法令類別・基礎的知識(機械)・各器具の構造整備・鑑別
乙5(他の類の免状あり) 40〜60時間程度 法令類別・基礎的知識(機械)・各器具の構造整備・鑑別(法令共通は免除活用で短縮可)
甲5(他の類の免状あり) 80〜120時間程度 法令類別・基礎的知識(機械・追加分)・各器具の構造整備工事・鑑別・製図

上記はあくまで目安です。実務経験がある場合は構造整備の理解が早く、学習時間を短縮できることが多いです。試験の問題数が多い甲5でも、実務で避難器具を扱っている場合は構造整備の問題が解きやすく、製図も実際の設置経験を活かしやすいです。

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作成日:2026年11月5日 作成者:fufumumu_design
出典:消防法施行令(e-Gov法令検索)・消防法施行規則(e-Gov法令検索)・消防試験研究センター「試験科目と問題数」

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

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